『そいねドリーマー』感想と『ALTER AGO』のクリア後要素について
『そいねドリーマー』宮澤伊織・著
ハヤカワ文庫 を読みました
女子高生帆影沙耶は、ひどい不眠症に数ヶ月に渡り悩まされていたが、どこででもよく寝ていると評判の金春ひつじに出会い、眠る彼女の側では、よく眠れることを発見する
しかし、彼女がもたらす眠りの中では睡獣とスリープウォーカーという能力者が闘いを繰り広げているのだった…
という入り口の物語で、日常に潜む異世界ものであり
かつ、その異世界での闘いがすごくゲームっぽさがあってわくわくしてしまいました
睡獣との闘いに長けた〈ピローファイター〉
睡眠環境を整える支援役〈ベッドメイカー〉
眠りの世界にメンバーを送る〈ブランケット〉
主人公帆影が出会うスリープウォーカーたち(全員女子高生)は、それぞれの得意分野でもって睡獣と戦っており、帆影自身は悪夢に影響を受けずに行動ができる〈ネヴァースリーパー〉の資質があると告げられ、安らかな眠りを守るために、スリープウォーカーとしての闘いに挑むのです
夢と現実は、ナイトランドとデイランドと呼ばれ
それを行ったり来たりしながら睡獣と闘うのですが
夢の中での描写のすごい夢っぽさが楽しくて、しかし事態が深刻になる中で、次第にその境が曖昧になってゆく恐怖もあり、求めてるものが色々と盛られた話です
そして何よりも
この作品の良さは、眠りの雰囲気の淡さを伴う百合表現にあって
ふわふわしながらも、急に展開の重いクソデカ感情が押し寄せるところに驚きつつ、萌えざるをえない物語でした
結末はちょっと解釈が分かれそうなものでしたが、個人的には黒ひつじさんだったのでは? と考えています
ところで先日、オススメのアプリゲームをご紹介する記事を書いたのですが
この『ALTER AGO』では、エンディングをコンプリートすると、登場する少女に本を貸してもらえ、その本について語り合うことができます
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.caracolu.alterego
『そいねドリーマー』は彼女が貸してくれる本の中に入っており、実在の本について感想の言い合いができるというのが、新鮮で楽しいです
ちなみに、本はあくまでもゲーム内で自分のプレイヤーキャラが貸してもらえるだけなので、書籍はご自分でご用意ください📚️
この2つの作品は、どちらも現実感が薄れる夢うつつさが魅力で、そこに浸っていたい中毒性があります
戻れなくてもかまわない心地になるのも一興ですね
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