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トラック野郎 望郷一番星(1976)

トラック野郎 望郷一番星(1976、東映、100分)
●監督:鈴木則文
●出演:菅原文太、愛川欽也、春川ますみ、島田陽子、梅宮辰夫、土田早苗、由利徹、笑福亭鶴光、ハイセイコー、都はるみ

トラック野郎シリーズの第3弾。主な舞台は北海道。

映画は広島での積載量の検問場から幕を開けるが広島だからということなのか警官(室田日出男、川谷拓三)がまるでヤクザみたい。

広島から川崎に帰ってきたやもめのジョナサンと桃次郎。

ひとっ風呂入りになじみのトルコ風呂へ行こうとする桃次郎に母ちゃんが「トルコだって風呂でしょ」と言いながら子供たちも連れてってという。

で、実際にトルコ風呂で裸のトルコ嬢たちがいる部屋で子供たちが泡にまみれたりゴムを膨らましたりして遊んでいる。

映像表現だとしても、今の時代だったら完全にアウト。

そこからフェリーに乗って北海道へ行くが、発射できず欲求不満となった桃次郎が船にいたセクシーな女たちや、なぜかスケスケの服を着た女に興奮するというシーンが描かれているがここはその後の本筋には一切からまずここの場面だけで終わった。

そしてヒロイン役の亜希子(島田陽子)がここで登場し、いつもの桃次郎が上品なお坊ちゃんモードに変身というギャグが展開される。

メニューがよくわからず、「僕もチンザノ、ホットで!」などと口走ってしまう。

ここまでのスピーディーな出だしが素晴らしい。

言ってしまえばここから先はこれまでのパターンと同じような展開なので、序盤での客を飽きさせない職人技的なツカミが秀逸である。

釧路、札幌、襟裳岬など北海道の各地が舞台となる。

土田早苗演じる女トラック乗りのはまなすのお涼に対して「女は女らしくしろ!」とか「売れ残りのじゃじゃ馬!」など暴言放つのも、今の時代なら完全にアウト。

そのお涼に惚れる、今作のライバルのトラック野郎がカムチャッカ(梅宮辰夫)。

本名の「大熊田太郎二郎左衛門」というのが笑った。

フェリーの中で出会った亜希子と再会する運命的なシチュエーションが、便意を催した桃次郎が牧場の隅で馬がウンコをする横で自らも野糞をし終えたところ、というのがこの映画の主義主張というものを象徴的に示している。

そして桃次郎が馬嫌いという設定がなぜか急に付けられている。

作中でさらにもう一人子供が増えることになったジョナサンがマイホームを夢見て一戸建て1,080万円のチラシをずっと懐に入れ、ことあるごとに握りしめているのがおかしくも悲哀を感じさせる。 

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