知られざる国立中学
中学受験といえば私立中学の受験が一般的です。
近年は、公立中高一貫校も人気が高まっています。
一方、国立中学については、情報が少なく、殆ど知られていないと感じます。
進学校ではないため、大学進学実績などを宣伝するインセンティブもその機会もないことが理由のひとつだと思います。
もうひとつの理由は、定員の少なさと指定区域内に居住することが受験の要件になっていることがあると思います。
都内には8つの国立中学があります。
筑附、お茶大附、学芸大附(小金井、竹早、世田谷、国際の4校)、筑駒、東大附です。
これらの学校における、中学での募集定員の合計600人程度にすぎません。
都内私立中学の定員(総合計25,000人)の40分の1以下です。
各校により受験要件が定められていて、東京であれば、都内や隣接する県の特定の市に居住していて、入学後も継続できることが必要です。
以前、当ブログ記事で国立中学と私立中学を比較し、それぞれの特徴とメリデメを整理しました。
https://note.com/gifted_mimosa213/n/nfb989e627685
我が家では2022年に息子が中学受験した際、国立中学について調べましたので、国立中学とはどんな学校なのか、ご参考までに紹介したいと思います。
<国立中学とは>
国立大学に付属する中学校で、大学が新しい教育方法を研究する場です。
地域のモデル校としての役割もあります。
大学の教育実習生の受け入れも行っているのも特徴的です。
国立中学は、全ての都道府県に設置されています。
東京都には、中等教育学校2校を含む、8つの国立中学があり、その全てで高校を備えています。
多くの学校が付属の小学校から接続しています。
例えば、筑附、お茶大附、学芸大附には附属小があります。
お茶大附や学芸大附(小金井と竹早)には付属の幼稚園もあります。
国立幼稚園や国立小学校の「お受験」の世界です。
都内の国立中学で附属小が設置されていないのは、筑駒と東大附のみです。
<授業内容>
大学の実験校として設立された経緯があり、ユニークな学習指導や、本質的な学問を志向したアカデミックな授業が行われ、研究熱心で情熱のある先生も多いようです。
学びの意欲と自主性を引き出すため、話し合いや発表会などのディスカッションが多く、座学だけでなく、フィールドワークも積極的です。
事あるごとにレポートを書く機会が設けられ、休みの自由課題や自由研究のクオリティには高いものがあると言われます。
進学校ではないため、学校では大学受験に向けた対策は一切行いません。
これに対し、公立中高一貫校は、進学校です。
大学受験のための指導や対策が行われており、大学合格実績をアピールしている点が国立との違いです。
どちらにしても、勉強は自分でやるものなので、本質的な差はないと思いますが…。
<校風>
一般に、私立に比べて校則も少なく自由度が高いので、厳しすぎず、整った学習環境で過ごすにはいい環境だと思います。
募集人数が少なく、入試の難易度も高いので、集まる生徒のレベルは総じて高いです。
体育祭、文化祭などの行事には、長時間かけて準備を行い、企画や当日の司会進行は生徒がするなど、生徒の自主性が前面に出る学校が多くなっています。
クラブ活動も多彩で、中高を通して打ち込むことができるのは私立と共通していると思います。
<入試>
私立中は「試験」であるのに対し、国立中は「学力検査」と言われます。
ちなみに、公立中高一貫校は、入学者を決定するにあたって「学力検査」を行うことが禁じられているため、「適性検査」を実施しています。
国立中学の学力検査は、国算理社4教科が多いですが、科目横断的な出題や実技のある学校もあります。
実際には、学校ごとに出題内容・形式が大きく異なります。
国立中の入試では、中学入試算数特有の特殊算のような問題がダイレクトに出ることはないため、難易度は私立中学ほどではないと言われることがありますが、深い思考力が問われる問題が多く、別の難しさがあると思います。
一番の特徴は、学校の調査書(小学校の成績や活動を記録した内申書)が評価対象に明示的に含まれていることだと思います。
調査書は公立中高一貫校でも必要です。
どう評価されるかわからない部分もあり受験する上で不安になりますが、こればかりはあまり気にしてもしょうがないです。
何といっても、学費が安いことは私立中と決定的に異なる点です。