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怪談昇り竜(1970)
怪談昇り竜(1970、日活、85分)
●監督:石井輝男
●出演:梶芽衣子、ホキ・徳田、佐藤允、高樹蓉子、加藤嘉、土方巽
石井輝男監督による日活作品という珍しい一品。
雨夜の出入りから始まるタイトルバック、笠と蓑を脱ぎ捨ておくれ毛垂らしさらし姿の背には竜、長ドス振りかざす梶芽衣子の殺陣が妖しく美しい。
囚人服(この時は髪も下ろしてる)も着物も喪服も似合ってるし、凛としたイメージだが、顔はけっこう童顔で可愛い。
オープニング時の抗争で関東立花一家二代目・立花明美(梶芽衣子)は剛田組組長の妹の両目を誤って斬り、失明させてしまう。
この設定を見て、ジョン・ウーの『狼/男たちの挽歌・最終章』を思い出した。
この盲目の女を演じたホキ徳田もクールで妖しい感じがとても良いが、正直盲目の設定があんまり生かされてる気がしないというか、「結構見えてますよね?」とつっこまざるを得なかった。
映画全体としては黒猫の呪いだとか子供の肉を鍋で煮て食う地獄の見世物小屋だとか、土方巽の暗黒舞踏とか阿片窟が出てきたり怪談というより、前衛的すぎて任侠的世界観といい意味で軋轢を起こしている。
犯行声明のように立花一家のもとに残された背中の昇り竜の刺青が剥がれた生皮を、黒猫が咥えていくという、文字に起こせばグロテスクな場面があるが、その猫も明らかにぬいぐるみがワイヤーで引っ張られてるだけなんで、『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』のウサギかな?と思って笑った。
そしてこの黒猫ちゃん、要所要所で我々を怖がらせるべく、おどろおどろしくもマヌケな「ニャー!」という効果音とともにチョイチョイ投入されます。
ラスト、復讐の日を待ちつづけていた盲目の女と明美の女同士の対決シーンは不穏なセットの雰囲気も相まってかっこいい。