先取り学習が招く、中学受験最大の敵
我が家では2022年に息子が中学受験しました。
息子は算数小僧で、幼児の頃から算数・数学を独自に進めていました。
もともと小さい頃から数字が大好きで、数の絵本や時計のおもちゃでよく遊んでいました。
理数系専門塾(エルカミノ)の代表が、中学受験において「先取り学習は逆効果」と言っていたのが気になり、紹介したいと思います。
エルカミノは少人数制で、生徒は1学年100名程度、2022年の合格実績は、筑駒9、開成13、麻布7、渋幕18、渋渋9など、難関校に非常に強いイメージです。
先取り学習がダメな理由は、ズバリ「子どもが飽きてしまうから」。
中学受験においては「飽き」こそが最大の敵だといいます。
先取り学習してしまうことによって、塾や学校で習う内容に新鮮味がなくなり、学習に対する意欲が低下する可能性が高まる、と。
たとえ飽きが来ても、先取った内容が頭に入っていれば何も問題ないのでは…?
先取り学習によって意欲が低下した状態で1年かけて習得したことは、好奇心があれば1ヶ月で追いつけると言います。
意欲が低下すると、1年分先取りしていたとしても、受験が本格的にスタートすれば1か月分くらいのアドバンテージにしかならないという…。
しかも、意欲の低下というのは全教科に影響するので、先取り学習により最初は成績上位で優秀と思われた子がその後成績を下げていき、志望校に合格できないという事態を招く可能性があるといいます。
怖い…。
一旦勉強への興味や感心を失ったら、そうなるかもしれません…。
息子の通った塾(SAPIX)は、「徹底復習主義」を掲げ、予習不要でした。
保護者向け説明会で、塾の責任者が、「予習すると分かったつもりになり、授業に興味を失って話を聞かなくなります」と言っていました。
子どもの好奇心ってどうやったら育つのか…。
代表は、何ら難しいことではなく、「10歳までは、子どもの好きなことを徹底的にやらせてあげること」だと言います。そして、子どもの好奇心をくすぐる材料は日常生活の中にいくらでもあると。
我が家は間違ってはいなかったのか。
ウチの算数小僧は、数字に囲まれているのが好きで、数字パズルと算数検定にのめり込んでいました…。
親からすると、そうは言われても、塾の学習スピードは速いので心配だと思います。
特に算数についてはどの単元も導入部分はとても短く、少しだけ先生が説明したら、いきなり「では問題を解きましょう」というスタイルだったと息子から聞きました。
初めて聞いてすぐ解けるわけがありません。
わからない問題を何とか理解しようとするからこそ真剣になるのかもしれません。
代表は、「理科社会よりも、算数の計算問題と国語の漢字など、基礎を繰り返し学習しておくことは有効」と言っています。
計算は複雑なものではなく、百マスなどです。
確かに、本格的に受験をスタートする前に計算スピードをつけておくことはあるかもしれません。
特殊算の解法は理科社会と同じ暗記物の一種ですので、先取りしてもすぐに追い付かれてしまいそうです。
「中学受験の試験に出る問題の8割が基礎、2割が思考力を問う問題」だと言い切っています。
ここでいう「基礎」の意味ですが、誰でもできる簡単な問題ということではないと思います。
既に知られた解法パターンを使うことができ、その学校を受ける多くの受験生が理解できる問題、ということだと思います。
基礎を完全に固めるのは本当に難しいです…。
3年間息子の勉強に伴走してきた実感です。