仕事で戸惑いを表明してもいい「公式オロオロ」の使い方
会社員時代の私は、仕事は仕事、プライベートはプライベートとはっきりと分ける人間でした。
金融機関という仕事柄、普段どおり、ほわほわしているわけにはいきません。
しっかりしないといけない、はっきり言わないといけない。
そんな、自分の真面目な部分を全面に押し出したキャラクターで仕事をこなしていました。
強い自分を演出することに躍起になっていましたが、 一生懸命になればなるほど仕事がうまく回らない。
特に、お客様との関係でギクシャクしたりすることが多かったです。
そんな中、先輩から
「もっと自然体でいてもいい」
「弱さも出していい」
というアドバイスを受けました。
半信半疑でしたが、少しだけ自分らしさを見せると、何だかラクに働けるように。
この経験を通して、仕事で戸惑ったり悩んだり、困っていることをもっと外に出してみる。
そんな、信頼関係のつくり方もあるのだと気づいたのです。
これを私は「公式オロオロ」と呼んでいます。
今回は、仕事が上手くいく万能コミュニケーション術「公式オロオロ」の効用と正しい用法についてお話しします。
公式オロオロって何だ?
公式オロオロとは、呼んで字のごとく、パブリックな場で戸惑いや困っている感情を表明することです。
特に業務で、若干のネガティブな意思表明をすることを指します。
私の仕事の話になりますが、以前、保険会社で保険金の支払いをしていたことがあります。
平たく言うと「人の命に値段をつけてお金払いますよ」という仕事です。
「お金」と「命」という人生で大事なものトップ2がテーマの交渉なので、どうしてもやり取りがシビアになってきます。
そんな時に
(強気でいかなきゃ!)
(何を言われても言い返さないと!)
ではなく
「そんな風に言われたら困ってしまいます」
「 全くどうしていいものか…私も悩んでます」
という弱気な発言をする。
これが、公式オロオロの基本パターンです。
仕事モードの自分から、プライベートの自分の本当の感情をチラっと垣間見せて表明します。
何てことないけど心理的効果がある
はじめは、
(自分の弱みを見せるなんて嫌だ)
(そんなことをしてしまうとナメられる)
そんな心配をしていました。
とりわけ私は見た目雰囲気ともにほわほわで、「こいつ大丈夫か」と思われがち。
だから、頼りなさが伝わる言動には抵抗があったんです。
だけど、これが意外と効果アリアリだったのです。
私の戸惑いを見た相手は、自分の本音を話し始めました。
こうしてお互いタテマエではなく、本音で話し合えるきっかけとなり、仕事がスムーズに回り始めました。
公式オロオロは、自己開示の一種です。
ありのままの姿を見せることで、より深い関係構築ができる。
また、返報性の効果もあり、相手も同様に自分も何か打ち明けなければという心理になります。
さらに、開示した本人も本音をアウトプットすることで、あのままの自分を認めることができるとか。
自己肯定感も高められるという、自分にとっての好影響もあります。
もちろん注意点もある
メリットがたくさんありますが、気をつけたいのは使う相手をしっかりと見極めるということ。
そもそも話がこじれてしまっている相手や、お互いが感情的になっている段階で、
「戸惑っています、困っています」
なんて相手にぶつけたところで、火に油を注ぐだけです。
また弱みを見せることで、相手が逆手に取り事態が悪化することも考えられます。
使い方には注意しましょう。
もう少し使いかたを詳しく
公式オロオロは、開き直りではありません。
どうなってもいいや、という気持ちではなく、もっと戦略的に使います。
自分の思いを開示することで、いい影響があるのかどうか。
今うち明けることで、問題が前向きに解決しそうなのか。
いろんなパターンを想像しながら使えるのが理想です。
そして表明するのはオロオロです。
決して、怒りではありません。
攻撃的な感情を外に出すのはNG。
困っています 戸惑っています、という感情を軸に発信してください。
使える相手は、オールラウンドでいけそうですね。
困ったクライアント、パワハラ気味の上司、周りを振り回す先輩などなど。
そして、公式オロオロにプラスして、改善案を提示できると、より踏み込んだ内容で話し合いができます。
まとめ、仕事に自分の感情を戦略的に持ちこんでみる
心理的安全性という言葉が、よく使われています。
業務やチームのパフォーマンスを上げるには、どんなことを言っても安心安全という環境が必要だとか。
昔は、仕事で本当の自分を出してはいけないという考え方がありました。
でも今は、仕事の効果や効率を高める手段として、場面や状況に応じ、公私をミックスさせる時代にさしかかっています。
あなたの気持ちや、あなたらしさを発揮することで価値が高まる。
そんな仕事を、これからしていきたいものですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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