暴走パニック 大激突(1976)
暴走パニック 大激突(1976、東映、85分)
●監督:深作欣二
●出演:渡瀬恒彦、杉本美樹、渡辺やよい、風戸裕介、小林稔侍、汐路章、北村英三、志賀勝、潮建志、曽根将之、林 彰太郎、川谷拓三、室田日出男
タイトルのインパクトで見てみたシリーズ。
『暴走パニック 大激突』。
なんだろう、この大仁田厚のサンダーファイヤーパワーボム的な、勢いはあるけど意味はない的なタイトル。
冒頭から深作作品特有のカメラがグルングルンのブレッブレは相変わらず。
銀行強盗のシーンと、その事件を伝える新聞記事を挟みながら非常にスピーディーに駆け抜けるオープニングはカッコイイ。
音楽も『仁義なき戦い』にちょっと似たテイストでテンションが上がる。
全国各地で銀行強盗を行う二人組の山中(渡瀬恒彦)と関(小林稔侍)は盗んだ金を持ってブラジルへ高飛びする計画を立てていたが、ついに失敗し関は車に轢かれて死んでしまう。
時を前後して山中が働くバーで出会った女、ミチ(杉本美樹)も行き場のない女であり彼らは運命を共にすることになる。
ハッキリ言って山中がこの女に優しすぎる。
ほっとけないタイプの女と言えばいいのか、彼が甘すぎるのか、警察に必死に追われている状況でもノコノコとついてくるミチを捨てることができず、仕方なく戻ってきて車に乗せるというシーンが2回出てくる。
この二人の逃避行を主軸に、整備士の青年の倒錯した奇行、出世した同期の刑事に嫉妬する警官(川谷拓三)など鬱憤を抱えた登場人物たちも散りばめられ、最後の「暴走パニック」に繋がる。
このラストの展開についてはこういったカーチェイスシーンが撮りたい、というのが前提にあってそれに合わせて用意したシナリオという気がする。
プロット的に無茶は感じたが、迫力は物凄いものであった。
豆料理だけはうまいという設定は謎で面白いが、基本的に終始暗そうな表情をしているミチに対し、中盤お色気サービス的に出てくる婦警役の渡辺やよいは明るい感じで可愛い。(確か『女番長ブルース 牝蜂の挑戦』でも大泉滉を騙す役で婦警コスプレをしていた気がするがその時も可愛かった。)