コロッケの揚がる音についての考察
コロッケが揚がるのを待っている。
もしもこのように幸福の音というものがあるならば、コロッケの揚がる音は間違いなくその1つである。
なんといってもあのコロッケという、ほくほくとした素朴な味わいの揚げ物、それが際限なく(あるけど)できていくその音、これを幸福と言わず何と言うのだろうか。
もう少しすれば、俵型の茶色いサクサクした衣の中にある、ほくほくにかぶりつくことができる。
少し熱い、いやかなり熱い、何せ揚げたてだ、コロッケはね、揚げたてをかじりつくことにその価値があるんだよ。
口の中が火傷しそうになってもオッケー、それはむしろ歓迎、そういう状態になりながらも咀嚼し、無理矢理飲み込んでしまうのだ。
そこに、件のレモンサワーでも流し込む。
まだ熱を帯びたコロッケを咀嚼し、レモンサワーで口の中を冷やす、その繰り返し、最も幸せな晩酌のあり方だ。