うまい、うますぎる
うまい、うますぎる
と言ったのは、十万石まんじゅうだったと記憶している。
その言い回しは、まんじゅうだけではなく、酒にもあてはまるのであった。
うまい酒は、地元に足を運んでいただくものだ、と思った。蔵に足を運んで仕込み水をいただいた。口当たりがやさしくまろやかな味わいだった。近くにある湧き水でも、それぞれに味わいが違うのは不思議な気がする。地球の立場からしたら当たり前のことなのだろうけど。そんなことをぼやぼや考えていたら結露でラベルがへろへろになってしもうた。
芯のある落ち着いた味わいで、ひやおろしのように丸みを帯びた、と思ったところ驚いたのは、製造年月と蔵出年月との差。そしてすっきりと後味が切れる。どうにもいい味だ。酒好きな人に配って歩きたい。けれどもうちには四合瓶が1本しかないのである。
ええいくそう。
これはもう、呑むしかないのだ。