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さ行の映画

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#日本映画

残酷異常虐待物語 元禄女系図(1969)

残酷異常虐待物語 元禄女系図(1969、東映、93分) ●監督:石井輝男 ●出演:橘ますみ、葵三津子、賀川雪絵、カルーセル麻紀、小池朝雄、吉田輝雄 土方巽による舞踊から始まるタイトルバック。 エログロのショーケースのような異常な世界観は、これから始まる映画は凡百の時代劇とは全く違うということを示している。 吉田輝男演じる町医者がストーリーテラー的ポジションで、三つの話を幕間なくつなげていくオムニバス形式というのは『徳川女刑罰史』等と同じ構成。 明示はないが、第一話が残

資金源強奪(1975)

資金源強奪(1975、東映、91分) ●監督:深作欣二 ●出演:北大路欣也、太地喜和子、室田日出男、川谷拓三、小泉洋子、渡辺やよい、芹明香、安部徹、今井健二、林彰太郎、北村英三、天津敏、名和広、松方弘樹、山城新伍、梅宮辰夫 始まるやいなやいきなり銀行強盗。そっから刑法236条が表示されて、名和宏に脅されて鉄砲玉となった北大路欣也がヤクザの親分を撃って、タイトルバックは刑務所と新聞記事。つまりもうこの時点で状況説明が一通り済まされるという相変わらずのスピード感。 そしてなぜ

地獄(1960)

地獄(1960、新東宝、101分) ●監督:中川信夫 ●出演:天知茂、沼田曜一、中村虎彦、宮田文子、三ツ矢歌子、林寛、徳大寺君枝、山下明子、大友純、大谷友彦 オープニングのタイトルバックからして奇怪。 「ねんねんころりよ」の子守歌が流れ、火葬される棺の次には踊る裸の女たちが映り、喘ぎ声やら、「よーいスタート!」の掛け声、銃撃音など雑多なノイズ。 そして地獄へのイントロダクションが断片的に展開されると、仏教の地獄思想の講義という現実的な場面へとストーリーは転生しここからジ

地獄(1979)

地獄(1979、東映、131分) ●監督:神代辰巳 ●出演:原田美枝子、岸田今日子、石橋蓮司、林隆三、栗田ひろみ、西田健、田中邦衛、加藤嘉、稲野和子、岡島艶子、佐藤友美、藤本英之、上田孝則、浜村純、毛利菊枝、金子信雄、天本英世、大前均 新東宝の中川信夫監督の『地獄』とは特に関連がない、神代辰巳監督、田中陽造脚本による本作。 冒頭の地獄に関するナレーションから、真面目な映画なのかと思ったらいきなり一気にトンデモ展開。 いかにも人工的な真っ赤な山椿の中で女が出産。見えない力

地獄(1999)

地獄(1999、石井プロダクション、101分) ●監督:石井輝男 ●出演:佐藤美樹、丹波哲郎、前田通子、平松豊、斎藤のぞみ、平山久能、和田洋一、薩摩剣八郎、鳴門洋二、若杉英二、掛札昌裕、桂千穂、川上さゆり 中川信夫監督、神代辰巳監督の両作品とはこれまた関連のない、1999年の石井輝男監督作品。 都庁の前のベンチに座る少女という場面から映画は始まる。 前田通子演じる閻魔大王や丹波哲郎はともかくとして、少女リカと、閻魔大王の側近?の兄妹を演じる役者がほぼ素人の棒読み演技。

少年メリケンサック(2008)

少年メリケンサック(2008、「少年メリケンサック」製作委員会、125分) ●脚本・監督:宮藤官九郎 ●出演:宮崎あおい、木村祐一、勝地涼、田口トモロヲ、三宅弘城、峯田和伸、ピエール瀧、佐藤智仁、波岡一喜、石田法嗣、広岡由里子、池津祥子、児玉絹世、水崎綾女、細川徹、我孫子真哉、チン中村、村井守、星野源、田中馨、伊藤大地、浜野謙太、田辺誠一、哀川翔、烏丸せつこ、犬塚弘、中村敦夫、UG、JAPAN-狂撃-SPECIAL、遠藤ミチロウ、仲野茂、日影晃、佐藤一博、平間至、箭内道彦、ユ

昭和おんな博徒(1972)

昭和おんな博徒(1972、東映、91分) ●原作:藤原審爾 ●監督:加藤泰 ●出演:江波杏子、松方弘樹、天知茂、渡辺文雄、嵐寛寿郎、山本麟一 オープニング、雨の中の敵討ちが前触れもなく唐突に、粛々と行われる。 映画はこれが規定路線なのだと言わんばかりに殺しの最中からクレジットを映し出していき、この復讐にいたった経緯を回想で約1時間挟んでからまた進行するという構成。 小津映画的な畳とちゃぶ台の水平目線ではなく一段下がった三和土からのローアングル煽りショットの連発。 さら

女王蜂と大学の竜(1960)

女王蜂と大学の竜(1960、新東宝、81分) ●監督:石井輝男 ●出演:三原葉子、吉田輝雄、万里昌代、天知茂、浅見比呂志、沖竜次、水原爆、杉山弘太郎、大友純、近衛敏明、吉田昌代、加藤欣子、扇町京子、菊川大二郎、原聖二、宗方祐二、嵐寛寿郎 石井輝男監督、新東宝時代の一品で、DVD化はされてるようだけど配信はされておらず、もう終わってしまったけどシネヌーヴォの「新東宝映画まつり」で観た。 タイトルだけでは中身がよくわからないが、昔ながらの組の親分の娘(三原葉子)、身寄りのない

女囚701号 さそり(1972)

女囚701号 さそり(1972、東映、87分) ●原作:篠原とおる ●監督:伊藤俊也 ●出演:梶芽衣子、横山リエ、夏八木勲、渡辺文雄、扇ひろ子、渡辺やよい、三原葉子、根岸明美、国景子、片山由美子、城恵美、三戸部スエ 、小林千枝、由貴リエ、室田日出男、伊達三郎、堀田真三、沼田曜一 冒頭「この物語に登場する刑務所及び人物設定は全てフィクションであり…」とまず「刑務所」というワードを使うのが変というか面白かった。 からの"君が代"と日の丸国旗掲揚。NHKの放送終了画面かと思った

女囚さそり 第41雑居房(1972)

女囚さそり 第41雑居房(1972、東映、93分) ●原作:篠原とおる ●監督:伊藤俊也 ●出演:梶 芽衣子、白石加代子、荒砂ゆき、伊佐山ひろ子、八並映子、賀川雪絵、石井くに子、渡辺文雄、室田日出男、堀田真三、小松方正阿藤 海、田中筆子、小林稔侍、笠原玲子、戸浦六宏、園かおる 『さそり』シリーズ2作目。 前作は君が代からのスタートだったが今回は三味線。 シュールという表現が安っぽくなるほど、情念とか怨念が込められており、仮にリメイクしたところでこれは再現できないだろうな

処女ゲバゲバ(1969)

処女ゲバゲバ(1969、若松プロダクション、66分) ●監督:若松孝二 ●出演:谷川俊之、芦川絵里、林美樹、大和屋竺、木俣堯喬 筋道の通ったストーリー展開を求めるのは難しい。 演劇であれば背景がなくても違和感はないが、映像では背景がないことが非常な違和感。 十字架に磔にされた裸の女。 下着をつけていることだけが劇映画であるための認可証。社会の窓は開きっぱなし。 表現としては本当は脱がせたいんだろう。でもここは日本。 荒野。 まるで死後の世界。 いや生者の世界か

散弾銃の男(1961)

散弾銃の男(1961、日活、84分) ●監督:鈴木清順 ●出演:二谷英明、芦川いづみ、小高雄二、南田洋子、田中明夫、江幡高志、郷鍈治、野呂圭介、高原駿雄、佐野浅夫、嵯峨善兵、浜村純 タイトルは「ショットガンの男」と読む。 木曽の山地がロケ地らしいが壮大というより急峻で人を寄せ付けない雰囲気がある。 オープニングショットは橋を渡る貨物列車。序盤から鏡越しのショット、終盤にも1回あったりと、この辺は清順監督印といったところ。 しきりに「村の治安」だとか「流れ者」だとかいう

仁義なき戦い(1973)

仁義なき戦い(1973、東映、100分) ●脚本:笠原和夫 ●監督:深作欣二 ●出演:菅原文太、松方弘樹、渡瀬恒彦、伊吹吾郎、中村英子、川地民夫、名和広、内田朝雄、金子信雄、田中邦衛、梅宮辰夫 原爆のキノコ雲を背景に、「昭和二十一年 広島 呉」の文字と共に始まる。 冒頭からとにかくカメラが動き回り、船の中かなっていうくらい全然水平にならない。 いきなり刀で腕を叩き切る残酷な暴力描写がありつつ、戦後の闇市から始まったということを象徴するように丁半のサイコロを入れるのが缶詰

仁義なき戦い 広島死闘篇(1973)◆シリーズ2作目◆

仁義なき戦い 広島死闘篇(1973、東映、100分) ●脚本:笠原和夫 ●監督:深作欣二 ●出演:菅原文太、千葉真一、梶芽衣子、山城新伍、名和広、成田三樹夫、前田吟、金子信雄、遠藤辰雄、小池朝雄、北大路欣也 幕開けは昭和25年の広島。 本作の主人公、山中(北大路欣也)が傷害罪で捕まるところから始まる。 刑務所の中で土居組組長射殺事件で服役中だった広能(菅原文太)に出会い、仮出所した直後の飯屋で後に情婦となる靖子(梶芽衣子)にここで働かせてくれとせがみ、それに対し無銭飲食