『源氏物語』初見の方におすすめしたいパスティーシュ短編小説
自分は源氏物語が好きなんですが、本体も凄く楽しく読みますし、様々な源氏物語の解説本や評論本もとても好きです
こちらの記事は、源氏物語読んでみたいけど難しそうだなって方に是非ともオススメしたい一冊をご紹介する内容になってます
『源氏姉妹』 酒井順子 新潮文庫
こちらの作品は、源氏物語作中で主人公の源氏と性的な関係があった女性たちの、それぞれの”感想”を生々しく再構築し、さらに酒井氏から見たそれぞれの女性たちの解説も併記されている一作となってます
源氏物語が未読の方も分かりやすくて
愛読している方も納得がいくし新たな視点も得られるし
源氏物語作中ではごく上品に匂わせる描写で伝えてくる性描写を、はっきりと、赤裸々に、たっぷりと書いて下さっていて
エロ小説としてめちゃくちゃ面白いんです!
この作品の中で取り上げられている女性たちで、特に好ましかったのは、源氏の先の正妻の葵上と、晩年の正妻の女三ノ宮です
葵上と源氏は冷えきった夫婦関係であったはずが、思いがけず寝所にやってきた夫から受ける屈辱と与えられた悦びに涙を流してしまい、でもそれから夫婦仲が穏やかに変わってゆけた幸福感、その直後の悲劇に至る切なさがたくさん込められていました
女三ノ宮は源氏以外の男と関係してしまうに至った経緯と、彼女が得た驚きと困惑、そしてあの選択に至る決意が見事に描かれていて、女三ノ宮推しも大満足な一編でした
この感想だと、源氏物語未見の方には分かりにくいかも知れないですが、お伝えしたいのはとにかく
源氏物語はエロいところから紐解くと面白いし分かりやすいし、エロ小説読みたい方にすごくオススメなんですよっ! ってことなんです!