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コロナ禍後に進んだ、知性格差拡大の正体(再編4年後感想つき)

<アプデ感想>
もう4年半も前、コロナ禍真っ只中、公立中のカリキュラムおよび高校受験の範囲が緩和されました。具体的には例えば数学などで三平方の定理などが受験ででなくなりました。
コロナで学校が休みになった数年は、公立高校の進学校でも優秀層は勉強時間が確保され、東大合格者数もしばらくは伸びた2年間があります。

ただ、今後は、この昨年の高3、今年の大学受験生の学年は、公立中のカリキュラムが緩和された学年です。また、中学のど真ん中でカリキュラムが中断され、学習内容は薄くなっています。

これは、不利や有利という話ではなく、
・大きな知性格差の顕在化
になってきたと僕は思います。あの頃から、ますますいろんな意味での格差が開いてきたのではないでしょうか。


以下、記事
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200611/k10012466421000.html

 2020年6月、このような高校入試における決定がなされました。まとめますと、コロナ禍で授業ができていないので、高校入試の内容を一部省く、というものでした。

 非常に嫌な予感がするので、問題点や今後のコロナ禍以降での教育界の動き・浮上するであろう問題点を予測してみたいと思います。

・入試範囲の削減→教育の本質から外れる危険性、数年後の格差拡大に直結

……数学の高校入試の試験範囲から削減をして、予定どおりの日程で行うことが都では決定になりそうです。これは教育委員会お得意の悪平等であり、非常に危険に思います。


 平等を謳っているはずではありますが、過去最大の教育格差拡大につながるので、平等には結果として繋がりません。決定した偉い方々の意図通りにすらならないのです。誰も得しないことに警鐘を鳴らしたいと思います。目先の批判や窮状をかわすために行うべき決定ではありません。


 日本の今後の教育界をどうしたいのか、明確なビジョンが見えないのが嫌な予感がするのです。現場がわかる方、入試の実態がわかっている方はいないのでしょうか。


 また、やたら下位にばかり目がいき、伸ばすべき中~上位6割程度の子の伸びをどうでもいいと軽視してるようにも見えます。


 教育をする、のが目的のはずの公的決定が、させない決定をして如何とするのか。国をあげて補習をする、フォロー体制を組む、無理なら、日程を後ろにずらす、などの方向性でまずは考えるべきことに思います。9月入学もその論調(全部を半年後ろにずらす。機会の平等に本当の意味でなる)でやれば良かったのです。


 まず、この三平方の定理を試験範囲に入れなかったり、他教科でも日程をずらさずに試験内容だけ変更して、一番得をするのは誰かを考えてみましょう。小から高校まで、いろんな教育機関にふれている僕からははっきり見えることがあります。


 これは、一番得をするのは、私立進学校の現中3の生徒です。次に、私立の中2です。ますます、この学年を中心に、コロナ後の国公立大の合格者は私立進学校の生徒たちがますます占めるようになっていくことでしょう。

 これを論じていきます。

<高校入試はただでさえぬるい。三平方の定理を知らず、演習もせずに高校生になる危険性>

 ……まず、そもそも、高校入試の公立入試は簡単です。どんな人間にもそこそこ点がとりやすいように、前半はかなり簡単で、後半でやっと上位の子たち用の、難しい問題が出てきます。ですから、三ヶ月程度の勉強でも簡単な分野を効率よくやれば、7割くらいまでは簡単に行きます。(これも僕はあまり良くないと思っています)

 受験の駆け引き上、最後の方の難しいものは飛ばしても8割とれます。それも戦略上は「あり」です。都立高のそこそこのところ(偏差値では65くらいまで)であれば、これで大丈夫です。

 数学では、この「難しいもの」の分野は、ほぼ限定されています。「相似」「三平方の定理」「二次関数」になっています。早慶を中心に、都立高でも独自入試をしているところは、この辺をしっかり演習していくことになります。


 その一角たる三平方の定理が抜けると、それだけで受験生の相当な負担減にはなりますが、それでいいのか、というのが僕の問題提起です。


 高校以降は、「高等教育」なのです。どこに水準をあわせているのか、低すぎやしないか、と思うのです。「平等」なだけで、「公平」には思えません。上位の子はどうでも良いのでしょうか。上位の子たちは、おそらく、高校に入ってから大学受験では大変な苦戦を強いられます。


 つまり、現状公立中に通う、上位生から可能性のある中位くらいの子が、高校以降、不利になることが、見えてくるのです。


 別に通常通りの試験を行って、低い平均点で合否を決めてもいいわけです。それでも勉強してきた子が残る、やる気のある子が残ります。(ま、おそらく、平均点もそこまで下がりません)


 また、現状の中学での授業など、生徒にとっては、評定のためのものでしかありません。内容のレベルはお粗末だし、何のためにやるのかわからないプリント提出や課題提出も多いです。

 高校入試自体に、学校の授業が途中から(特に中3夏以降)一切プラスになっておらず、三平方の定理など、そもそも最後まで授業でやり切れない学校も多いことを付け加えておきます。


 おそらく公立においても、勝っていくのはお金持ちの家庭が多いのでしょうし、それが懸念されての決定だと思います。

 でも中学内容は自習できないような高度な内容ではありませんし、そもそもほとんどの子は塾ですでにこの範囲をやっています。すでにお金持ちが有利なのです。


 それが嫌なら、塾にいくことに助成金なりなんなりを出すか、学校で安価な補習を公的な事業としてすべきです。悪平等にしかみえないくらいに基準をそろえることばかりに意識が行き、上位を伸ばそうとせず、下位のフォローもない、これが公立中の現状です。



 日比谷や早慶を除くと、それ以外は独自入試であっても、私立進学校の生徒がやっているカリキュラムからすると、非常にぬるい内容です。ましてや、都立一般入試の内容など、中堅私立の中1(夏以降の状態で)でも7割くらい取れてしまいます。

 

 そして、それを突破した子が公立高校生になるわけですが、すでにそのころには、高1内容を英数までかなりやっている私立進学校の子たちとの間には大きな差が存在します。

 そして今度はがっぷり4つで大学受験で戦うことになります。日比谷や都立の上位校に行くような子たちでも、部活などはそこそこにしていないと、現役で東大や京大というのは難しいです。(部活は結構やっている子もいますが、やはり東大などの現役率は低いデータもある)


 範囲が削減されて、三平方の定理もロクに使えないまま高校生になったら、ますます差は開き、大学受験は絶望的に勝てないことでしょう。よって、私立の中3の子たちが、圧倒的に有利になり、国公立大のほとんどを占めていきます。


 そもそも、今回のコロナ対応においても、公立小中の動きは舐めているくらいに遅く、できることもやらない、調べない、旧態依然としたダメなところが出てしまっています。


 私立の心ある学校は、残念ながらITリテラシーが低く、オンライン授業のやり方がわからなかったとしても、そこから素早く調べたり設備を整えたり、行動は示してくれていました。ケイタイで動画をまずは録るところから始めた先生方も多く、努力をされています。


 公立小中は、相変わらず手書き(先生用のデータベースとかないんか。ブラックになるのは当たり前)プリントを配ってやれ、という昔ながらのご無体なパターンも多いです。

 組織が大きくて、許可がないと動きがとれないという現場の先生の悔しい想いもあることでしょう。


 ただ、私立進学校では、普通に中間テストができた学校もありますし、普通とは言えないまでも、そこそこのスピードでは授業が進んでいます。すでに、公立とは大きな差ができているのです。そして始まる、難易度のあがった大学共通テスト。嫌な予感がしませんか?


 コロナで社会は激変していきます。教育も、いろいろなところで洗脳めいたことが解け、形が変わろうとしています。授業も実は、板書などの時間で半分を使っているだけで、半分くらいの時間で良いことがわかってきています。冷静に見ていきたいと思います。



<平等ではなく、「公平」にすべき>

 ……発売と同時に読んだ堀江貴文さんの新刊には、一考すべきことが書かれていて、軽々に無視できない内容となっています。

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 大麻解禁、など、無茶苦茶な(編集者の悪意が見える)ものもありますが、それ以外の、特に教育提言に関しては、かなり的を得ていて、ちゃんと考えていることがわかります。これに関しては、教育分野だけ、近いうちに論じてみたいと思います。みなさんにも得るものがかなりあるでしょう。


 堀江さんから感じるのは、公平とはどういうことなのか、という問題提起です。能力がある子、可能性がある子を伸ばさないようにもっていって、それで入試を受けさせることが、公平なのでしょうか。


 それが本当に日本にとってプラスになるのか、これを考えてみないといけません。知性をフルに活用して、コロナ後の世界を生き残っていきましょう。読書くらいはして、考えて動けるようにしておきましょう。


 このブログに集う方には、「示す」ことくらいはできればと思います。


 いつも読んでくださってありがとうございます。

本家お受験ブルーズはこちら https://ameblo.jp/jyukuko/

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