地獄(1999)
地獄(1999、石井プロダクション、101分)
●監督:石井輝男
●出演:佐藤美樹、丹波哲郎、前田通子、平松豊、斎藤のぞみ、平山久能、和田洋一、薩摩剣八郎、鳴門洋二、若杉英二、掛札昌裕、桂千穂、川上さゆり
中川信夫監督、神代辰巳監督の両作品とはこれまた関連のない、1999年の石井輝男監督作品。
都庁の前のベンチに座る少女という場面から映画は始まる。
前田通子演じる閻魔大王や丹波哲郎はともかくとして、少女リカと、閻魔大王の側近?の兄妹を演じる役者がほぼ素人の棒読み演技。
低予算フィルムのザラついた質感と相まって、教習所で見せられる交通安全啓発ビデオのような空気感。
それが何とも言えない生々しさと緊張感を与えている。
映画の構成としてオウム事件にかなりの時間を割いていて、連続幼女殺人事件や、毒入りカレー事件については添え物と言った感じ。
この1999年という年に見ればまたインパクトも凄かったのだろうが、今現在NHKのドキュメンタリー『未解決事件』などを観てからだとその衝撃は正直薄れてしまうところはある。
鬼たちの処刑による残酷描写もチープすぎて失笑してしまうような。
なので上にも述べたように、通行人レベルの素人による学芸会を石井輝男監督が演出しているというトピック、それにデジタル技術が発達しすぎて逆に今ではもう出せないような映像の質感が見所かな。