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『伊藤純也』『アリエン・ロッベン』比較・フィジカル分析

今回は伊藤純也とアリエン・ロッベンを比較したフィジカル分析をします。
共に右サイドの快速ウィンガーであり一人で突破し相手自陣を脅かす能力を持った選手です。
今回の解説では伊藤純也に焦点を当ててながらアリエン・ロッベンとの違いと何故アリエン・ロッベンが故障が多かったのか、伊藤純也を通して解説させていただきます。これまで伊藤純也は目立った長期離脱はなく長くプレーして来た選手です。対象にアリエン・ロッベンは既に引退した選手ではありますが世界的スーパースターでありながら怪我によって長期離脱した選手です。アリエン・ロッベンをイメージされた方は”怪我”を連想する方もいるかと思われます。こちらでは怪我の誘発原因を深堀しながら伊藤純也とアリエン・ロッベンの比較・フィジカル分析と動作分析の解説をさせていただきます。


伊藤純也

【YOUTUBE引用】

伊藤純也
1993年3月9日
神奈川県横須賀市出身
176㌢
66㌔
スタッド・ランス(現2024年)
フォワード

【伊藤純也は特別優秀な選手ではなかったようでマリノスのジュニアユーステストに落ちてしまい横須賀のクラブチームに所属。高校は公立のサッカー部に所属し3年時の成績は県ベスト32にだったようです。
その後は神奈川大学に入学しプロになった選手です。幼い頃から”特別な練習はしていなかったが、友人とひたすら1対1とシュート練習をやり続けていた”と仰っています。その時育まれた1対1の能力が今日まで生かされているのだと思われます。】


アリエン・ロッベン

【YOUTUBE引用】

アリエン・ロッベン
1984年1月23日
オランダ
180㌢
80㌔
引退(フローニンゲン⇒PSV⇒チェルシー⇒レアルマドリード⇒バイエルン・ミュウヘン⇒フローニンゲン)
フォワード

【アリエン・ロッベンは幼い頃から優秀なサッカー少年であり、16歳のとき
フローニンゲンでプロデビューを果たしました。その後すぐに頭角を現しオランダの名門PSVに移籍しそこからビッグクラブへとキャリアを歩んでいきました。ですがそこに付きまとっていたのが怪我です。試合に出れば得点に絡んだプレーをしていましたが、常にアリエン・ロッベンを悩ましていたのが慢性的な怪我でした。】


伊藤純也とアリエン・ロッベンの比較

共に右サイドを陣取り圧倒的なスピードを持って相手選手を抜き去る両選手。実は伊藤純也とアリエン・ロッベンは対照的な身体の使い方をしています。今回は両選手の対照的な身体の使い方について深堀り解説させていただきます。


伊藤純也のフェイント

両者フェイトをする際対照的な身体の使い方をしています。先ずは伊藤純也です。相手選手と対峙する際初動時に大きく動く箇所が対象的です。
伊藤純也の場合は1対1で対峙する際に初動で動く箇所は腹部です。ボディフェイントを多用している選手です。下記の動画で中山雄太との1対1を確認してください。
(※伊藤純也自身もボディフェイントをメインにしていると仰っています)

ボディフェイントを扱えるということは腹横筋が柔軟に動いているということです。腹横筋とはインナーユニットと呼ばれる箇所の1つであり所謂インナーのコアの筋肉です。腹横筋、横隔膜、多裂筋、骨盤底筋がボックス状で構成されたものを総称してインナーユニットと呼ばれます。
腹横筋は全ての動きの初動として働きます。物を取る動きもあれば走るときの動きも一番最初に動くの腹横筋です。
ですがフィジカルトレーニングや筋トレをするようになると腹横筋をフル稼働させずアウターの筋肉が使われやすくなってしまう方が多くいます。
これはアスリートも同様です。アウターの導入が多くなると腹横筋の柔軟性が落ちるケースがあります。これはフィジカルトレーニングを多く行っている方ほどありがちのことです。
ですが伊藤純也は腹部の動きを見ると柔らかくしなかなお腹の動きをしています。また176㌢の身長に対して66㌔の体重です。海外のサッカー選手として軽いほうです。
176㌢であれば体重は70㌔~78㌔は平均的にあります。ですが伊藤純也の場合はサッカー選手として必要最小限のフィジカルトレーニングで無駄に重くするようなウェイトトレーニングを行っていないように思われます。
腹部を柔らかく扱え、自身の体重が軽いとなれば股関節、膝、足首への負担は低いです。その為快速ウィンガー特有の足首、膝、ハムストリングスの慢性的な怪我はないのだと考察できます。


【YOUTUBE引用】


アリエン・ロッベンのフェイント

伊藤純也の対照的な動きがするのがアリエン・ロッベンです。アリエン・ロッベンと言えばカットインです。”分かっていても止められない”と言われていた選手です。
今回アリエン・ロッベンを分析して分かった事はアリエン・ロッベンの怪我の理由の一つがカットイン時のフェイントではないか推測できました。アリエン・ロッベンの怪我は筋肉系と膝でした。それらの問題はプレースタイルにあると考えられます。ここでは怪我の誘発理由も含め解説します。

アリエン・ロッベンのフェイントで初動時に一番大きく動く箇所は下半身です。アリエン・ロッベンの代名詞となっているカットイン。
カットイン時先ずは右足を自身の正中線から右に外しています。その際体重移動し右に乗ります。右に乗った反動を使い左へ切り替えしてカットインしています。
下記動画1分7秒を確認していただくと分かりますが、自身の正中線から外し右足を外に出し、右足を軸として切り返しが行われています。

【YOUTUBE引用】

確認していただけたでしょうか。
切り返しを素早く行っています。これだけ極まった動きをしていますので幼い頃から得意にしていたプレースタイルだと考えられます。ですが私が推測をするにカットインが怪我を誘発した一つだと考えられます。
一番の問題点はアリエン・ロッベンの足の速さです。アリエン・ロッベンのトップスピード時は時速37㌔です。原付以上のスピードを持っています。それに加え体重です。体重が80㌔あります。
80㌔の物体が時速37㌔のスピードを出し突然違う動きをしたらどうでしょうか。
そしてブレーキです。原付でさえ37㌔時にブレーキを一気に掛けるとそうとうな衝撃が加わります。それが80㌔の人間が時速37㌔のスピードに乗った身体に対して一気にブレーキを掛けるとなるとブレーキを掛けた箇所にどれほど衝撃が加わるでしょうか。アリエン・ロッベンで言ったら主に軸足となった膝とふくらはぎ、股関節周辺に衝撃が加わっています。
またアリエン・ロッベンは緩急をつけたドリブルを得意としています。その緩急はトップスピードに乗りながらの緩急です。となると衝撃を受けた箇所は体重の何倍もの衝撃を受けます。得意にしていたからこそ足のブレーキは時間を掛けて消耗されたと思われます。
もし仮にはではありますが伊藤純也のような腹横筋を使った動きも取り入れる事があったら衝撃分散が出来き消耗度が変わったと思われます。
ただあの緩急があったからこそ世界トップの選手になれたのも事実です。


伊藤純也のパス・シュート

伊藤純也が得意するプレーにクロスがあります。伊藤純也自身ラストパスの意識も強くサイドからのクロスに正確性を感じさせます。そして動作に置いてスピードに乗りながらクロスを上げています。
こちらではスピードに乗りながらのクロスについて解説させていただきます。
下記動画、1分27秒/6分23秒/8分35秒の動画を確認してください。

【YOUTUBE引用】

伊藤純也のクロスには特徴があります。
その特徴とは”力の逃がし方”です。伊藤純也の場合は加速している最中に無理のない体制を取りパスを送っているという特徴があります。

多くの選手は加速している最中ゴール前にクロスを上げる場合無理な体制を強いられています。例えばスピードに乗っていてもクロスを上げる際一気に減速する選手もいます。また無理な体制でクロス上げた結果、クロス後スピードに乗った身体を支えるために下半身でブレーキが掛け身体を立て直そうとする選手もいます。
ですが伊藤純也の場合は加速しながらクロスを上げる際、正中線上に置いてあるボールを横にずらしています。その後つま先とへその向きを自身の加速している方向とクロス先の間に向けています。
そしてクロス上げる際柔軟な腹横筋を捻って屈曲させクロスを上げています。クロスを上げた後はつま先が向いている方向に身体を移動させています。
要するにクロス上げる際に加速している方向から若干斜めにずらすことによってクロス後は急ブレーキをかけず身体(関節・筋)に負担が出ないようにエネルギーを逃がしているということです。だからこそスピードを上げながらクロスを上げることを可能としているのです。
またシュートも同様にエネルギーの逃がし方はとても上手いです。一番目に行くのがここでも体幹を屈曲させていることです。
下記動画を確認していください。10秒/22秒/1分20秒/2分19秒です。
どれもシュート動作と共に体幹を屈曲させています。シュートモーションと共に支持している左手を振り下げてその反動を使って体幹を屈曲させてボールをコントロールしています。
上半身と体幹がいかに連動出来ているか分かる動画になっています。サッカー選手は上半身の柔軟性と腕の脱力は重要な要素です。今回の分析にて改め理解できた次第でした。


アリエン・ロッベンのパス・シュート

アリエン・ロッベンと言えばラストパスのイメージではなく、フィニッシュのイメージが強いのではないでしょうか。
快速で右サイドを切り裂いて相手選手を抜き去りゴール中央をえぐりゴールへ突き刺すという流れです。
下記動画を確認してください。
0秒~10秒/57秒/2分16秒です。まさにアリエン・ロッベンと言えば”このゴール”と思わせるシュートです。

【YOUTUBE引用】
ドリブルで一気に加速しゴール真横から入りシュートコースを見つけたら、右足を軸にして身体を一気に反転させゴールへ貫く。
このプレーが怪我を誘発し続けた原因の一つだと考えられます。

このプレーはあまりに右足に負担が掛かるのと、あれだけスピードに乗っているので左股関節の周辺にも負担がだいぶ掛かっていると思われます。
2分16秒動画を確認していただくと分かりますがシュートモーション時は右足の膝は屈曲しています。アリエン・ロッベンのシュートモーション時の多くは軸足となっている右足の膝は屈曲しています。
スピードを乗った状態でシュートする場合はインパクトが非常に強い為、軸足を投げ出し腹部を屈曲させて衝撃を逃がす場合や、また軸足となっている臀筋を重心としてシュートを打つことなどあります。それは大きな筋群ほど衝撃に耐えられるので身体にとって負担が少ないというメリットがあります。ですがアリエン・ロッベンの場合は2分16秒で確認していただけたら分かりますがシュート後よろけています。
それは急ブレーキによって膝とふくらはぎは衝撃を受け、またシュートによって左回転の遠心力の影響によってメインブレーキとなっているふくらはぎが耐え切れずふらついたと考えられます。
だからこそアリエン・ロッベンの慢性的な怪我の理由はカットイン、シュートモーションだと考察できます。
ですがあのプレーだからこそ何度もゴールを奪えたのだと考えられます。フェイト時の初動は非常に早く細かく、フェイトとシュートモーションが似ている様子も伺えます。また身体を勢いよく反転させているのでパワーがしっかりと乗っています。
アリエン・ロッベンのような快速選手がスピードに乗った際、急にストップさせるには強靭のフィジカルと身体の使い方が上手くないと対応できません。

一流選手と言われる所以は身体の使い方が関係しています。
上記動画の0秒~10秒のドリブル時の骨盤の位置を確認してください。骨盤前傾となり重心点がブレていません。
これまで様々な一流選手の動作分析をしてきました。分かった事は一流と言われる方々は骨盤前傾を上手く保ってプレーしています。
相手を背負った際、またドリブル時も含め骨盤前傾となっています。何故骨盤前傾がいいかと言いますと、先ずは加速しやくなります。
骨盤後傾の場合ですと相手選手と交えた数メートの以内の細かな動きは得意です。ですが骨盤後傾ですと加速まで時間が掛かかり、また相手を背負った場合中心軸の力が抜けやすくなります。
骨盤前傾で走ると臀筋、大腿四頭筋、また足を切り返した際(骨盤後傾時)にハムストリングスの反応が入りやすくなり、かつ腸腰筋の活動が非常に発揮しやすい状態となります。
所謂、股関節周りの筋肉が発揮しやすくなるということです。
またインナーユニットの機能も出やすくなるので相手を背負った際に体制が崩れにくい状態で対峙できるのです。
アリエン・ロッベンがあれだけのスピードを出せるのには骨盤周辺の機能が正しく動かせているということです。
その為フィジカル強度も高く、加速しやすい身体であり、そして重いシュートを打てる身体となっているのです。


走り方

上記で既にアリエン・ロッベンの身体機能も含め解説させていただきましたので、ここでは伊藤純也の走り方について解説させていただきます。
先ずは下記の動画を確認にしてください。


【YOUTUBE引用】

伊藤純也は当時30歳にも関わらず素晴らしい足の速さです。
伊藤純也と中村敬斗との違いで一番最初に目を引くのは上体の起き上がりです。上体が上がって来る早さは中村敬斗の方が早いです。スタートと同時に中村敬斗は直ぐに上体を上げています。それに比べ伊藤純也は上体を上げるまでに時間を掛けています。
あくまでも私が推測するに伊藤純也は軸の置きどころをゴールに置いていると思われます。
これは実際走ってみないと実感しにくいことでありますが、ゴールを軸に置く意識とゴールを軸に置かない意識とでは走る際の体制や足の運びが変わります。中村敬斗の場合は足の回転や腕の振りを意識しているのではないかと私自身推測しています。その為上体が直ぐに上がっていると思われます。
伊藤純也の場合は常にゴールを軸に置いて走っている為、上体を倒しながら足の回転をさせていると考察できます。

また伊藤純也には違う特徴を持っています。
下記動画を確認してください。

とにかく速い! #伊東純也 ⚡️ (youtube.com)

【YOUTUBE引用】

私が推測するにこの足の速さは、下半身骨盤周辺の身体が固さが理由となっていると思っています。
どれだけ股関節の可動範囲があるのかは分かりません、どれだけ長座ができるかはわかりません。ですがこの動作を見る限り股関節周辺が固い可能性が大いにあると思われます。
股関節周辺の筋の固さによって左右の揺れを起こさせず、一定方向に運動させることを効率化させていると思われます。また腹横筋と内腹斜筋が引きあがって使われているので足の連動が素早く行われるていると考察できます。
下半身は絶妙に固く、お腹周りは絶妙に柔らかいと思われます。その為重心点がズレないのでブレない走りができているのだと考えられます。
アスリートは何でもかんでも柔らかい必要ありません。筋の固い箇所があることによってパフォーマンスが上がるケースは大いにあります。伊藤純也の足の速さはまさにそのケースの一人です。


『伊藤純也』『アリエン・ロッベン』比較・フィジカル分析総括

最後まで見ていただきありがとうございます。
共に一流選手です。今回のアリエン・ロッベンは怪我をフューチャーして記事にさせていただいました。確かに怪我に悩まされた選手でしたが最後はフローニンゲン数試合出場しています。
その時の年齢は36歳でした。あくまでJリーガーの参考ではありますがJリーガーの平均引退年齢は25、26歳です。それに比べるとアリエン・ロッベンは長きに渡って活躍した選手です。また数々の功績を出した選手でもあります。サッカーに触れた方なら誰しもがリスペクトする選手ですね。
だからこそ怪我をしないアリエン・ロッベンを見てみたかったと個人的な感想を持っています。
また伊藤純也は既に30歳超えているのにも関わらずフランスで大活躍している選手です。これからのキャリアが楽しみな選手の一人でもあります。
個人的ではありますがフィジカル分析していて思ったのが、広背筋と臀筋のユニットの繋がり、内転筋群と中臀筋、内腹斜筋のユニットが繋がったらどのような選手になるだろうと期待しました。
フィジカル分析して共に勉強になり、楽しくなった選手達でありました。
今後の伊藤純也の活躍とアリエン・ロッベンの第二人生を興味を抱きながら今回は終わらせていただきます。
ありがとうございました。


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