梅仕事(1)
雨の日が続く、梅雨(つゆ)。
それは梅仕事(うめしごと)の合図。
梅をボウルに入れ、優しくくるくると
回しながら、ゴミをとる。
水分を拭き取りながら、軽く産毛も拭き取る。
この時、傷や虫食いの梅を除く。
爪楊枝で、おへそのヘタを取る。
煮沸した保存瓶を斜めにして、
水分をきれいな布やキッチンペーパーで拭き取る。
梅を傷つけないよう、優しく瓶の中に並べる。
はちみつを少しずつ梅の表面に垂らす。
梅を入れては、はちみつを垂らす、を繰り返す。
梅を入れ終えたら、蓋をして、毎日、眺める。
これからしばらくウワクワクが続く。
毎日、眺めていると、やがて、梅のヘタから、
ぷくぷく出てくる泡と共に、液体が出てくる。
蓋を開けると、軽く圧を感じ、梅と蜂蜜の甘い香りが届く。
再び蓋をして、瓶をくるくると回して、
蜂蜜がまんべんなく梅に行き届くようにする。
蓋をして、また眺める。
数日も経てば、1番下の梅あたりまで、
梅から出てきた液体で浸かる。
毎日、蓋を開けてガス抜きをする。
毎日、蓋を開ける行為は、
本当に毎日しないといけない、梅仕事の必須作業。
ある年の暑い日のこと。
外出して、夜に帰宅すると、何やら異変を感じた。
明かりをつけると、
瓶の蓋が瓶の傍らに転がっている。
そして、歩みを進めると、
梅から2メール先の廊下の終わりに中蓋が転がっていた。
密封状態になっていた梅が暑さで発泡が進み、
爆発したのだった。
それからは、中蓋を使うのをやめ、
日に何度かガス抜きをするようになった。
やがて、梅から出た液体は、梅全体を浸すほど出てくる。
時々、液体を掬い上げ(すくいあげ)、
水を加え氷を浮かせていただく。
梅を通して、大地、太陽の恵みをいただく。
「いただきます」、は食する
植物、動物たちの命をいただくから、感謝を込めて。
そして、それらを育てて、私たちの手元に届けてくれた人々に対しての感謝を込めて。
我が家の梅仕事は、梅からのシロップを半分ほど楽しんだら、梅干し作りに移る。
つづく。
香坂 秋
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