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映画感想 「メイクアガール」音フェチが楽しめる3Dアニメ!


アニメ映画「メイクアガール」のネタバレあり感想です。


良かったところ

3Dキャラクターの動きが魅力的

安田現象さんの作品は数年前からSNSのショートアニメで知っていて、3d モデルの動かし方が好みでいいなと思ってた。
日常の何気ない動作とアクションの動作、静と動どっちもアニメーションにも魅力がある作り手だなと。3Dモデルを動かしてるんだけど、不自然さがなくていい。『人形劇』になってないというか。
今回の映画「メイクアガール」でも、キャラの動きとかは一級品だなと思う。新人とはとても思えない。
普通に地上波放送されててもおかしくないレベルでアニメーションの技術が高い。
凄すぎて途中から3Dキャラの動きとか、途中から逆に驚かなくなったもん。自然すぎて。
キャラクターの絵柄も可愛い

効果音が気持ちいい!音フェチにもおすすめ

SNSの安田現象ショートアニメーションを見てて、いいなと思ってたことの二つ目。
効果音がすごくいい。音フェチのASMR好きにはたまらない!

足音、金属音とか、ひとつひとつの音がなんかすごくいいんだよな。音響を担当してる人、ほんとにいい仕事してる。

もちろん監督が音を作ってるわけじゃないんだけど、作品の方向性を決めてるのは監督な訳じゃん。いつも同じ人が音響担当してるわけじゃないのに、この監督の作品は効果音に統一感あるんだよね。
なんかリアル寄りな感じの効果音、すごく聞いてて気持ちがいい。
監督、効果音にこだわりあるのかな?

音フェチはぜひ他作品も見てほしい。特におすすめなのはコレ↓


この動画の

・髪を切るハサミの金属音
・床を靴で小刻みに移動する足音
・髪を切るチョキチョキ音

最高。たまんない。これをダントツでループして見ちゃう。

今回の映画「メイクアガール」でも

・足音
・ロボットの動く音
・布団から起き上がる時の衣擦れの音
・金属の部品がコンクリート床を転がる時のシャリーンって音

などなど、音がすごい好みだった。
映画館の音響設備でいい音が聞けるアニメーションみれて良かったな。

好みな動きをする3Dアニメーションを、好みな効果音が使われてるっていうので、大スクリーン&良音響の映画館でメイクアガールを見に行った結果、上記2点は満足だった。

不満だったところ

シナリオ【ヒロインを大事に扱って欲しかった】

大まかなあらすじは悪くないかもしれないけど、その結末に至るまでの細かいシナリオ、演出に物足りなさを個人的には感じた。

ビターエンドでもいいし、恋愛ものと見せかけてどんでん返しがあってもいいし、ヒロインと結ばれなくてもいいけど、そういう展開自体は別に嫌いではないけど

なんか見せ方っていうか、話の演出が物足りなかった。
ビターエンドならはっきりビターっていう書き方をして欲しかった
ラストはなんだかふわっと終わるけど、
0号の中身が変わって別人になったであろうことを明が何も気にしてない感じがちょっと個人的には辛かった。好みかもしれないけど。

0号をメインヒロインとしてシナリオ上で大事に扱う描写があれば、ビターエンドでも納得できたかな。0号の扱いをもっと大事にして欲しかったと思った。
結末が同じであったとしても、演出でもっともっとフォローしてほしいというか。

なんとなく0号がシナリオの踏み台のような扱いになっているように感じて、寂しく思った。

キャラクター【主人公に魅力をあまり感じなかった】

主人公の明、よくないほうの社会不適合キャラだなって思った。
こういうのって、客に受け入れやすくするためにマイルドに描写するじゃん。不適合具合を。明のコミュニケーション苦手具合はあまり可愛げがなくて驚いた。欠点を補うほどの愛嬌・魅力があればもっと見やすかったかな。
明は一見優しいふうなんだけど、自分のことばっかりで優しくはないよな。無関心という、優しい風の人間。
そのえぐみが強くて、ちょっとしんどかった。『明、優しいとこあるじゃん!』って思いたかった、好きになりたかった…。

主人公の明に魅力をあまり感じないので、明のことを好きな0号や茜の描写にも
「どうしてそこまで明のことを大事に思うんだ…」とイマイチ話に乗り切れなかった。

主人公の明にもっと愛嬌あったら、脇を固めるキャラたちの魅力も相乗効果でアップしたかも。

入場特典の差がありすぎる

これは映画の内容ではないけど、入場特典の格差が気になった。
早めに行った人の入場特典はポストカード一枚。少し後から行った人には豪華ブックレットなど…。
さすがに特典の質に差がありすぎて残念だった。

動員数にブーストかけるためや、熱心なファンにリピートしてほしい、という作戦なのは理解できる。運営側の意図としては理解できるけど、客側としてはやっぱり複雑な思いがある。

熱心なファンに「損した」って思わせないようにしてほしいかな。ファンのこともう少し大事にしてほしいと感じた。

雑感【見たかったものとは違った】

『彼女をつくるとレベルアップできるらしいってことで、彼女を科学的に作ってみた』
っていう、あらすじって
あのー。監督は『比喩表現を言葉通りに受け取っちゃった!』っていう発想の広げ方をするよね。

他のショートアニメでも

・『カレー鍋を一晩寝かす=実際に布団に寝かして添い寝してみたよ』

・『狐の嫁入り=実際に狐がお嫁さんに変身したよ』

みたいな感じで発想を広げて作ってる。

今回「メイクアガール」も
『彼女作れよ、って言われたから実行しよう=実際に作ってみた』っていう発想が面白そうだと思って映画を見に行った。

人造人間ヒロインよりも、人間の主人公の方が心がロボットみたいで
対比になる存在の化学反応っていうかさ、
主人公とヒロインが対になる存在として描かれてるのかな、そうなら面白いだろうなって思って見に行った。

そしたら、明もロボットで、0号もロボットで…っていう設定だったので、
見たかったものと違う、とは思った。

なんか結局明も0号もロボットだから
なんかこう、「ロボット同士のコミュニケーション構築のやりとり」とか見ていてもなんか退屈に思うし、

明の社会不適合者的な性格を『実はロボットだから』って説明されても
「そりゃ人間じゃないんだから人間らしい思考してないわな」って感じで、それは当たり前のことだから冷静な気持ちになってしまった。

個人的な好みの話になるけど、
明は人間で、0号はロボットであって欲しかった。
人の気持ちに疎いロボットみたいな『人間』であって欲しかったなあ、明


まとめ

「メイクアガール」を見て、満足した部分と不満を感じた部分、正直同じくらいありました。

でも、『3Dキャラがここまで違和感なく魅力的に動いて、気持ちいい効果音が聞けるアニメーション』………これを満たしてる作品ってなかなか見つからないので、応援しています。

まだまだ若くて荒削りだけど、とても才能あふれる制作チームだと感じました。
次回作にも期待しています!

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