塾で本領発揮、時々撃沈(5)
塾の宿題で手抜き?
時々決められた時間までに写メで宿題を提出することがあるのだが、長男は時間内にやり切らないことがままあった。ある時先生から、長男が非常に遅いペースであって、他の生徒さんの2割程度しか終わっていないと言われたことがあった。
さすがにそこまで遅れているとは驚きで、確かに嫌がったり悲嘆に暮れたりのロスを無くせばもっと早くできそうには思ったが、極限状態でやっている長男の姿を見ていると、これ以上のペースアップも厳しいように思えた。そこで先生に長男には言わないでほしいとお願いした上で、実は課題の見積もりであったり、全体のペースで親としても困っているということを伝えた。
先生からは、長男の出した見積もりについては「あり得ない」という回答とともに、塾でやれば半分以下の時間で終わるはずだと言われた。さらに、「ドラ(長男)さんの宿題の中身は正直かなり軽く、手抜きや雑な勉強が多いのが現状です。今回クラスで一位が取れていた得点も、復習ではなく、授業の理解力の高さで取っています。それは間違いなく大きな武器ですが、それだけでは必ず行き詰まるので、課題の質を上げるよういつも言っているのが現状です。」と言われてしまい、ぐうの音も出なかった。
家でのあの苦しみ悶える姿は何だったのか。手抜きなど到底想像に及ばなかった。長男のノートが汚すぎて何が書いてあるのか全く読めなかったために手抜きが見抜けなかったのかもしれないが、確かにノートをよく見ると、先生から「甘い!」とか「もう手を抜くのはやめよう」と書かれている。
つい最近も、写メを撮るときにノートのページとページが不自然にくっついていたので、むむっと思って確認しようとすると、長男がそこは見なくて良いと言うので、やましいことがなければ隠す必要もなかろう、堂々としておけと言って輪っかになったセロテープで留められたページを覗いてみたら、案の定、「甘い!」と書かれていた。
それでも、長男は宿題は苦しんでやっていた。夜中に「もう無理!」と叫んで夢から覚めたのも見た。それに、絶対に終わらせるんだと言って、夜中の2時に自分で目覚ましを掛けていたために、アラームで親も起こされたという経験もある。
「過剰」と「過小」で大きくズレる
ここで少し立ち止まって考えたい。
①長男はやりたくないから意図的に手を抜いたのか
②「課題の質」について長男なりに十分と思うレベルでやったのに、先生の期待値に届いていなかったのか
長男を見ていると、時々、レベル感の違いに悩んでいるように見えた。長男は塾の先生に厳しく叱られるのを本当に嫌がっていたので、怒られることを分かっていて敢えて手を抜くインセンティブは無かったと思う。
もしかしたら分かっていても嫌すぎてできなかったのかもしれないし、真相はわからないものの、長男は日常においても、相手が「過小」と思うことを「過剰」と思ったり、その逆ということが良くあって、ズレに直面しやすい。人がこう思うだろうというのをうまく想像できなくて、的を外して不利な目に遭うことも多い。
問題になっているのが宿題の「質」となると、長男の「十分」が先生からしたら「不十分」となった可能性もあるような気がした。こういったズレは、もしかしたらギフティッドであることに起因するのかもしれない。そして結果的に長男サイドに修正が求められるため、長男も生きづらいとか、納得がいかないのに、ということで衝突が起きやすくなる。
宿題は塾でやらせることでコンセンサスが一致
長男の状況を知って、塾の先生から提案があった「宿題は塾でやらせたほうが良さそうですね」。この提案はとてもありがたく、お言葉に甘えることにし、長男は塾の授業があるなしに関わらず、日曜を除く週6で塾に行くことになった。
意外なことに、長男はこの週6登塾で息を吹き返すことになる。
(6)につづく