10歳 両親の離婚

そうした幼少期の生活環境は、知らないうちに自分に対する無価値感を徐々に刷り込んでいくのだった。
それを知るのは大抵大人になってからで、自分の中に様々なものが備わっていなかったと気付いた頃には物事はかなり進んでいるのではないだろうか。

カウンセリングを受けに行った際、10歳の頃の記憶や当時の気持ちをかなり細かく聞き取られた。
何故10歳頃なのかは聞かなかったが、その頃が人格の形成に大事な時期なのだろうか?
カウンセリング内容は後に書きたいと思う。


両親の仲が良くなることは無く、最終的には離婚に至ってしまった。母から聞くには、父の浪費癖や借金等が理由だったらしい。
離婚に繋がる決定的な喧嘩を私は目の当たりにしていた。
話の内容は分からなかったが、家の2階での2人の話声が次第に大きくなり、逃げるように母が1階の風呂場に降りてきた。
後から父が風呂場まで追いかけて母の腕に掴みかかった。
大声で何やら喧嘩しているので、その場に居た私は「やめてよ!」と叫んだ。
ほんの一瞬会話は止まったが、私の声は何も彼らに響かなかったらしい。
口論が終わった後の記憶は曖昧だがその晩は祖母と2人で寝たのだった。


程なくして茶の間のテーブルに書きかけの離婚届けが出しっぱなしにされている事が何度かあった。
今思えば家族全員が行き来する場に出しておくこともないだろうにと思う。
反抗の意を込めて、誰も居ない間に書かれている箇所を消したりチェック欄にチェックしたりしていた。
そんな反抗も虚しくいつの間にか父の姿は無くなっていた。





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