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鉄緑会指定校の変遷にみる中高一貫校の栄枯盛衰

鉄緑会」という東大受験専門塾について取り上げたいと思います。

「東大合格に一番近い塾」(?)なのでしょうか…

敷居が高く、塾が指定した学校(私立の中高一貫校が多い)の生徒か、難しい入会選抜試験に受からなければならない。

しかも、この指定校の生徒が無条件に入塾できるのは中1の4月だけ(それ以降の入塾は選抜テストを受ける必要あり)。

そのカリキュラムは、中1からの6年間で大学受験に備えるものです。
(だから中1春からの入会が推奨…ヒエ~)

東大か医学部向けが対策がメインで、中高一貫校に通う生徒を主な対象としています。

徹底した先取学習に特徴があり、数学は中3までに高校範囲を全て終わらせるというもの(速い!)。

高1から2周目を回し、高2から入試レベル。

高3は何をするのでしょうか…?

指定校については、塾によればその基準は、単に東大合格者数ではなく、これらの学校の入試問題といいます。

つまり中学入試に関係している。

中学受験のトップ層では、志望校を考えるにあたり「鉄緑会指定校」かどうかも一つの判断材料になるという考え方があります。

 
<指定校の変遷>
指定校は現在15校あります。

このうち、2000年時点から変わらないのは次の9校。

開成、麻布、筑駒、駒東、海城、桜蔭、女子学院、雙葉、筑附

2000年当時は14校で、これと比較すると、5校がリストから外れ、6校が新たにリストに加わったことになります。

時系列でまとめると以下のようになります。

【2000年代】
お茶大附、学芸大附が外れ、代わりに聖光、栄光が加わる
白百合が加わる

【2010年代】
巣鴨、桐朋が外れ、代わりに豊島岡女子が加わる
武蔵が外れる
渋幕が加わる

【2020年以降】
渋渋が加わる
早稲田が加わる(2023年)

こうしてみると、2000年以降の中高一貫校の「流行りすたり」が見て取れます。

人気が出てきて上位層がその学校に集まるようになると大学合格実績が増加し、学校側もより優秀な生徒を選抜しようとして入試問題も難しくなる傾向があるように思います。

知識量では差が付かないので、思考力や表現力を重視し、記述問題が多くなる。

そしてだんだん国立大学の入試みたいになっていく…。

ただ、指定校を外れたからといってその学校の魅力がなくなるということではないと思います。

例えば、武蔵が指定校から外れたからといって、その価値が失われたとは思いません。

リベラルなアカデミズムの伝統がこの学校の良さで、学校側は、東大合格者数を増やすための教育をすることに熱心ではないと思います(一個人の感想です)。

だから人気を落としているのかもしれませんが…。

学校の教育哲学や校風が各家庭の教育方針にマッチするかどうかはまた別の話だと思います。

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