『光る君へ』第十三話『進むべき道』のネタバレを含む感想記事
こちらの記事は大河ドラマ『光る君へ』の第十三話『進むべき道』の作中エピソードを箇条書きにした後に、細か目の感想というか妄想を書いている記事です
ネタバレがふんだんに含まれておりますので、閲覧の取り扱いにはくれぐれもご注意下さい
ドラマ中エピソード箇所書きコーナー
一、永祚二年(990年)から始まる
先週の話から4年の月日が流れていた
一条天皇は元服の日を迎えている すでに帝位についている人の元服とは、思えば恐ろしいものだ
二、藤原道隆の居室、娘の定子が兄の伊周の書いた恋文を持ち出してからかっている
伊周も定子も美しく麗しい、そんなきょうだいが子どもっぽく手紙の取り合いをしているところが微笑ましい
満足そうな父の道隆と、息子にことのほか甘い母の貴子
(ヴァイオリンの華やかな音色のBGMと不思議と調和する、道隆の家の文化的なムード)
定子は元服して間もない一条帝に入内する
一話での詮子の入内のシーンにも負けぬ華やかさ
入内の模様を感慨深く見守る道隆とその父の摂政の兼家、しかし足元がおぼつかない様子
緊張でもじもじしている一条天皇を、美しい扇の影から変顔をして見せて和ませる定子
「お上」とかける声の甘く優しい囁き
定子は一条天皇が即位する前は、幼馴染みとして遊び相手だった
そんな姉のような存在が、美しい装いで妻として現れたらそりゃあ緊張するし、どうしてよいか分からないだろう
「お上のお好きなもの、お教え下さい お上の好きなもの 私もぜんぶ好きになります」
「好きなもの…母上、つばき餅、松虫」
「…私、虫だけは苦手なのです」
そう言って笑い合うふたり、これは相愛の仲になる…!! 史実として知っていてもなお、胸にくる演出です
(ちなみにつばき餅は『源氏物語』の中の『若菜』で珍しく飲み食いしてるシーンに出てきます)
三、兼道、兄の道隆に娘の入内の先を越された事を憤ってやけ酒を飲み、妻とまだ幼い娘に入内をせっつくようなことを言う 娘の名前は尊子
四、市に買い出しに出ているまひろとさわさん、まひろは野菜で針を買おうとする(無茶)
四年ずっと仲良くしてたんだね
人買いに拐われる子供を取り戻そうとする母親を助けようとするが上手く行かず、まひろと乙丸負傷
まひろは市井の人に文字を教えたいと決意する
🌟🌟🌟
五、乙丸を文字教室の生徒に見立て、「をとまる」と地面に書くパフォーマンスをし、生徒の募集をするまひろ
ひとりの女の子が興味を持ってくれる
「あなたも書いてみる?」
すごく楽しそうに、女の子と文字の練習をする
をとまるは、それを満足そうに眺めている(名誉の負傷の包帯が痛そう)
いとさんは「姫様がまたなんの足しにもならぬことをおやりですけど」と、愚痴るが為時は生返事をする
四年たって更に古女房感が醸し出されてるいとさん
いとさんとをとまるの忠義って凄い
六、国司(地方代官)の課税が重すぎるという地方からの訴えを公卿たちが詮議しているが、さらりと切り捨てようとする道隆に対して「民なくば我々の暮らしもない」と反対する道長 しかし兼家は、意見を求められても相手の名前も顔も間違えるし全く関係のない回答をしてしまう 認知症の気配
実資どのは、民を思う道長の進言に共感してよく頷いていた 一目置いた感じ(赤痢も治って公卿にもなってて良かった)
七、今の座に留まってほしい道隆と、さっさと後継者を指名して欲しい道兼で、バチバチに言い合いをする二人
道隆はかつて、道兼と酒を酌み交わして優しい言葉をかけていたけど、それはもう二人の中にはないようだった
道兼の焦りと驕りに道隆が辟易してる
病状の心配はしないその様子を立ち聞きする道長は無表情だがしんどそう、実資が通りすがりに「精進、精進…」と言い置く
「まあしんどいけど、やれることやりましょうや」ってこと?
八、道隆が自邸で妻貴子に、父の後継者として摂政に立たなければならないから、心づもりをしておくように告げるが
「心づもりはとうの昔からできております 明日そうなっても大丈夫でございますよ」と、頼もしく返す貴子
知性と野心、自負心の強さがある
「そうなっても」ってつまり(父が死ぬ)事なんだけど…夫婦してそれよりは位を極めて権力を掴むことを重視している たしかにあの伊周の両親です
九、酒を飲んで愚痴ってる兼家(二回目)今度は公任を相手にしている 目を盗んで時々げんなりした表情をする 道兼に取り入っておけという父の言をちゃんと守ったようだ ちなみに公任の父は亡くなってしまったそうです
その父の言葉を巧みに用いて道兼の機嫌をとる公任、なかなか上手い
現在の公任の職は蔵人頭(天皇の身の回りの世話をする側近)で、一条帝の即位直後は道兼の役職だった(そういうシステムがあるのかは分からないが、派閥内で継がせたのか?)
帝と摂政の状態を逐一報告せよと命じる道兼(兼家っぽい)
十、土御門邸、倫子は母と共に道長との娘彰子の昼寝姿を眺めている
倫子の母は、倫子と共にとても道長の婿ぶりを気に入っている様子
道長が帰宅し、倫子と彰子と三人になる
父の老いに動揺している道長だが、倫子は自分の父もめっきり老いたと伝えた上で「でもそんな父も愛おしゅうございます」と告げて夫を励ます
道長も、妻も娘も愛おしく感じてる表情をする 兄二人とは違う、妻も娘も政治闘争の手札として見る視点はなく、ただ娘も妻みたいに父を愛おしんでくれたらいいと願っているのかも知れない
十一、宣孝、ド派手な黄色の僧服で御岳詣に行ってきた話をしつつ「どうだ~」と服を自慢してる
まひろは心から、すごいすごい! という顔をしている
婿とりの話を持ちかけられても、またしても頑として断るまひろ、宣孝もうるさく説教はせず、むしろその頑なさをどこか面白がってるような、慈しんでいるような顔をする
父からも、あまり自分の行く末を決めつけ過ぎない方が良いと諭されるが、まひろはそれよりは何処かの屋敷に女房として勤めに上がりたいと願う
十二、明子と道長、どこかよそよそしい夫婦
明子は子ができたと告げる
こんな時でも笑顔ではないのだな、と道長は言うが、明子女王はどこまでもたおやかな姫ぶり
父上のお見舞いに行かせて下さりませ、と願い出て、兼家と対面する
父上は息災か? と致命的な失言をする兼家
耐えられなくなった道長は席を外してしまう(駄目だよ)
好機を得た明子は兼家に扇を所望し、投げつけられたそれを拾い上げ、満足そうに美しく微笑む
明子は自邸での仏前で、亡くなった父にこれで呪詛ができますと報告する
腹に子もいるのに止めておけと止める明子の兄だが、明子はそんな兄を非難し、呪詛は断行すると言う
兄は四年前に比べヘラヘラしておらず、どこか苦しそう 苦労してるんだろう
十三、うなされて起きる兼家、邸内を徘徊し、家の者の区別もつかない
晴明が呼ばれ、兼家は自分の寿命や後継者を誰にすべきか質問するが、はっきりしない回答しかしない
ひとりになった兼家はすすり泣く
十四、侍女と定子とかくれんぼをしている一条帝
そこへやってきた詮子は渋い顔をする
定子は嫌っている兄、道隆の娘だから息子と仲良くするのは面白くないのだと思われる
もしくは、自身は帝と仲睦まじくなれなかった事が、今もなお苦しいのかも知れない
十五、道長と兼家、夜半に話をする
兼家は往時の覇気を取り戻したかのように、民におもねることはしてはいけない、家を守り盛り立てること、それが自分の政治だった、それを受け継げる者こそが後継なのだと告げる
十六、官職のない父をもつまひろは、どこの家でも女房としては雇えないと、断られてしまう
そんなまひろの様子が、土御門邸の姫君の集いで噂となり、倫子はまひろに文を出し、雇用したいと申し出る
しかし、まひろはそれを仕事は他で決まってしまったということにして固辞する
道長が四年前に婿入りして以来、まひろはこの邸を、訪れていなかった
まして今から、この邸の女房になるのは無理である
しかし倫子はそんな気持ちを知ってか知らずか、道長の部屋で見つけた文について、まひろに相談をする
それは四年前にまひろが贈った陶淵明の漢詩だった
道長は土御門邸にまひろの手紙を持ってきて大切に隠して保管していたらしい
倫子は明子女王の手紙なのではないかと疑い、そして道長は手紙をくれなかったこと、庚申待の夜に突然やって来たことを話す
まひろはその事に動揺するが、感情を必死に押し殺している
そこへ道長と倫子の娘が現れて「殿に似て人見知り」と語る言葉に、まひろは改めて二人が夫婦として結ばれていることを実感してしまう
早々に屋敷を辞そうとする
しかし、花びらの散る春の陽気の土御門邸で、道長とまひろは再び会ってしまったのだった
予告、晴明の「星は落ちる…」のつぶやき、明子の読経(呪詛!? ご自分で!?)実資、定子の立后と伊周の強引な昇進に怒ってる、ききょうとまひろが話している
ドラマ本編の内容箇条書きは以上ですが、
何はともあれこちらの記事をご覧ください
ひろうすさんの、なんと絵巻の漫画が!
いつも様々な『光る君へ』の絵巻を描いて下さってるひろうすさんですが、なんと今回は漫画! 漫画を描いて下さったんです!
市の街角で乙丸を相手役に、文字を教えてるよ、見に来てよ! と大道芸のような賑やかさで喧伝をした、まひろ
そこに興味をもってくれた女の子が表れる…ちょっと不思議だけどほっこりする、そして乙丸が大活躍をするシーンを漫画化して下さったんです!
(上記の🌟🌟🌟がついている箇所です)
元々、ひろうすさんはこの『光る君へ』の絵巻をたくさん描いて下さってましたが、漫画になるとさらにその卓越した画力、構図のセンス、漫画のコマ割りの演出の巧みさが煌めくようではありませんか!
冒頭の緊張してる乙丸、朗らかなまひろ
画面が市井の人びとの姿にパンされて、ふたりの寸劇への反応、興味ある人、ない人、目もくれない人、好奇の目線、
まひろが小枝で書く、ガリガリとした地面の質感と土ぼこり、遠景のさらりと描かれた人物の目と口と烏帽子、真顔の貴族、不振そうなのと笑ってるの、川と板の橋の表現、まひろが屈んで袂を持って書く姿、乙丸のへにゃってる烏帽子に片腕の怪我、まひろに促されて拳を握りしめて大きく叫ぶ姿
「しーん」の表現文字、真顔のまひろと白目の乙丸の反応、
ちっちゃな女の子の不思議そうな表情、書くことに興味を持ってもらえたことが嬉しい、輝くようなまひろの笑顔!
そして最後のコマの乙丸のほっとした顔…
ドラマ本編を見ていた時は、面白くも何気ないシーンとして見てしまった箇所でしたが、ひろうすさんの絵巻漫画で改めて体験させてもらえると、まひろと乙丸の掛け合いや、それを見物している人知らん顔する人のそれぞれの表情、ドラマ中にはなかったアングルでの演出、見れば見るほど面白く素晴らしいです
まひろの笑顔が絶品なんですよ…
主のあんな顔が見られたら、慣れない大声で寸劇をするはめになった乙丸も報われるというものです
ひろうすさんの面白いところは、漫画のみならず文章での感想も発揮されててですね「じゅーそ! じゅーそ!」って明子女王にコール応援されてるとこなんか噴きましたね もはやアイドルを推すような愛で方、
自分はそんなひろうすさんが推しです
感想とか妄想とか
さて今回も色々と、面白いことはあったものの、まだまだ第二部の仕込みの段階のようなエピソードでした
登場人物それぞれの水面下の心の有り様が複雑に絡み合っていて、何というか緊張感があるけど、布石だらけで疲れるというか、面白いんだけどメモとりしてるとしつこくなるというか、めんどくせえ話だなと思います(誉めてます)
ずっと権勢を振るってきた兼家さんがついに耄碌しだしたのはご年齢もありますから無理がないとは言え、段田安則さんの演技が素晴らしいんですよね、絶妙な耄碌演技で、かつ斑呆けというか、時折正気に戻ることもある、そして道長に政の指針を言い聞かせるところなどは、道長にまた大きな影響を与えたのだと思います
家のために政治をする、という姿勢は個人的にはピンと来ませんが、道長の史実を知っている身からすると納得がいきます
あと、兼家さんが三兄弟の中で後継者をどうするか迷ってるかのような発言は、まるでシェイクスピアの『リア王』みたい(あるいはそれを翻案にした黒沢明監督の『乱』みたい)で面白かったです
末っ子だけが父を想っているところとかそのままです
というか、段田安則さんがまさに『リア王』の舞台を今やられてるんですよね
そして道兼役の玉置玲央さんとも共演なさってる、熱い
朗らかな定子さまとまだ無邪気な一条帝も良かったです
というか、定子さまが懐が深く優しくて、でもお茶目さもあって辛抱強くて、まさに定子さまだなあと感動しきりでした
定子さまは妃がねとして厳しく育てられて、見事にその資質を開花させてるけど、同じく何でもできる才があって、しかし甘やかされて増長してる感たっぷりの兄の伊周に対して特に含むところがないの凄いな…と、兄がいる身としては思います
夫の遊び相手にもなって、姑が冷たくてもそれにめげずに仕えようとしている、あまりにも良くできたお妃で心配でなりません
乙丸も良かったですね、まひろの無茶な行動に付き合わされて「姫様に何をする!」って庇ってぶん殴られるの、これで三回目ですよ…
面白かったけどわりと謎の寸劇だったので、報われて良かった
乙丸といとさんは、前々回で暇を出した下男下女たちを、まひろとともに頭を下げて見送ってたんですよね
それって奉公人というより家族と同じようなものです
でもあくまでも従者として、乙丸はずっとまひろ(と母のちやは)に仕えていました
乙丸何歳なのだろう、どうか元気でなるべく長く、まひろの側にいて欲しい そしてまひろもどうか、乙丸の献身に感謝して労うシーンとかやってほしい
と言うか、乙丸の何がいいって、まひろに対する恋情とかがあるわけではなく、あくまでも忠誠と献身ってのがいいんですよ 恋情があるとアンドレみたいやし
もし自分が『光る君へ』で乙女ゲームのシナリオを書きなさいって言われたら(誰に)乙丸ルートは絶対作りますね、結ばれるのではなく、市井の中で穏やかに暮らす、道長とはきっぱりと縁を切る、乙丸が仕えてくれていることが幸せ、そんな穏やかな話にしたい
「乙丸、いつもありがとう 貴方が見守って仕えてくれていたから…いつも私は安心していられました 貴方がずっと仕えてくれていたこと…とても大きな幸いでした」って、乙丸が亡くなる時に(飛躍)伝えて看取ってあげるエンディングのルートが欲しいですね
他にも直秀生存ルートや、晴明と縁が出来て呪詛と祓いの訓練を受ける陰陽師ルート、道兼が口説いてくる地獄ルートなんかがあっても良さそうです
そうそう、まひろって道長以外にまったくモテませんね あんなに賢くて麗しいのに、まったく魅力が発掘されてません
道長は若干ギャルゲーっぽい環境になってしまったから(史実だから)仕方ないですが、まひろにももっと、他の可能性があっても良くないかなあと思うのですが
あくまでも、まひろは道長に一筋で、それは観ていてとても嬉しいのですが、まひろの良さに目を止める殿方がもっと居てもいいと思うんです
(宣孝がちょっとそうなりかかってるような演出はありましたが、それは史実だし)
いっぽう、ギャルゲーっぽい環境になった道長は、それでもなお、まひろの事を想い続けていたようで、終盤の二人が再会してしまったシーンでの道長が、なんか凄い顔だったんですよね、何年も渡って想い過ぎてて拗らせているような顔に見えました 次回が楽しみです
でも本当に、道長が可哀想でなりません
まひろも道長のことを想ってて両想い同士だけど、道長の方は妻も子もいる身の上になっちゃったから、想い続けるのだけでも罪悪感を抱かなければいけない側面がある
そして元々、道長は政治には興味が無かったのに、まひろに促されて政治から世を正すことになってしまったし、四年前には「幸せとは思わない」って言っていた
それは今も、きっとそうなのだと感じてしまう、終盤のシーンでした
まひろの事を想い過ぎてて、逆に憎く思ってしまっているような、いっそもう二度と会いたくないと想っていたのにそれでも会いたかったと苦悩していたような、なんかそんな顔だったんですよね
道長は第八話の終わりのシーンでも凄い表情をしていたのですが、それが更に強まりました 役者さんってすげえなと思う次第です
道長の妻ふたり、倫子さまと明子女王はそれぞれの魅力がたっぷりだったのも見逃せません、良き妻であり母であり、朗らかな姫君としての魅力もそのままの倫子さま
道長を慕う気持ちにひょっとしたら嘘は無いのかもしれないけど、それでも呪詛の機会を何年も待ち続けてそしてそれを得た時の、何とも清らかな笑顔の明子女王…どちらの妻も素敵です
というか明子女王なんですが、予告で読経してたんですよね
兼家への呪詛って、ご実家のお抱え陰陽師とかがやるんかと思ってたんですが、どうも御自ら呪詛をなさるようです アグレッシブ明子さまです じゅーそ! じゅーそ!
最後に、今回の記事下書きメモです
今回は練習を兼ねて筆ペンで書いているので、やや見づらいです、すいません
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