青ロボット 赤ロボット 黄ロボット(ショートショート)
「未開のロボ達よ、我々が神の道に導こう!」
青ロボは、ロボットのリーダー達を集めて言った。
赤ロボは言った。「どうせ俺たちの土地を奪うつもりなんだろ。」
黄ロボは言った。「神は要らないけど、儲かるんならいいよ。」
時が経ち、どのロボもそれなりに豊かな時代が訪れた。
とはいえ、初期にバージョンアップ費用が潤沢だった青ロボは常に優勢で格差は広がるばかりだ。
流行りの愛玩動物も、交配させるのは赤ロボ、販売するのは黄ロボ、ビジネスを運用するのは青ロボだった。
「いい所に行けよ」ファームで働く赤ロボは、飼育箱を覗いて微笑んだ。
買い手が付き、販売店の黄ロボが飼い主に届ける。
青ロボが大はしゃぎで箱を受けとった。
「ありがとう!ふかふかのベッドを用意したのよ。わぁ、可愛い。」
「じゃ、完全室内飼いでお願いしますね。」赤ロボは念を押す。
放し飼いが街をうろつくとファームに苦情が来るのだ。
「それと去勢、避妊手術もしっかり。」
「もちろんだわ!この子の健康のためだもの。」蓋をひらく。
わたしは生まれて初めて箱から出た。
他に先住人間はいるのだろうか?見渡してみる。
「おい、檻に入れとけ」という声がして、わたしは鉄格子の中に突っ込まれた。
「檻だって!失礼しちゃうわ。あ、トイレはここね。素敵なベッドでしょ?」
青ロボは私を優しく撫で、カギをかけたのだった。