エッセイ : 僕の身の周りの高齢化問題 3 / 歳をとったら自然豊かな所ではなく街中に住むべきだと思う

僕は今、自分が建てた築30年の家を売却し引っ越しをしようと考え始めている。

僕が住んでいる所から1番近くのスーパーまで車で5分かかる。車で5分ということは歩けば30分以上かかるということだ。
1番近くのコンビニまで約500mある。
1番近くの病院までやはり車で5分、つまり歩けば
30分以上かかる。
駅まで歩くと40分かかる。
唯一便利なのは高速道路のICまで車で5分もかからないということだけだ。

つまり今僕が住んでいる所は車がないと生活出来ない所、このまま歳をとり車の運転が出来なくなればもう生活して行くことが出来ない。
僕が先に亡くなった後、妻が一人で生活することは完全に不可能だ。
バスに乗ってスーパーに買い物に行くことは出来る
だが米や味噌や醤油のような重い物は買って帰って来ることは出来ない。 
しかも僕には2人の娘がいるが結婚して地元から離れた所で生活している。パートナーの仕事からも、
地元に帰って来ることはまずない。
2人の娘が妻の世話をするのは実質不可能だ。

自然豊かな所というのは、まだ若いうちはいい。
確かに静かで夜もぐっすりと眠ることが出来る。
だが裏を返せば寂しい所とも言える。
先日、地域の奉仕活動で同じ作業をした30代で
お子さんのいない奥さんが、こんなことを言った。
今、旦那さんが海外に単身赴任していて後2年は
日本に帰って来ない。
夜、一軒家に一人で眠るのは怖いから、1階のリビングの灯りを一晩中つけて2階の寝室で眠っている
洗濯物も防犯のため、汚れていない旦那さんの下着も一緒に洗って自分の下着と一緒に干している。

僕は歩いて5分以内にスーパー、病院、コンビニ、駅に行ける場所を探して行ったところ、該当したのが、何と僕が生まれ育った街だった。
僕が生まれ育った街は産業が発達していて観光地でもあるため土地が高い。だから元々地元の人以外の人で家を建てられる人というのは限られていた。
安い土地を求めて僕は今の場所に家を建てた。
だが皮肉にも歳をとってから、その土地の高い場所に戻らなくてはいけなくなってしまった。

奉仕活動と上述したが、地方の街ではその地域の係の仕事が順番日回って来る。当然煩わしい近所付き合いもある。冬は雪かきをしなくてはならない。
夏は家の庭の草むしりだ。
一軒家に住んでしまうと、何処に行っても同様のことが起きてしまう。
だが、マンションに住めば、これらの問題は解決出来る。マンションの住人は地域の奉仕活動や係の仕事の対象外になる。雪かきも草むしりもする必要がない。煩わしい近所付き合いも発生しない。

僕は賃貸マンションにすることにした。不動産を残して亡くなると、娘たちがその処理をするのが大変だからだ。
家というのは、資産価値が高ければ良いが、その土地にしろ建物にしろ、余り資産価値がなければ、
子ども達が相続しても、相続税を払い、固定資産税を払い続けて行くと赤字になり、負の財産になってしまう。
家が古くなれば資産価値はなくなる。家を解体し、
更地にすると固定資産税は3倍位高くなる。
僕の家の建坪は37坪だが、解体費用は約200万円。かと言って空き家のままにしておくわけにもいかない。
資産価値がある内に売却するのが1番良いと判断した。

今、医療の知識を持った人が常駐しているマンションがあると知った。企業で言うところの産業医のような人が常駐してくれていて、身体の具合が悪くなると、まずその人が診てくれて場合によっては救急車も手配してくれるらしい。つまり、高齢者向けのマンションだ。
高齢者向けのマンションならば、僕が亡くなった後
奥さんが1人でも安心して生活していけるし、娘たちも安心だと思う。

まずは今住んでいる家を調べてもらい見積りを出してもらうが、勿論一社からではない。不動産の見積りは複数社から取るのが常識。
これから老後に向けて忙しくなりそうだ。



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