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評論

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主に短歌の評論をまとめていきます。
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記事一覧

短歌五十音「ま」枡野浩一『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである』

手紙を待っている。「あなた」からの手紙を、である。しょっちゅう手紙は来るけれど、その中に…

桜庭 紀子
2か月前
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短歌五十音「ひ」東直子『十階』

短歌五十音シリーズ、「ひ」の歌人として取り上げる東直子氏は、1963年広島県生まれ。1996年に…

桜庭 紀子
3か月前
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短歌五十音(ぬ)沼波万里子『砂のぬくみ』

今回の歌人、沼波万里子は1921年東京生まれ。歌誌「箒木」を経て「潮音」に入社。1946年、旧満…

桜庭 紀子
4か月前
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短歌五十音(て)寺山修司『寺山修司青春歌集』

寺山修司の歌集を取り上げようと思ったものの、実際に歌集を読んで混乱してしまった。「青春」…

桜庭 紀子
4か月前
18

短歌五十音(そ)染野太朗『初恋』

『初恋』は染野太朗の第三歌集。 恋人のいる「きみ」を思う、行き場のない主体の感情が繰り返…

桜庭 紀子
7か月前
33

短歌五十音「さ」 笹井宏之『ひとさらい』

今回笹井宏之を取り上げようと決め、歌集を読み返したものの、評を書くのがとても難しい、と感…

桜庭 紀子
8か月前
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短歌五十音(き)木下龍也『オールアラウンドユー』

いきなり表題歌を引く。 主体が詩の神に「あなたはどこにいるのか」と尋ねると、神は「君の周り全てに」と気だるく答えた。 筆者は特定の宗教を信じてはいないが、この歌集を読んでいる時間は、神様がソファに寝そべりながら部屋の中にいてくれたような気がした。 この歌集はそんな歌集である。 木下龍也は、1988年山口県生まれ。 2013年に第一歌集『つむじ風、ここにあります』(書肆侃侃房)を刊行、それからの活躍は誰もが知るところなので割愛する。 2020年には短歌入門書『天才による凡人の

短歌五十音(う)内山晶太『窓、その他』

一面に河原を覆うタンポポ。 主体はその景色を、眼を通して胸に写しとり、帰宅する。 静かで、…

桜庭 紀子
10か月前
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