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浮草の宿(1957)

浮草の宿(1957、日活、74分)
●監督:鈴木清太郎 
●出演:春日八郎、木室郁子、二谷英明、安部徹、宮崎準、小沢昭一、山岡久乃、高品格、花村典克、木下伸一、ハロルド・S・コンウェイ、鈴村益代、久場礼子、三笠謙、雪岡純、深江章喜、日夏玲子、吉田勇男

鈴木清順監督(改名前)、二谷英明主演による犯罪アクション。

ストーリー自体はそこまで特筆すべき点はないが、清順監督4作目にして独特な映像感覚というかクセというか、そんなものを端々で見て取れた。

タイトルバックからスタッフクレジットは普通に流れるが、その後"配役"が映るまで大分間を開けている。

水たまりに映ったバーの看板を映したり、新聞の事件記事で状況を説明するカットなどはいかにもという感じだし、麻薬取引をするシーンではブラインドを下ろした窓の隙間から撮影したり、終盤俊次(二谷英明)と美緒(山岡久乃)が愛し合う場面では抱き合いながら窓を閉めていき、カメラは完全に外に追い出された形で語り合う二人を映し続けるが、外なので声がよく聞こえない。

また、春日八郎とその妹ゆりが言い合いをした後、出窓にいる妹が居間にいる兄と二枚の窓ガラスを通して目を合わせるという構図的にややこしいショットがある。

男女問わず、人物の足をまず映してからパンアップするというシーンが多かった気がした。

冒頭、山岡久乃がグラスを投げ割ってから舞台の暗転のように回想シーンに入ったり、終盤にも同じような回想シーンがある。

映像的には、俊次にもらった香水(ルマタンアンニュイ)をゆりが返す場面では橋の上の二人、という清順映画で何度か描かれることになるモチーフが登場している。

正確な名称は分からないけど鉄橋の上の梁部分?を歩くゆりとその下を歩く俊次のショットは引きのある画という感じで良い。

ラストは美緒がなかなか無茶なカーアクションをこなしてて、そっちの方が驚いた。


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