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『三苫薫』『ベルナルド・シウバ』比較・フィジカル分析

今回は(現・2024年10月)サッカー日本代表でブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC(以下、ブライトン)の三苫薫と現サッカーポルトガル代表でマンチェスターシティFC(以下、マンチェスターシティ)のベルナルド・シウバを比較しながら動作分析、フィジカル分析を行います。
今回何故この二人の分析になったかというと身体の使い方が非常に近い部分があり共通するポイントを見つけ出したので解説できたらと思い今回この二人選手を行うことになりました。
では深堀を行っていきます。


三苫薫

神奈川県出身
1997年5月20日
178㌢
74㌔
ブライトン

【YOUTUBE引用】

【小学校の時に地域のサッカーチームから川崎フロンターレに入団。高校では川崎フロンターレのユースに所属しておりトップチームに打診があったが本人の希望で大学へ進学。大学後は約1年ほどで川崎フロンターレでプレーをして、その後海外へステップ。】


ベルナルド・シウバ

ポルトガル
1994年8月10日
173㌢
64㌔
マンチェスターシティ

【YOUTUBE引用】

【幼い頃から優秀な選手ではあったが、身長の影響によって不遇な待遇を受けることが暫しあった。だが豊富な運動量とスキルを磨き続け類まれなる才能を開花し、そこからはベフィンカ、モナコ、マンチェスターシティとステップしていった。】


手の振り

この二人の選手の共通点は腕の振りです。これはどのような事かと解説すると”脱力”ができています。私の記事ではよく脱力と言葉が出てきます。この脱力が両選手は上手いです。
人間の構造的に末端と言われる指先や腕はとても力が入りやすい箇所になります。緊張しやすい場面や、考えごとするとき自然と力んでしまう事もあるでしょう。ましてやサッカーのような対人スポーツは末端の力が非常に入りやすいです。

末端に力が入ってしまうと肩に力が入り、人によっては背中にまで力が入ってしまう方もいます。
その場で確認していただく分かりますが腕と指先に力を入れて腕を振るのと、腕と指先の力を抜いて腕を振るとではどちらが楽に素早く動く事ができるでしょうか。これは後者です。力を抜いた状態で腕を振った方が素早く動きが出て身体を扱い状態にしてくれます。
また反対に力を入れると身体は重く感じ、遅く動き、扱いにくい身体になります。脱力することによって身体の自由度が高くなるので素早い動きが可能となります。それを理解しているのか両選手は指先から腕まで脱力しながらプレーしています。

下記動画の三苫薫のプレーを確認していただく分かりますが関節のロックを掛けず自由度があります。指先は無理にグーせずに遊びを効かせた状態にしております。

【YOUTUBE引用】

下記動画はベルナルド・シウバの動画です。腕の振りを確認してください。
非常に三苫薫と似ています。
腕と指先は遊びがあり自由度があります。そして肩が上がっておらず体幹を固め過ぎない素晴らしい動作に仕上がっております。

【YOUTUBE引用】



三苫薫の噛み締め

脱力が出来ると素早い動きができると分かったかと思います。では素早い動きとは何か?を解説します。
素早い動きには条件があります。それはインナーユニットが活動していることです。
全ての動きの初動はインナーユニットの中の腹横筋です。この筋が使われにくい状態であると初動の動作が一瞬遅れます。遅れる理由は周辺の筋が固い、腹横筋の出力が弱い、バランスが悪い、余計に力が入っている箇所がある。これらが上げられます。その中でも余計に力が入っている箇所に問題がある選手は多くいます。その問題点は噛み締めです。
噛み締めが強いだけで一瞬の動作が遅れやすくなります。これは噛み締めるだけで関節にロックが入りやすくなります。そのことによって初動に影響を与えてしまいます。嚙み締めの影響を肌で感じるには良い方法があります。

(テスト)
・通常の腕立て伏せ
・嚙み締めに関する筋肉をほぐしてから腕立て伏せ

このテストを行いどちらが軽く上体を上げることができるか?これは後者の方が軽く上体を持ち上げることができます。
噛み締めに関する筋肉をほぐす事によってインナーユニットの導入を高められます。
それらの構造を理解しプレーしているのが三苫薫です。
下記動画の0秒~1分まで確認してください。確認すべき箇所は首筋です。見づらいですが首筋である胸鎖乳突筋が浮き出ていません。嚙み締めが強い方は首に筋が出ますが、三苫薫は首筋の浮き出しがほぼ確認できませんでした。画像でも確認しましたがほぼ嚙み締めの強さを感じられる現象は確認できませんでした。

【YOUTUBE引用】

確認していただけたでしょうか。
ここまで脱力が出来るからこそ初動の動きがスムーズかつスピーディーに行えるのです。
正直ここまで身体のコントロールが上手いサッカー選手は他にいるのか、と思うほどでした。ベルナルド・シウバに関しては画像で少々首筋が浮き出ている場面を確認しましたがそれでも脱力できると思えるほどです。いかに三苫薫が洗礼されているのかと考えさせられました。


骨盤前傾位

両選手の共通点は骨盤が前傾位でプレーしていることです。これは腕の脱力と関連しています。上記でも解説しましたが脱力よってインナーユニットの導入が上手く出来て骨盤前傾を行いやすい状態になります。
また両選手お尻の位置は高く、ダッシュ時に腸骨筋と大腰筋の機能していると確認できお腹に張りが出ています。腸腰筋群が上手く使えているという共通点があります。
下記、動画の0秒から1分ほど確認してください。ドリブル時、加速時を確認すると分かりますがお腹の張りが見られ、かかとがお尻近くまで引きあがっております。これは体幹が機能し腸腰筋群と臀筋群、ハムストリングスが協同的にバランスを取り機能して動いている証拠です。

【YOUTUBE引用】

下記、動画2分13秒~2分40秒を確認してください。ベルナルド・シウバも三苫薫同様にお腹に張りがあり、かかとがお尻まで引きあがっております。
非常に似た身体の使い方をしている両選手です。

【YOUTUBE引用】

骨盤前傾になることによっての良い影響

・加速しやすい
・相手を背負ってもパワー負けしにくい
・身体の重心点が正しい位置にある
・臀筋群の出力を発揮しやすい

足が速い、当たり負けしない、アジリティが高い選手は基本的に骨盤前傾姿勢でプレーしています。
また上記動画の三苫薫のサムネイルで確認できる切り返し動作には骨盤前傾の方が都合が良いです。何故なら重心点が整っているのでバランスが良くズレにくいです。そして臀筋の出力が発揮しやすいので片足軸になったとしても安定感があります。
三苫薫がドリブルが極める事が出来た理由の一つは骨盤前傾を活動させるために必要な筋がしっかりと活動しているからでしょう。

また三苫薫の得意とする緩急ドリブル時での抜き去りでは、身体を大きく身体を沈めず、そのまま加速していきます。
下記、動画を確認していただくと分かりますが頭の横揺れはないです。これは力が分散されていない証拠です。そして身体の沈みは極端に少ないので相手は間合いが取りづらいのだと考察できます。これはいかに身体の使い方が上手いかと理解できるプレーの一つです。

【YOUTUBE引用】


歩き方

両選手は非常に歩き方も似ています。骨盤から大腿骨は解剖学通り下りていますが、下腿が内旋気味になっています。
これはインステップでボールをコントロールしているからこそこのような身体の付きになったと考察できます。
多くのサッカー選手はO脚気味の方が多いですがこの両選手はプレーに特化した足の付き方をしています。
下記動画を共にご確認ください。

【YOUTUBE引用】


【YOUTUBE引用】

互いにプレースタイルは違うものの似た身体の構造、使い仕方をしていると確認できます。


運動量

この両選手は共に素晴らしい体力を持っています。ベルナルド・シウバに関しては1試合13㌔以上も走る選手です。複数のポジションをこなし他の選手のカバーリングの為に走行距離が上がってしまう事も暫しあるのですが、そもそも1試合で13㌔も走り切る体力は異常です。
これを可能としているのが上記で記載した脱力の能力です。これはテスト的に行ってほしいのですが、ランニングする際手の指先、腕、足指を脱力するイメージで走ってみてください。
余計な箇所に力が入らず、次第にインナーユニットが使われやすくなります。またランニングフォームが整い長距離が走りやすくなります。
体力のない人の特徴の一つが力が色々な箇所に入ってしまっています。その為乳酸が溜まりやすくなり次第に疲れてくるというわけです。ですがそのような方が脱力を覚えてランニングすると通常よりも距離が長く走れる傾向にあります。
下記、動画を確認してください。三苫薫が大学卒業後の映像です。
川崎フロンターレの練習の中でシャトルランを行っている姿を見られます。先輩選手達が脱落していく中で三苫薫ただ一人走り続けております。
指先は腕は固めきらず脱力し、肩の力は抜けています。かなりの距離を走っていると想像できますがランニングフォームは崩れていません。

【YOUTUBE引用】

ドリブル時のボールの置き所

今回のアジェンダに関しては両選手対象的です。
三苫薫はドリブル、加速に特化している選手ですのでボール保持は身体全体が前傾気味になっています。その為ボールが深い位置にあります。
スピードが乗っている際は相手選手にとって深い位置にボールがあるので取りづらいと推測できます。
またスペースを見つけボールを前に出して抜け切ろうとする際、上体は前傾位で深い位置からボールを出しているので、後ろ足でしっかりと地面を蹴り加速しやす状態を作っています。そのため相手を抜き去る事を可能としています。
下記動画を確認してください。ボール位置を深く置き、ドリブル時前傾にすることで加速しやす身体を自ら作り出しています。

【YOUTUBE引用】


ベルナルド・シウバに関しては上体は前傾気味ではなく比較的に真っすぐ上体を保っています。
これはベルナルド・シウバのプレースタイルに関連していると言えるでしょう。一早く顔を上げパスコースを見つけることに特化した体制であると考察できます。またベルナルド・シウバはドリブルで抜き去るというよりもドリブルを起点にパスコースを見つけ出すスタイルです。
下記、動画を確認してください。ボールはへその下に置き後方に回転しながらパスコースを探し出しています。三苫薫とは上体の立ち上がりが対照的です。

【YOUTUBE引用】


三苫薫の変化

下記動画は三苫薫の小学生、中学生時代です。
腕の振りに関してはこの頃から上手く脱力ができています。その為身体の動かし方は軽く見え回転する際は中心軸が決まっています。
ですが腰部が屈曲気味でプレーしている為、インナーユニットと腸腰筋群が弱いと確認できます。ですがこの頃から力の抜き方が上手い選手だと分かる動画です。だからこそトラップ時は丁寧に足元に置けていると考察できます。
下記、動画6分53秒~8分32秒までを確認してください。

【YOUTUBE引用】

下記動画は三苫薫の高校時代です。この頃になると今のプレースタイルに近くなっております。
中学時代で起こっていた腰部の屈曲が、高校時代になると筋肉がついたせいか骨盤が前傾しやすい状態となっています。これは腸腰筋群の出力が出始めたと考察できます。あくまでも推測ではありますがこの辺りでスピードが速くなったのではないかと個人的に感じている次第です。
加速しやすい体つきに変貌しています。
ですが、ドリブルで急停止した際には体幹周辺が横揺れを起こしているのでインナーユニットと臀筋群の出力は低いと覗えます。

【YOUTUBE引用】

下記動画は大学時代です。この頃には既にフィジカルは出来上がっており当たり負けしない体になっています。
高校時代よりも加速力とアジリティは上がり、サッカーにおける脱力の上手さがこれまで以上に感じられます。

【YOUTUBE引用】


総括

いかがだったでしょうか。
身長、プレースタイルは違うものの共に似た身体の使い方をしている両選手です。更に共通点を言えば比較的に体重が軽いです。ですがフィジカル負けをしない一面を持っている選手達です。
これは中心軸が定まっており重心点がズレていないからこそ軽量選手でも当たり負けしないフィジカルを持っているのだと考察できます。またベルナルド・シウバに関してはプレス時相手のタイミングズラしプレスをかけています。非常に頭も賢い選手です。
これだけ身体の使い方が上手くプレースタイルを確立しているという事はサッカーIQの高さだけではなく、これまで試行錯誤し自分が生き抜く方法を見つけ出すために必死に考えてきたのでしょう。
幼い頃から飛びぬけたサッカーセンスを持ちながら努力し続けた結果が今に至ったと思われます。1流は何処か共通点があると改めて理解でき、また凄まじい努力をしてきたと覗える両選手でした。

最後で拝読していただきありがとうございました。

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