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関東テキヤ一家(1969)

関東テキヤ一家(1969、東映、92分)
●監督:鈴木則文
●出演:菅原文太、待田京介、寺島達夫、桜町弘子、南利明、河津清三郎、天津敏、渡辺文雄、嵐寛寿郎、大木実

浅草のテキヤ、菊水一家の国分勝(菅原文太)を主人公にした映画。

ほぼ任侠ものと言っていいがヤクザではなくあくまで商売人という立ち位置がテキヤであり、そういった台詞が何度か出てくるし、二度と抜かないよう親分に封印の白い紐をドスに結われたりしている。

ただし見た目はほぼヤクザ。

序盤は男だらけのむさ苦しい画面のまま進んでいくが、商売の旅で群馬・松井田へ向かう途中女プロレスのマネージャー、富子を拾い一気にコミカルな空気になる。

祭り商売の中でも「タカモノ」は小屋などを作って興行を打つこと、「コロビ」は茣蓙を敷き啖呵を切って品物をうることを言うらしい。

その群馬の秋間祭りで国分たちが世話になった三軒茶屋一家と、興行の利権をめぐってそこへ喧嘩をふっかける矢倉一家のいざこざに首を突っ込んだ国分たち。

そして親分との約束でドスを抜くことも出来ず、ストリップ小屋でコテンパンにやられて引き上げていく夕暮れの田舎道のシーンがなんとも侘しく、良いショットになっている。

サクラ役でテキヤ一家と同行する志津(土田早苗)が可愛い。

現代的美人というか川田裕美系統の女子アナ的なルックスも良いが、石川啄木の歌をそらで誦えたり、この辺の文学要素を入れる辺りは則文監督のセンスだろうか。

男たちは啖呵を切り、ヒロインは短歌を詠む。

次の舞台となるのが福島の馬市祭。

中盤くらいからストーリーに志津を巡る三角関係も絡んでくる。

「どうしようもないくらい惚れちまってるんだ」などといいながら、男二人が恥ずかしげもなく女を取り合って喧嘩するシーンもグッとくるものがある。

終盤は任侠ものの王道パターンで締められている。

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