【イタリア大学院留学】7. ボローニャ/滞在許可証/リミニ: 想像していた「欧州の夏」とちょっと違ったはなし
どうも皆さま、こんにちは。
大学受験浪人の経験が幸いし、朝の予習、昼の大学院、夜の復習・自習の「黄金サイクル」に体が慣れてきた、アラサー社会人留学生です。
少し脱線した話になりますが、大学の学部に入学する前、1年の受験浪人を予備校の寮に入った上で経験していました。その期間中、1日14~15時間の勉強は最低限。大学時代は「浪人しても性格が捻じ曲がるだけ」と考えていましたが、高校までのいわゆる「一般教養」を詰め込み直し、知識面でも精神面でも勉強体力をつけさせてくれる貴重な経験だったと再評価しているところです。
(個人的に、日本の大学入学試験のAO・推薦偏重傾向は大学内部の教育体制が根本的に変わらない限りあってはならないことだと思います。この話はまた機会があれば。)
さて、前回の記事でようやくイタリア・ボローニャの市街地にたどり着きました。
日本を出国してボローニャに辿り着くまでの道のりは以下からどうぞ。五反田からボローニャ中央駅まで、総行程34時間の長い旅路です。
また、出願〜ビザ申請〜出国準備に関連する記事は以下から覗いてみてください。
今回の記事ではイタリア・ボローニャで滞在許可証申請書を入手しつつボローニャ市街をブラブラ歩き回り、いよいよリミニに向かいます。
世界最古の大学が居を構え、イタリアにおける左派の中心でもあった、歴史と革新が共存するボローニャの街並みは見事の一言。日本でイメージする通りのイタリアの街並みを、五感で体感することができました。
イタリアという国を全身で感じ取りつつ、日本ではなかなか情報がないアドリア海沿岸に向かいます。
それでは本編です。
1.(ボローニャ①)滞在許可証: やるべきことはさっさと済ませる留学生の鑑
1. ボローニャ=奈良…?
8月22日、午前9時28分。
ボローニャ国際空港からボッタ・・じゃない、マルコーニ・エクスプレスに乗って、ボローニャ中央駅(イタリア語表記で”Bologna Centrale”、英語に直すと”Bologna Central”)に到着です。
件のモノレールはどうやら駅正面から最も遠いプラットホームに発着しているようで、私のボローニャ探索は中央駅の裏口からのスタートとなりました。
ですが、裏口である分構造は単純そのもの。地図も何もありませんでしたがすんなりと駅の外に出ることができました。
モノレールに乗っている最中も、ボローニャ駅構内に留置された近郊型電車や中央駅から各地に向かう特急・新幹線車両が離発着する様子を見ることができました。
ちなみにエミリア=ロマーニャ州の州都であるボローニャの人口は37~8万人程度。日本の都市に例えると愛知の豊橋や群馬の髙崎、奈良、大阪の高槻と同規模かそれよりやや人が多いくらいです。
駅内部については後述しますが、その人口規模の駅にしては相当に大規模な設備だというのが私の所感です。ボローニャがいかに交通の要衝として重要視されているかを窺い知ることができました。
さて、駅を眺めて幾らかの鉄分を摂取したところで、留学生としてやるべきことは
さっさと済ませましょう。
そう、イタリア留学生みんな大好き、滞在許可証の申請です。
2. 滞在許可証申請について、気をつけた方が良い5つのこと
滞在許可証の申請方法や用紙の記入方法についてはすでに多くの情報が出回っているのでそちらを参考にしていただければと思います(この記事はいわゆる方法論の共有というより、時系列に沿った私の生活記録という意味合いを強く持つものにしたいので、、、)。
参考までに、私が申請書記入にあたって参考にしたWebサイトを共有しますので、必要ある方はそちらを合わせてご覧ください(他のイタリア留学生の方のNoteも参考にしていたのですが、私が申請を終了した直後に有料となってしまいました、、、)。
基本的に上記に書いてあることを遵守すれば大きなトラブルにはならないはずです。ここから先は、私の経験上意識しておいた方が良いだろうと思う5点を共有します。他の情報ソースと合わせて参考にしてください。
必要書類のコピーは可能な限り日本で
収入印紙は気がついたら買っておく
中心部の大きな郵便局<<<<人通りが少ない裏通りの郵便局
「初めてEUに入った場所」に注意
英語は通じません(n回目)
上から順に(時系列順に)説明していきます。
申請書類のコピーは可能な限り日本で
まず前提として、イタリアにはコンビニというものは存在しません。したがって、街中でサクッとコピーという日本では当たり前の選択肢が消滅しているのです。
そのため、書類をコピーするためにはいちいち「コピー屋さん(英語が通じない可能性が高いです)」に行くか、ごく稀にある有料コピー機を探し当てるしかなく、コピー料金も日本より確実に高くつきます(少なくとも白黒1枚10円とかではありません)。
コピー用紙を何枚か増やしたところで荷物全体の重量に与える影響はたかが知れています。必要なものは事前にリサーチしておき、可能な限り日本でコピーしていきましょう。また、コピーする際はパスポート/ビザをカラーにすることをお忘れなく。
「日本を出発する前に知りたかった!!!」という心の声が聞こえてきます。十分にコピーをしないまま日本を出発してしまった皆さま、覚悟を決めてコピー屋さんに突撃しましょう。なんとかなります。
収入印紙は気がついたら買っておく
滞在許可証申請書を記入する際、記入用紙に16ユーロ分の収入印紙を貼り付ける必要があります。ではその収入印紙をどこで購入するかというと、そこら辺の街中に必ずある「Tabacchi (Tabaccheria)」というミニショップです。
基本的に駅の構内からそこら辺の交差点、住宅街の中やショッピングモールなど、どこにでもあります。しかし後述する理由から、郵便局の近くにあるとは限りません。収入印紙が必要ということは間違いないですので、空港含めてTabacchiが目についたら早めに買うと良いでしょう。私はボローニャ中央駅内のTabacchiで購入しました(英語が通じたらラッキーですので、google翻訳をお忘れなく)。
中心部の大きな郵便局<<<<人通りが少ない裏通りの郵便局
滞在許可証申請のためには、郵便局で各種申請用紙が詰め合わせとなっている封筒(キット)を入手する必要があります。しかしこのキット、郵便局単位で在庫が決まっており、利用者が多い郵便局だと「在庫切れ」を起こす可能性もあるのだとか。その場合は郵便局を転々とする必要が生じ、場所によっては相当なエネルギーを消費します。
いわゆる「中央郵便局」のような位置付けの郵便局に向かうのが最も安全ではありますが、特にバカンスや進学・留学を目的とした夏は私たちと同じような申請希望者でごった返します。そのため、滞在許可証視点で最適解なのは、人通りがやや減る裏道の郵便局に向かうこと。中心市街地から少し外れた所謂「穴場」のような場所を見つけると良いかと思います。周囲にTabacchiのようなお店が無い可能性もあるので、忘れないうちに収入印紙そのほか必要なものを買っておきましょう。
注:中心市街地から外れると、場所によっては一気に治安が悪くなる可能性があります。なるべく夜間の外出は避け、朝や少なくとも夕方までには用を済ませることをお勧めします。
郵便局では整理券を取って待つ必要がある(→日本の銀行窓口や郵便局と同じようなシステムです)のですが、発券機に「滞在許可証(permesso di soggiorno)」に関する欄がなかったため(もしかしたらあったのかも知れませんが、英語表記がないため読めず)、カウンターのおじさんに直接聞きました。勿論イタリア語で。
そしたらあっさりとキットをいただけました。時間にしてわずか10秒。
キットを受け取ること自体は無料なので、特に何の手続きもなく郵便局を後にしたのでした。
「初めてEUに入った場所」に注意
郵便局にてキットを受け取ったのち、待ち合わせていた大学の後輩と落ち合い(→たまたまボローニャに滞在していたのでした)、キットの記入方法を確認しながら記入していきます。しかしそこでまた未知の情報が一つ。
申請書類として必要ものの一つに「出入国スタンプが押されたパスポートのページのカラーコピー」があるのですが、イタリア外務省はそこでイタリアへの入国日をチェックします。しかし、私含めて別の国(ドイツなど)で初めてEUに入り、乗り継ぎでイタリアに入国した場合、その国での入国スタンプは押されますがイタリアでは特段スタンプを押されることはありません。困りました。
後輩ちゃんに加えて彼女の知り合い(イタリア人)に聞いた結果、ドイツ経由でイタリアに渡航したフライト明細を提出すればなんとかなる可能性があるとのこと。
急遽リミニのコピー屋さんでPDFを印刷してもらって提出した結果、(現時点で)何の問題もなく手続きが進んでいます。空港まで戻る羽目にならず安心しました。
EU圏内の第3国で乗り継ぎをされる皆さん、参考程度に頭に留めておいてもらえると、トラブルがひとつ減るかも知れません(私の後輩ちゃんのように、郵便局のスタッフによっては厳密にスタンプを求めてくる場合もあるそうです。イタリアの入国スタンプを押してもらうのが理想ですが、もしそれが叶わなった時のプランBとして検討ください)。
英語は通じません(n回目)
繰り返しますが、イタリアにおいては「英語が使えたらラッキー」だと思っておいてください。イタリアの街中で英語が聞こえてくることはまずありません。
私は幸いなことに、リミニの郵便局で必要書類を提出するときやリミニのコピー屋さんでコピーをお願いする際に英語が堪能な方に当たりましたが、本当にラッキーです。それ以外で英語で問題なくやり取りができるのは大学関係者か外資系企業に勤めている方、観光客が多いお店で働かれている方くらい。どれだけ高い英語力を持っていてもイタリアの街中ではほぼ意味をなさないので、イタリア語を勉強していくか、瞬時にgoogle翻訳を出せるように準備しておくと良いでしょう。
(有数の観光大国であるにもかかわらず言語の多様化が進んでいない理由について、イタリアでの観光産業の発展の仕方に経緯があります。この話についてもまた機会があれば。)
さて、上記でひとまず申請書の提出書類を書き終え、追加で準備しなければならないこともはっきりしました。後輩ちゃんありがとうございました!
少し時系列が前後しますが後輩ちゃんとの待ち合わせ前に戻り、ボローニャ中央駅前から旧市街地(Centro Storico)を巡った様子を記録していきます。
2.(ボローニャ②)あまりにも壮大な”雁木通り”とキャスター泣かせの石畳
さて、滞在許可証キットを入手して、中央駅にて収入印紙を買うことができました。後輩ちゃんとの待ち合わせに旧市街地に向かいます。
駅正面から旧市街地まではほぼ一直線なのですが、その道のりは以下の通り。
「Centro Storico」日本語に訳すと「旧市街地or歴史保存地区」といったニュアンスになる場所へ向かうにあたり、ボルテージが高まります。
後で知りましたが、ボローニャを含むエミリア=ロマーニャ州一帯は温暖湿潤気候(またはそれに近い地中海性気候)とのこと。私たちが想像するカラッとした気候ではなく、しっかり雨が降ります。こうした建築にも納得です。
しかし旧市街地に近づくにつれ、アスファルト塗装が石畳に変わってきました。
ボローニャ到着時から今に至るまで、全ての荷物を持って移動している私にとっては少々ハードモードです(ケチって使いませんでしたが、有料で荷物を預けられるサービスもあります。今思えば投資すべきはそこでした、、、)。
10キロ弱のリュックを背負い、23キロのスーツケースを石畳の上で引っ張るのです。1歩進むたびにがったんがったんと石の隙間にキャスターが捕まります。
そして目的地に近づくにつれて、石畳も古いまま保存されているのか段差がどんどん高くなっていきます。大腿四頭筋よりも三角筋・上腕二頭筋にきました。
購入早々無茶苦茶な使い方をしたスーツケースさん、リミニまで持ってくれてありがとうございました!!
中央駅から歩き始めて30分。
気温31度、日本ほどではないにしろ少々蒸し暑い中、汗だくになりつつCentro Storicoに到着です。
「古い、広い、でかい」の3拍子揃ったボローニャ旧市街地、圧巻でした。
ただし、古いとはいえきちんと整備された形で保存されており、それらを生かして現代人の生活にも不自由しないまちづくりがされている点は見事です。
日本のように「伝統的建造物群保存地区」そのほか各種の条例でガチガチに守るものまた一理あるとは思いつつも、ある種の柔軟性は縮小社会にとって重要なんじゃないかなと思った次第です。
(出羽守的マインドセットが芽生えたわけではないですが、法令や慣習、歴史文化的観点からの「べき論」にガチガチに縛られた結果古きも新しきも守れないという、本末転倒な未来がなければ良いなと、ふと思ったまでです)
滞在許可証キットの準備を終えて、街中を少しぶらぶらしたところで後輩ちゃんとはお別れ。私も追加で書類をコピーする必要が生じたので、少し早めにリミニに
向かってコピー屋さん経由でホテルに向かいます(余談ですが、顔馴染みのコピー屋さんを作っておくと、後で色々助かります。私も後日助かりました)。
後輩ちゃん、ありがとうございました!
3.(ボローニャ→リミニ)湿度高めなリミニさん
さて、中央駅まで歩いて戻ったところで、いよいよ私が向こう2年暮らす場所・リミニに向かいます。
イタリア鉄道最大級のハブ駅であるボローニャ中央駅。
ボローニャを起点に各地に向かう路線が分岐しているため毎分何かしらが発着する圧倒的な本数に加え、イタリア国鉄だけでなく大都市間を結ぶ私鉄も運行拠点の1つとしていることから、非常に多くの利用者でごった返します。
ターミナルではないものの各地の路線が分岐するという点では、大宮駅や阪急の十三駅に感覚が近いかもしれません。
後日改めて詳細を記録しますが、ボローニャ中央駅はターミナルではない接続駅としてはあまりに巨大。簡潔に記載すると以下の設備です。
地上メインホーム: 1~11番線
地上サブホーム (切り欠きホーム): 多数
地下ホーム (高速鉄道専用): 4つ (15~19番線)
近年、ミラノやローマなど大都市を結ぶ高速鉄道専用ホームが地下4階相当の深さに新設されたことから、カオスな構造となっているようです。
(構内解説については日本語でマップを作成されている方がいますので、ググってみてください)
午後4時過ぎ、ボローニャ中央駅からリミニに向けて出発です。
Intercityには電車ではなくモンスター級の機関車が客車を前と後ろからサンドイッチする動力集中方式が採用されており、モーターなどが搭載されていない客車はとっても静か。そのほかの鉄道の特徴についてはざっくりと以下の通り。
標準軌 (日本の新幹線と同じ線路幅) の線路を、どちらも線路幅が同じ在来線と新幹線の両方が利用する。違うのはスピードだけ。
保線状況が良好+とにかくまっすぐ (中央線もびっくり)で乗り心地◎。
「在来線」の最高速度は160km程度。十分速い、、、
しっかり定時運行(!!)
各駅停車であっても、駅間が相当に長いため普通に160kmでかっ飛ばします。
鉄道についての詳細は記事ひとつ割いて後ほど紹介したいと思います。
初のイタリア鉄道旅、上々でした。
午後5時半ごろ、ようやくリミニ駅に到着です。
Comune (基礎自治体: 日本でいう市町村的な位置付け)の行政府が置かれ、ローマ帝国時代から都市として栄えた街の玄関口は立派そのもの。
1日に数本、ミラノと半島南部を直通する新幹線が停車する駅ということもあり、7番線まである駅構内は夕方にもかかわらず賑わっておりました。
電車から降り立ち、地下通路を通って正面に抜ける頃には冷房の余韻もすっかり抜けます。そして感じたのは、お馴染みのあの感覚。
そう、かなり蒸し暑いのです。リミニに到着した際の気温はボローニャと同じく31度でしたが、海岸線まで歩いて15分程度という地理的条件もあり、湿度がグッと高くなっていたのです。
途中コピー屋さんを経由して諸々のカラーコピーを入手し、ホテルまでおよそ20分程度の道のりを大荷物とともに歩きます。夕方で風が少々涼しいものになってきていたとはいえ、汗が止まりません。
念の為ボディペーパーを日本で買ってきて正解だった、、、
午後6時過ぎ、海沿いのホテルに到着です。
諸々の段取りを進める中でアパートの入居まで若干の空白期間が生じてしまったため、このホテルで1週間半を過ごしたのち、市街地のアパートに移ります。
当初は1ヶ月程度ホテル暮らしをしつつ現地で家を探す予定でしたが、日本で家を確保することができて結果的に正解でした。もしこちらで探すとなったら疲れるわお金がかかるわで面倒なことになっていたと思います。家を探さなくとも相当に疲れたので、、、、
夜は海の方が相当賑やかでしたが、その様子はまた次回以降。
ホテルに到着して服を脱いですぐに気絶。
深夜に1回外の騒がしさで起きた後、次に目が覚めたら朝になっていたのでした。
おわりに
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
人生初欧州、いろんな人に助けられてようやくリミニまで辿り着きました。
ここから大学が始まるまでの1ヶ月、リミニ生活開始編として、現地の最新の様子を記録していきたいと思います。
しかし、大学院と仕事の片手間に「日本語力を落とさないリハビリ」も兼ねて書いているとはいえ、この分量は少々しんどいかもしれません。要工夫です。
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