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欲と快楽

現状が見えていないのは最悪だ。


剣客商売の秋山小兵曰く
善と悪が同居する人間が作った世の中だから矛盾だらけなのは当たり前、、、

剣客商売より

そうは言っても "これしたら〜こうなる”
そのくらいは考えないとね、、、人として、大人として。
そして責任も後始末もしないとね。
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前回より

確かに魅力的な女性ではありましたが、会社の社長です。
色恋の感情は一切持っていませんでした。
でもその時、何がどうしてどうなったのか、、、
僕は社長と関係を持ってしまったのです。

思い通り

全てが順調に、、、
そんな勘違いの日々は暫く続きました。
仕事について全てを任され、全て僕の思い通りに進めていきました。

A氏との契約は予定通り締結。
K氏へのロイヤリティーについては現状通りのままにしたのです。
この時期に揉め事は起こしたくなかった思いもありますが、恐らく臆病な僕はK氏と対峙したくはなかったのだと思います。

それで僕は夢中になって商品リニューアルに取り組みました。
内容(化粧品の処方)についてはA氏に全面的に任せました。
ただし、それ以外の例えば容器、デザイン、プレゼン資料、パンフレット、、、
重要な価格設定、、、新たな販売方法や販路開拓、、、etc.
それらは全て僕が進めなければならなかったのです。
というよりも会社の人材だけでは到底無理なことが沢山あったわけで、それをどうやって進めていくか。
もちろん、外部の人間を含めて進めていく業務もたくさんあったと思いますが、
それをデレクションする必要があったわけです。
僕の頭の中はほぼパンク状態にあった事を憶えています。

秘め事は溺れるほどに蜜の味、、、

一方で社長との甘い秘め事は続いていました。

週に何度も社長の“住む”ホテルに通いました。
仕事上の確認や諸々手続きやらで社長と話をしなければならない状況でもあったのですが、果たしてその時の僕の優先事項がどうだったのかは疑わしいものです。

出張とは名ばかりの一泊旅行に何度も行きました。
有名な高級旅館にオーベルジュに、、、高級な寿司屋からレストランから、、、
もう好き放題経費の使い放題だったのです。
なんの不安もなく只々溺れていました。

社長は怖いほどの依存体質でした。
お金の事も、家族の問題の事も、、、プライベートを全部を曝け出す。
決して大袈裟ではなく“全部私を受け入れて”そんな風だったのを憶えています。
それでも大人の女性です、、、
僕の家族生活を壊すようなことは一度もありませんでした。
言い訳ですが、だから僕もどっぷりハマってしまったのだと思います。

でも秘密なんてものは保てない、人の口に戸は立てられないのです。

ある日の事です。
「これ、社長に持っていってくださいね」
パートさんの一人が僕のところに大きなバックを持ってきたのです。
ドキッとしたのを憶えています。

当たり前の事ですが、いつまでも社長が会社に来ないのはあまりにも不自然です。

社長はホテルに避難した事をパートさんに告げていたのです。
みんなには伏せておいてと僕に念を押したくせにです。
僕との関係は話していないと言っていましたが、きっとパートさんたちは気づいていたはずです。(実際にバレていたのですが、、、)

思い上がり、、、

会社の経営は僕のワンマン、、、
というか、そもそも新たな業務に携われる人が他にいなかっただけの話です。
営業とは名ばかりの倉庫番のスタッフは毎日忙しくしている為、全く助けにならなかったのを憶えています。
でも、とても感じの良い青年で時折“ちょっと一杯”なんて会社帰りに息抜きをしていたことを憶えています。
態々この青年の話書いたのは、後々この青年が厄介ごとを起こすから、あえてここで書いておこうと思ったからなのです。

とにかくつまり、、、
素人数名の会社が何の苦もなく年商数十億という規模の会社でいたという事です。
そもそも、なんだかんだK氏の手腕でここまでの売上規模にまでなったわけです。
そのK氏がいなくなり、ただのお飾りだった社長が名実ともに本当の社長になってしまった、、、そして素人同然の僕が取り仕切っていたのです。
どう考えたってこのまま安泰でいられるはずはなかったのです。
(僕がそれなりの才覚と人間性を持っていたら違っていたと思いますが)

ある時A氏がこんな風な事を言ったのです。
”このまま会社受け継いじゃえばいいじゃないですか、、、”
このA氏の一言は僕の頭の中にガッツリと楔を打ち込んだのだと思います。

「会社を引継ぐ、僕が社長になる、、、僕の会社にする、、、」
邪な考えが僕の脳裏に何度も走ったのは事実です。

続く



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