【詩】夜のスクリーン
左腕がなくなった
それくらい痺れて寝返りを打つ
投げ出した右腕で隣を探っても
そこに愛しい人はいない
本当か?
酷く冷めた声が心に問い掛ける
瞼を開けると暗いスクリーンがあった
目を凝らすと獣じみた行為が見えてくる
微かな息遣いが聞こえ 肉を打つ湿った音がした
尻の肉を掴み 夢中で腰を振る若い男が自分で
貫かれる若い女は胸を揺らし 叫ぶようによがる
筋書きのない三文芝居 女優の顔には黒い霞が掛かる
若い男は何度も出した 伸び切った薄ピンクの風船で
ゴミ箱が生臭くなる 二人分の汗で部屋が異臭を放つ
欲情は不快を上回り ひたすら肉と肉をぶつけ合った
唇をねぶった 舌で中を掻き回し 休まず腰を振る
思考力は極端に落ちて 時間が薄闇に溶けてゆく
あれが愛とは思えない
吐いた息が驚くほど熱い
幕を下ろすつもりで瞼を閉じた
心に熾火のような熱を感じる
遠い過去を闇に埋めて 再び眠りにつく
深く 深く 二度と過去が浮上しないように
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