エッセイ : ボルサリーノ(僕は帽子が似合わない)/今の若い人たちはワンピースの海軍大将黄猿を思い浮かべる名前
ボルサリーノという古い映画がある。アランドロンとジャンポールベルモンド2大フランススター共演のギャング映画だ。
映画のラストはジャンポールベルモンドが銃撃され亡くなってしまうシーンで終わる。
男の友情を描いた映画でもあるので僕は好きだ。
ボルサリーノはイタリアの老舗の帽子のメーカーだ
今の若い人たちは、ボルサリーノと聞くと、きっとワンピースの海軍大将黃猿を思い浮かべると思う。
時代は変わったと思う。老舗の帽子メーカーの名前がアニメの登場人物の名前に使われる時代が来るとは、この映画をテレビで見た中学生の時には想像もしていなかった。
少し話がそれるが、ワンピースの白ひげ海賊団が乗っていた船の名前はモビーディック号。
モビーディックとは、古典小説の傑作、白鯨に登場するマッコウクジラの名前であると同時に、伝説のロックバンド LED ZEPPELIN のロック界最強ドラマー、ジョンボーナムがライブの時にドラムソロを披露するファンお馴染みの曲の名前でもある。
ボルサリーノに話を戻すが、僕達の世代でボルサリーノと言えば帽子だ。
ところが僕は帽子というものが全然似合わない。
僕が帽子を被ると家族だけではなく、友人知人皆がクスクスと笑う。
いつから帽子が似合わなくなってしまったのだろうと思う。小学生の頃は、それなりに似合っていた。
27歳の時、勤めていた会社のイタリア支店に出張で行くことになり、ミラノを訪れた。
僕の担当者のブルーノさんに、帽子が似合わないという話をすると、帽子の名店ボルサリーノに行こうと言われた。ボルサリーノなら僕に似合う帽子が必ずあるとのことだった。
ボルサリーノでひとつひとつ帽子を試していったが
自分に似合う帽子はなかった。
ブルーノさんにも、お前ほど帽子の似合わない男は初めて見たと言われてしまった。
結局、僕は自分に似合う帽子はないと諦め、家の草むしりの時に被る、ワンピースのルフィではないが麦わら帽子以外は帽子を被ることはない。
だが、本当に不思議なのだ。
小学生の時は帽子が似合っていて、遊びに行く時は
必ず帽子を被っていた。
人生のどの時点で帽子が似合わなくなってしまったのだろう?
きっと、この疑問は消えないと思う。