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【イタリア大学院留学】6. イタリア入国(後編): 実家のような安心感を覚えたはなし

どうも皆さま、こんにちは。
大学院での怒涛の勉強で、頭がエンスト寸前のアラサー社会人留学生です。
こちらにきてから日本での仕事(研究領域に深く関与するボランティアワーク)と新たにいただいた仕事の2つを掛け持ちしながら、大学院で「持続可能な観光および社会」について研究する生活が始まりました。私自身が持続可能かはわかりません。どうかお察しください。このNoteの更新が止まったらいよいよ末期です。

さて、前回の記事でようやく日本を飛び出し、イタリアへの飛行機が発着するドイツに降り立ちました。
前回の記事は以下からどうぞ。やや鉄分多めです。

また、出願〜ビザ申請に関連する記事は以下から覗いてみてください。

今回の記事ではイタリア・ボローニャに入国し、一晩過ごすまでの様子をお伝えできればと思います。
奨学金含めて1年以上の準備を経てたどり着いたイタリアは、思ったよりもアウェーではありませんでした。縁あってこの地に来たんだなとつくづく思います。

それでは本編です。


1. (入国)イタリアさん、ヌルッとこんばんは

ドイツ時間の8月21日午後10時。フランクフルト国際空港。
いよいよイタリアに向けて飛び立ちました。

流石に日本のホテルを出発してから1日以上が経過し、体育会系出身とはいえ疲れます。機体がターミナルを出たと同時に寝てしまい、隣の席のマダムに起こしてもらった時にはすでにボローニャに到着していたのでした。

イタリア時間の8月21日、午後11時半。ボローニャ国際空港に到着です。

寝ぼけたまま飛行機を降りるとそこにはバスが。
直接ターミナルに到着したわけではなく、飛行機からバスでターミナルに向かうスタイルのようです。

ルフトハンザさん、お世話になりました!

ターミナル到着後は少し建物内を歩き、預けた荷物を受け取ってぬるっと入国。

「少し」とはどれくらいかというと、バスを降りて到着ゲートを出るまでノンストップで歩いて5分程度。
国際線を降りて、しかもイタリア屈指のターミナルで入国するというのに。想像をはるかに超える「軽さ」に驚きました。

五反田駅から25時間。
長い旅にも一区切りです。
日本出国前、(おそらく)1日10回くらいは見ていたロゴとご対面。
(イタリアでの住居探しでお世話になった人も多いのではないでしょうか)
蛍光イエローとビット文字で、目が覚めると同時にイタリア入国の実感が湧いてきました。

頭が覚醒した後に落ち着いて考えてみれば、ドイツもイタリアも同じEU圏内。
違う国とはいえ、国同士の移動の自由を定めた「シェンゲン協定」に加盟しているので、扱いは日本の国内線とそう変わらないのです。

初めてEU圏内に入ったドイツでは入国審査を経てスタンプを押してもらって入国する、一般的な「海外からの渡航者」としての立ち回りをしたものの、ここでは入国スタンプをもらうことはなく、荷物を受け取るだけでおしまい。
あっさりと、欧州2カ国目への入国を果たしたのでした。
(後日改めて記述しますが、イタリアで入国スタンプをもらわないことで、滞在許可用申請にあたり少々厄介なことになりました。おそらく次回の記事で詳細をお伝えします。)

フランクフルトで落ち合った日本帰りのカップルと着陸後に再会し、共にカフェ(こちらでは ”bar” (バール)というそうです)で一息。
サッとエスプレッソを飲み、家までの運転を控える彼らとはお別れ。私が住まう場所からほど近いところに住んでいるらしいので、また会えることでしょう!
入国前から素敵な思い出をありがとうございました!

入店時には日付を越えていたというのに普通に営業していました。
しかも店内にはそこそこの数のお客さん。
乗り継ぎ/深夜・早朝便のお客さんにとっては確かにありがたそうです。
日付を越えてはいましたが、イタリアで初エスプレッソ。
私のお気に入り・ス◯バのト◯プルエスプレッソラテが一瞬で霞みました。美味しい!
(あれはあれで、日本全国どこでも飲めるというありがたさがありますね)
・・・イタリアといえばスーパーカーです。思い出しました。

さて、日付を越えているのでバール以外の店は軒並み閉店ガラガラ。
空港にいても特にやることはないので、さっさとホテルに向かうことにします。

2. (空港~ホテル)日本車の本気を見た

発着便数の割にそこまで規模が大きくないボローニャ国際空港。
バールから正面玄関(ロータリー)は目と鼻の先。土地勘は全くありませんがとりあえず出てみることにします。

ビザ申請前、空港近くで手配したホテルには予約時にAgoda経由で「空港の送迎をお願いします」とリクエストを送ったものの、その後に先方からの連絡はありませんでした。
加えてそもそもSIMがないので電話のしようがありません。日本出国前に確認しておくべきでした。イタリア到着早々やらかしです。

ホテルまでは歩いて1時間強。普段の私なら歩くか悩んだでしょうが、あいにく深夜に大量の荷物を持って未踏の国の郊外を歩く度胸も体力もありません。正面玄関でタクシーを捕まえることにしました。

幸いなことに、タクシー乗り場は正面玄関出てすぐの目につくところにあり、日本と同様タクシーが一列に並んで客を待っていました。
客の方はそこまで待っていません。どうやら空港発のバスを利用する人、知り合いなどに送迎してもらう人が多い様子。

すぐに私の順番が来てタクシーが正面に横付けされます。
直前にgoogle翻訳でインプットしたイタリア語で「ここまで乗せてくれ」と言いつつ地図を見せ、空港を無事に出発したのでした。

ちなみに、

  • 「国際空港で」客を待つタクシーの運ちゃんと

  • 「イタリア語で」やりとりする

上記からある程度お察しかもしれませんが、この運ちゃんに限らずイタリアでは思いのほか英語が通じません(入国以降、一番困ったのがこの点です)。都市の大小、外国人の数に関係なく、英語で何不自由なくやりとりできたらラッキーくらいに思っておいた方が良いでしょう。

ちなみにこの時私を運んでくれたタクシーの車が、何の因果かトヨタのRAV4。
日本でも人気のSUVで、イタリアの高速道路(アウトストラーダ)や下道をかっ飛ばします。日本のように交差点に細かく信号が配置されているということはなく、ほとんどの交差点が「ラウンドアバウト」と呼ばれる、反時計回りに回って方向を変える循環型交差点。進入時に信号があるわけでもないために減速の必要もなく、カーブもほぼトップスピードのまま。日本製SUVのパワフルな走りと加減速性能、小回りの良さを最大限活用してホテルまで運んでくれたのでした。遠心力マシマシの乗り心地はまさにジェットコースター。

ホテルまで15分程度の道のりで19ユーロ(約3,000円強)。そこまで高いわけでもない料金で安心しました。

午前1時、ようやくホテルに到着です。やっと一息つけます。長かった。
今回利用させてもらったのはこのホテル。

(それなりに)英語も通じますし、WiFiが少々弱い以外は設備も充実しています。
加えて朝食込みでも1万円弱と、空港至近のホテルとしては割と良心的な値段でした(こちらのホテル相場は街によりますが、概ね日本の東京と同等です)。

なぜかツインベッドの巨大な部屋(トイレ、シャワー別)があてがわれ、カツカツ留学生としてはかなり豪勢な初夜を過ごしたのでした。
(写真を撮り忘れたので記録はありませんが、1人で過ごしてたら手持ち無沙汰で却って落ち着かなくなるレベルの部屋でした。)

3. (ホテル)斜め上のセルフサービス

8月22日、イタリアで初めての朝を迎えます。

時差の影響もありそこまで熟睡することもなく、とはいえある程度疲労も回復した状態で朝を迎えることができました。

予約していた朝食まである程度の時間があったため、少しホテル周辺をぶらぶら。

朝の爽やかな空気の中、少し散歩。
しかし地平線の遠さやアスファルトの質感の違いが
異国に来た実感を十二分に持たせてくれます。

日本海側の海沿いで生まれ育った私にとって、長く続く地平線はまさに異質な風景そのもの。数年前オーストラリアはメルボルンに数ヶ月滞在した時に見たどこまでも平坦な野原のそれに近い感覚を覚えます。
車が右側通行で飛ばしていく様子はまさにオーストラリアに近いですね。欧州の中でも重要な国際空港の近くにしてはのどかな風景が広がります。

ドイツ・フランクフルト滞在時は相当に涼しかったのですが(→おそらくドイツで
1泊するとなるとなかなかに寒い思いをした可能性もあります。夏の北中欧に行かれる皆さま、お気をつけて)、こちらはそこそこの涼しさに若干の湿気と生暖かさが混じります。あれ、この湿っぽい空気感、日本、、、、、?

個人差こそあるとは思いますが、肌にややまとわりつく、少し重力を感じる空気感はまさに日本のそれ。本来であればやだなぁと思うところなのかもしれませんが、覚醒したての私の頭ではまるで実家のような安心感を覚えていたのでした。

15分そこそこ歩いてホテルに戻り、朝ごはんです。

ビュッフェ形式の朝ごはん。
日本でも食べ慣れたものが並びますが、ところどころ未知のものが、、、
私のイタリア初ご飯。
しょっぱいものはとことんしょっぱく、甘いものは激甘。そして安定のエスプレッソ。
(この後ヨーグルトで中和しました)

ビュッフェの様子、そして見事に黄色と茶色が揃った私の皿を見て、意識の高い皆さまは思ったことでしょう。

野菜は?

皆さまの心の声

結論から申し上げて、私がこの日野菜を摂ることはありませんでした。

「ビュッフェならサラダバーくらいあるのではないか」と思われた皆さま、お察しの通りです。確かにビュッフェには、日本でよく見るサラダバーに似通ったものがありました。

ただし、ナイフとまな板を添えて。

「食べたい量を切っていく」スタイル。
これは全くの想定外でした。
(右下の人参はどなたかの切り残しです)

・・・うん。新鮮で美味しそうな野菜と果物。
周りにはドレッシングらしきものは特に見当たりませんし、他のお客さんが野菜を切っている所を私がいる間に見ることはありませんでした。
どうやって食べるのが正解だったのでしょうか。。。

斜め上の絵ヅラに圧倒されてしまい、野菜にチャレンジすることはなく別の場所にあった果物を摂って朝食は終了です。

4. (空港)SIMを得るまで

朝食後はホテルにいてもやることはないので、一旦空港に向かい、そこからボローニャの市街地を目指します。お昼に市街地で待ち合わせ諸々の所要があるのです。

幸いにもホテルから空港まではシャトルバスが30分間隔で出ており、そのお値段13ユーロ(約2,000円強)。タクシーよりもかなり良心的です。

朝のフロント担当の方、シャトルバスの運転手の方はイタリア語onlyだったので若干の苦労こそしましたが、朝9時ごろ、高速道路を通って昨夜とはやや違う道のりで空港に到着です。

どうして空港を経由したのか。
その理由は一つ。SIMを確保するためです。

昨夜ホテルで済ませてしまえばホテルからタクシーで市街地まで直行することもできましたが、あいにくホテルのWiFiの強度が足りずに叶わず。
また、おそらく市街地に行けばFree WiFiもあるでしょうし、結論からいって
そこそこの強度のWiFiがボローニャ市街地にはありました。しかし、セキュリティの面からあまり頼りたくなかったのが正直なところ。

そのため、独自のFree WiFiがある空港で諸々の連絡を済ませたり、SIMを入手してしまう方が賢明であると、当時の私は考えたのでした。
(日本でこの点済ませてしまえば、もっと快適に現地でのスタートを切れるはずです!これから渡航される方はご検討ください!)

こうした契約ごとは吟味して選ぶタイプの私ですが、ボロー二ャでの待ち合わせもあり、そこまでのんびりしている余裕はありません。
とりあえずgoogle検索で一番上に出てきた「Iliad」というキャリアがぱっと見安心そうだったので、ささっと契約することにしました。サイトにアクセスしてから20分程度でSIMの利用を開始できるというスピード感はありがたいですね。

ひと月9.99ユーロ(約1,600円程度)、5G使い放題というなかなかに良いプランではないでしょうか。

あとで人に話をきいたところ、このIliadとTIM、Vodafoneの3社がイタリアではメジャーな通信キャリアのようです。以下のポイントを参考に、機会があればご自身に合ったものを選ばれると良いかと思います。

  • TIM: 3社の中で最も安い。山間部でも繋がりやすい。

  • Iliad: 価格、快適性など全体のバランスが良い。

  • Vodafone: 少々高いが海外でも利用可能(→イギリスのキャリア)。

これでようやくイタリアの街ナカに突撃する準備ができました。
いよいよ空港から出発です。

注: Iliadが提供するSIMの契約にあたり、イタリア納税者番号が求められました。他のキャリアは知りませんが、取得に手間のかかるものでもありませんので、日本で入手しておくと諸々スムーズかと思います。

5.(空港~)いよいよ街ナカへ

さて、ようやくイタリア国内に放り出されても生きていける装備が整いました。
ボローニャ国際空港から市街地に向かいます。

ボローニャの場合、空港から市街地までの移動手段は大きく2つ。
「タクシー」「マルコーニ・エクスプレス」です。
(空港アクセスバスが最も安く私の目的地まで向かってくれますが、ボローニャ市街地を通過してしまうので今回はパスすることに)

タクシーは昨夜経験したので、なんだかよくわからない「マルコーニ・エクスプレス」とやらに乗ってみることにしました。

このマルコーニ・エクスプレス、空港のメインの建物の「上」にターミナルがあり、そこまでエスカレーターで登って向かいます。

空港の至る所に案内があり、たどり着くのはそこまで難しいことではありません。
写真の場所で切符を買い、ホームに向かいます。

とりあえず並んでいる人の列に並び、切符を購入します。
行き先のボローニャ中央駅までは7分とかなり短い行程であるものの、片道運賃はなんと11ユーロ(約2,000円弱)。
これは流石に高いです。同日に電車にも乗りましたが、100km以上を1時間半程度かけて移動しても16ユーロです(基本運賃10.8ユーロ+追加料金(特急料金)5.2ユーロ)。基本運賃だけならそれよりも高いのですから。
時間によっぽど余裕がない場合を除き、もう使うことはないでしょう、、、

切符に印刷されているQRコードを自動改札にかざしてホームに入ります。
8分間隔で運行されているようで、長時間待つ必要がない点はプラスかもしれません。とはいえ運賃が高いことに変わりはありません。

程なくして私が乗る便がやってきましたが、そこそこの数のお客さん+大荷物の割に2両編成のちんまりした車両。車内はあっという間にぎゅうぎゅうです。とてもじゃありませんが、撮影をしている場合ではありません。

列車は私が乗り込んですぐに発車。どうやら自動運転のようです。
運転区間が短いこと、途中駅含めて3駅しかないことから制御が比較的容易なのでしょう。滑らかな加速でガンガン加速していきます。

しかしどうにも揺れます。比較的スピードを出しているからでしょうか。上下左右に相当揺れる上に、電車では感じない小刻みの振動。なんか浜松町や大阪・伊丹あたりの記憶が蘇ってきます。

勘のいい方ならすでにお察しでしょうが、これ、モノレールです。
軌道が防護壁で覆われていること、駅のホームが完全シールド型のホームドアで覆われていたことから軌道が見えず、発車まで電車と思い込んでいたのでした。

相当に揺れる車内。
文字通りの「吊り革」に相当お世話になりました。

後日、名前についている「マルコーニ」というのが無線電信を開発した人の名前だというのを知りました。確かにモノレールにしては相当に飛ばしていたので、名前負けはしていませんね。駅間には特に防護壁もなく、剥き出しの軌道の上を爆速で進んでいきます。構造上はジェットコースターと大差ありません。
せめて電車であればもうちょっと乗り心地が良かったような気もしますが、、、

空港から途中駅を挟んで7分。
無事ボローニャ中央駅に到着し、イタリアの街ナカに解き放たれたのでした。

おわりに

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

日本から丸一日以上かけてイタリアに辿り着き、多少の想定外がありつつも、無事に空港至近の交通の要衝・ボローニャにたどり着くことができました。
いよいよイタリア大学院留学の本編とも言える、イタリアを舞台とした珍道中が始まります。次回は滞在許可証申請書を手に入れてボローニャの市街地をぶらぶらしつつ、私が今この記事を書いているアドリア海沿岸の小都市・リミニにたどり着くまでを記録したいと思います。

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それでは、また。

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