散弾銃の男(1961)
散弾銃の男(1961、日活、84分)
●監督:鈴木清順
●出演:二谷英明、芦川いづみ、小高雄二、南田洋子、田中明夫、江幡高志、郷鍈治、野呂圭介、高原駿雄、佐野浅夫、嵯峨善兵、浜村純
タイトルは「ショットガンの男」と読む。
木曽の山地がロケ地らしいが壮大というより急峻で人を寄せ付けない雰囲気がある。
オープニングショットは橋を渡る貨物列車。序盤から鏡越しのショット、終盤にも1回あったりと、この辺は清順監督印といったところ。
しきりに「村の治安」だとか「流れ者」だとかいう言葉が出てくるし山奥に西部劇みたいな酒場があるし、本当にここは日本か!?
自選DVD-BOX内の特典の監督インタビューでは、「西部劇は好きですよ~。ジョン・フォードさんとかジョン・ウェインさんのファンですからね」と言っていた。
物語的に必要性の無い「打ち身にはサロンパスが一番だ」の台詞はコマーシャルだろうが、自然な繋がりが感じられず唐突なのはある意味宣伝として成功している。
一つ一つにツッコミ始めたらキリがないしそもそもそういう映画なのだから仕方ないが、、、何でいきなりトランプ持ってんだっていう。
アコーディオンを弾き始めたと思ったら歌いだすあたり、ここがある意味映画のハイライト。
二谷英明の繰り出す妙に堅い感じのアクションが味と言えば味かな。
終盤はケシの花や岸壁、海岸など場所を変えつつ銃撃戦を展開しスピーディー。
砂浜に銃口が刺さったまま発砲すると先端がささくれ立ったように壊れているのがやけにリアル。
ヒロイン役の芦川いづみは何らズレのない正統派的な演技をしているし、酒場のマダムの南田洋子も色っぽい悪女だけど憎めない可愛らしさを醸し出している。
上目遣いのいづみがかわいかった。遠目のシーンだと輪郭の感じが若干吉岡里帆っぽかった。
そしてラストショットの芦川いづみ、意外と足が速いなぁなんてことを思った。