東京都庭園美術館 YUMEJI展とインドネシア料理
生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界
東京都庭園美術館で今、竹久夢二の展覧会が開催されている。
旧朝香宮邸は1933年、皇族朝香宮家の自邸として建てられたアール・デコ様式を極めた芸術作品ともいえる邸宅で、戦後は吉田茂外務大臣公邸(のちに首相公邸)として使用され、その後白金迎賓館の役割を担い、結婚式場としても一般に開放されていたこともある。
1983年、東京都庭園美術館として開館、実に数奇な運命を持つ国の重要文化財だ。
そのアール・デコの館で竹久夢二の作品世界がどんな風に演出されているのか、芸術新潮7月号で展覧会の様子を写真でみたこともあり、実際にみてみたくて、高まる期待を胸に訪れた。
今回の展覧会が再発見後初の一般公開となる油彩画 アマリリス
長らく行方不明だったが生誕140年を前に発見されたというニュースを報じる新聞や雑誌などでその油彩画の写真をみたとき、ずいぶん暗い絵で手がとても大きくて 幸薄そうな女性の絵だなという印象を抱いた。
会場に入り、まず目に飛び込んでくるのがこの作品。
アンリ・ラパンデザインの香水塔を左に眺め、大広間に設置されたブルーグレイのパネルに飾られたアマリリスが訪れた人々を惹き寄せる。
見事な展示。
作品を生かした展示がとにかく素晴らしい。
邸内のカーテンはすべて閉じられ、アール・デコ意匠の照明器具の灯りが邸内をやわらかく照らすタイムトリップしたような空間で、作品の持つ憂いと儚さが伝わってくる。実際に観る前に抱いていたイメージが覆った。
モデルはお葉といわれている。
大客間に進む。
設置されたすべてのパネルが邸宅空間にぴったりと馴染み、夢二の作品がまるで生命を吹き込まれたようにオーラを発散している。
旧朝香宮邸でのYUMEJI展開催を発案、企画され、見事実現された学芸員、展覧会関係者の方々に拍手を送りたいと思った。
またずらりと並ぶ夢二の掛軸の表装のモダンでかわいいこと!
多岐にわたり展示された作品は、やはり実際に目にしてこそ作品に宿る生命が伝わってくるというもので、小さなイラストひとつ、躍動感のある身体の線にまで魅入りながらの展覧会だった。
マルチアーティスト竹久夢二のほぼ全貌を知ることができた貴重な展覧会でもあった。
新館での展示を観て、正面玄関に戻る。
東京都庭園美術館正門を出て、上大崎交差点の角の銭湯のあるビルへとほんの五分歩く。
CABE目黒店が見えてきた。
CABE目黒店
五時半予約、開店と同時に入店。
CABEとはインドネシア語で唐辛子のこと。
ビルの階段を上って二階に上がりドアを開けると、ココナッツと大蒜やハーブ、スパイスが混じり合ったほのかに甘い匂いが私たちを包む。
「わぁ、東南アジアの香り!バリの香りだ」とテンションが一気に上がる。
久しぶりのインドネシア料理に懐かしさを抱き、また来たいねと七時になったので店を後にした。
えっ?まだほのかに明るい?
後日
アール・デコの邸宅での夢二の作品空間を 少女たちにも体験させたくて、16歳JKと10歳、大人三人の合計五人で金曜日夕方から再訪した。
午後五時目黒駅待ち合わせ、金曜日はサマーナイトミュージアムなので午後九時まで開館。
午後六時以降は仕事帰りの人たちが次々と来館、中々人気のようだった。
夢二-千代ちょこの記事です。 ↓
2023年10月 東京都庭園美術館訪問記事です。↓
芸術新潮 2024年7月号
特集 大正のマルチアーティスト 「愛され夢二の一生」
嫌われ松子の一生?を連想した意味深なタイトル
お葉というモデルがいた:夢二、晴雨、武二が描いた女
こちらもぜひ一読を!
膨大な資料から読み解いた、かなり辛辣な夢二像と自由恋愛などから大正時代が垣間見れる一冊です。