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塾で本領発揮、時々撃沈(3)

塾を辞めるか真剣に考えた

長男は塾を辞めたいと言っているし、ふと思うと長男が家で塾の宿題を楽しそうにやっている姿など見たことがなかった。塾の直前ともなるとテスト前の確認か何かを追い詰められた表情でやっている。小学生がここまでの緊張状態に置かれるのは危険なんじゃないかと感じるほどだった。

塾をこのまま続けさせて良いのだろうかと迷った。辞めさせたいわけではなかったが、この頃小学校の方も惨憺たる状況、家もカオス、塾も苦しいという状況で、長男が耐えきれなくなって壊れるのではないかということを危惧していた。

一方で、塾をやめて学校だけが残るという状況も避けたかった。まだ長男のことを認めてくれる塾を残しておいた方が良いように思えた。しかし長男は明らかに塾にもストレスを感じている。進むも地獄退くも地獄だった。

夫の方も真剣に考えてくれていたようで、でも私よりもう少し長い時間軸で状況を見ていたようだった。話し合ったとき、夫は「もし今回逃げ道を与えるとしたら、これから先も同じようなことがあった時、同じように逃げ道を用意してやらないといけなくなるんだと思う。」と言った。

驚いた。塾を辞めることと、その他のことは無関係ではないだろうかと思ったからだ。でも、もしかしたらそうかもしれないと、夫が言わんとしていることも分かった気がした。

辞めるなら、もう敢えて”やった宿題が見つからない=宿題をやらなかった”と長男が信じてもらえなかった理由を聞くのは馬鹿げていたのかもしれない。それでも、塾の先生にはきっと理由があったはずで、それを聞かないまま万が一誤解をして退会してしまったら、あとで後悔しそうな気がした。

塾の先生に少し時間をもらって、この件と、長男の普段の様子を初めて電話で伺うことにした。

先生は、本心では長男が嘘をついているとは思っていなかった。ただ、長男がどうやら過去に、親が宿題を全部終わらさなくてもできるところまで頑張ろうと励ましたことを、「家では全部やらなくて良いと言われた」と言った事があったらしく、先生はこれが許せなかったようなのだ。

自分に都合よく解釈して人のせいにしたと先生は捉えたのだろう。よって先生は今回も状況如何を問わず、まずは誠実さに欠けた対応は許されない、ということを示されたようだった。ある意味では牽制だったのだと思う。

今回のケースが不誠実とは無関係と認識していても不誠実だとして叱ったことは、結果として長男には理不尽な思いしか残さなかったのだが、先生と話していると、確かに子供たちには厳しいことも言うのだろうが、勉強だけでなく、子供たちを人としても育てたいという思いもあるのだろうと感じられた。

何より、褒めるときは褒めて下さっていたし、長男もそんな時は格別な様子で報告してくれていた。夫も私もこの電話で、単に厳しい先生ではなさそうだと感じて、長男を引き続き今の塾に預けたいと思ったのだった。

この後、長男がなくしものをしないための仕組みづくりに着手した。プリントの定期的な整理は親が手伝うことにしたし、ノートの表紙に科目や日付を書くように声かけをするようにした。プリントが散乱したり、鞄の中で潰されないように、教科ごとにファイルも購入した。勉強もこれまで下の子が走り回る中リビングでやらせていたのを、リビングの端に横長でスペースが広く使える勉強机を購入してやって、夫がDIYで棚とライトを設置してくれた。

(4)につづく