網走番外地 荒野の対決(1966)
網走番外地 荒野の対決(1966、東映、89分)
●監督:石井輝男
●出演:高倉健、田中邦衛、由利徹、杉浦直樹、待田京介、大原麗子、三原葉子、河津清三郎、山本麟一、田崎潤、嵐寛寿郎、谷隼人
網走番外地シリーズの第5作目。
刑務所内でのちょっとしたコミカルパートをサラっと描き、橘真一(高倉健)が仮出所というところからストーリーは始まる。
なぜか射撃大会に飛び入り参加することになりチャンピオン(杉浦直樹)と対決する流れになるが、乗馬をしながら三原葉子の投げるコンパクトの真ん中を撃ち落とした方が勝ちというとんでもなく難しすぎる内容。
ところが二人ともいとも簡単に小さなコンパクトを撃ち、より真ん中に近かった橘が優勝してしまう。
その優勝景品として小馬(花子)をもらうことになり、このことがストーリーを大きく動かすことになる。
映画の舞台はほとんど牧場で、明らかに西部劇を意識している。
かといって激しい銃撃戦があるというわけでなく、フォーマットは任侠映画を踏襲し、最後の敵討ちでは全員が長ドスもって馬で乗り込むという見せ場はあるが、終わり方はなんとももの悲しい。
女性キャストもいるがロマンス要素はなし。
橘の、身寄りもなく行き場もない花子への自己投影やシンパシーが通奏低音として映画に流れ、より抒情的なものにしている。