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『本物』のトロフィーってなんだ?

 生まれも育ちも沖縄県。現在も沖縄県で暮らしています。
 小学校教師10年目、6歳、4歳、2歳、0歳の4人の子どもを育てる父親です。

 育児での気づきを教育に生かし、学校現場での学びを育児につなげることをモットーに日々奮闘しています。教育と育児のリアルな経験をもとに考えたこと、何かヒントになるといいな〜と思うことをお届けします。

 今回のテーマは『本物のトロフィーってなんだ?』です。

 私の教室には、プラスチック製の金色のトロフィーがあります。100円ショップで購入しました。かれこれ6〜7年ほど使用しています。とても丈夫な作りで、全然壊れません。というか、子どもたちもとても大切にしてくれます。

ある日の給食じゅんび時間、子どもとこんな話になりました。
私は3年生の担任をしているので、子どもは8〜9歳です。

Aさん『これってどこに売っていたの?』←100円ショップです。

Bさん『えー。てことは、本物じゃないってことだ‼︎』←それって、ニセモノってこと?

Bさん『そういうわけじゃなくて‼︎』

その後、Bさんは一生懸命自分の考えを説明していました。

Bさん『このトロフィーは何でできてるの? 本物の金じゃないよね? プラスチックでできているってことは、本物ではないってことだよね?』

私『そうだね。金ではないね。でも、プラスチックでできた本物のトロフィーだと思うよ。』

Bさん『うーーーん。そういうわけじゃなくて、作られているものが重要でしょ?』

Aさん『Bさんが言いたいのは、何でできているかが大事ってことでしょ?』

私『そうだね。そういうものもあるよね。金は少ないからね。価値が高いってことだ。価値が高いものは、みんな欲しがるもんね。でも、このトロフィーは、確かにプラスチックでできているけど、100円ショップで買ったものだけど、クラスのみんなが欲しがっているよね。この前なんて、体育でチーム対抗のリーグ戦をしたら、決勝戦で負けて泣く子だっていたじゃん。このトロフィーは、プラスチックでできているけど、どうしてみんな欲しがるの?』

Aさん・Bさん『それは……。むずいッッッッ‼︎』

その後、午後の図工の授業で、くぎうちトントンをしました。←学校の先生ならわかります。
その際、くぎが曲がったり、落とし物でくぎが出たりします。どのように指導しても出ます。片付けの際に、
私『拾ったくぎは、このトロフィー(カップ型)の中に入れてください。』
というと、みんな合言葉のように「〇〇カップに入れるんだよ!!」と言っていました。このトロフィーには愛称もついているのです。

どうでしょう? これって本物のトロフィーじゃないでしょうか?

Aさん『先生くらいだよ。トロフィーをそんな使い方するのは。』

私『そうだね。バチあたりかな?』

Bさん『そうだよ。バチあたりだよ!!』

私『じゃあ、やっぱりこのトロフィーは、みんなにとって本物ってことで、大切にしなきゃいけないもので、とても価値の高いものってことだね。やっぱり本物だ。』

Aさん・Bさん『……。何でそうなるの?』←すごく呆れ顔をしていました。


 3年生には少し難しい話だったし、大人がめんどくさい方向に話を持っていっている気がしますが、私はとても大切だと思ったし、何より楽しかったのです。
 お金や物の価値などをテーマにして話す機会は、親子でも大切にしています。それは、子どもたちとも同じようにしています。給食の牛乳だって1本60円くらいするという話を聞きました。残す理由はそれぞれあると思いますが、ある子どもに話をすると、『えっ…。』と言葉に詰まっていました。
 人それぞれ、どんなものに価値を感じるかは違います。時間に価値を感じる人、意味に価値を感じる人、実利に価値を感じる人。
 今回のテーマにしたトロフィーは、意味に価値を感じている例だと思います。しかも、特定の集団、今回でいえば私のクラスの子どもたちにとって意味を持つものです。それが、何でできたかは特に関係ないと思います。
 また、積み上げてきた時間も含まっていることもあるでしょう。


 現代で言うとお金、特に紙幣は実際の製造コストでは数円です。でも日本銀行への信用で成り立っています。今回のトロフィーの話も似たようなものだと思います。お金の歴史やお金の価値などを学ばずに大人になるよりも、じっくり小さい時から学んで、考えていくことが大事だと思います。
 そういう私はお金について学んできたことはありません。大人になってから学び始めて、今も勉強中です。これからも子どもたちと一緒に考えていきます。
 キングコングの西野亮廣さんが書いた『夢と金』をもう一度読もうと思います。

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