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【イタリア大学院留学】13. ミラノ(後編)/ボローニャ: 大洪水のミラノから脱出し、ボローニャの地下要塞に運ばれたはなし

どうも皆さま、こんにちは。

試験が無事に終わったものの見事に勉強習慣がついて、毎日自習室に篭ってます、アラサー社会人留学生です。

良くも悪くも「自動化」が昔から得意で、一度習慣になると疲れていようが体を壊そうが続けてしまうんですよね、、、全くサステナブルじゃありません。up or out、人類皆マグロが資本主義社会の常ですが、うまい余白の作り方をもう少し学びたいと思うこの頃です。

さて、前回の記事でミラノをぶらぶらし、中世から近未来までが入り混じるカオスな街並みを満喫してきました。

イタリアを筆頭とした(?)伝統と保守を重んじる欧州社会と、オランダや北欧諸国に代表される革新的で柔軟な欧州社会の交差点であったように感じます。

さて今回はミラノからボローニャを経由してリミニに帰ります。
バールで優雅に朝ごはん、、、と思っていたら警報級の大雨。遅延確実だと思っていた高速鉄道がまさかの定刻出発。そしてたどり着いたのは見知らぬ地下要塞。

学部の同期とも久々に落ち合った、長い1日を振り返っていきます。


1. ミラノ: 秋雨・・・にしてはやや強め

ミラノ2日目。
お世話になった方の家でぐっすり寝かせていただき、体調も万全。

シャワーを浴びて、朝ごはんのためバールに向かいます。

甘いのと苦いのがしっかりマッチします
量の割にお腹に溜まる印象
追加でもう一杯

ミラノ中心部からやや離れているとはいえ、交通量は多め。
朝から多くの人や車が行き交います。
(一方で治安はそこまで良くないらしく、昨年末には一晩で最寄りの路面電車の駅が破壊されて消滅していたとか、、、日本ではにわかに信じられない話です)

日本にいたら上記のような話をされてもファンタジーのようにしか感じないとは思います。しかし現実として、こちらの方々のヒャッハー度合いは日本とは比較になりません。夏の夜のビーチではみなさん例外なくヒャッハーされていますし、特に南部に行けば、北九州の成人式 () が日常といっても過言ではない気がします。

側から見てる分には楽しいですが、もう少し長くこちらに滞在するうちにどのように感じるようになるでしょうか。自分のことながら少し興味深く思います。

さて、のんびり朝食を楽しんでいたら雨が強くなってきました。

おじいさんが立ち尽くすほどの激しさ

バールと滞在していたアパートの中間(双方から徒歩1分)に路面電車の駅があったことが不幸中の幸い。びちょびちょのままボローニャに向かわずに済みました。

ミラノ滞在もここまで。これから中央駅(Milano Centrale)に路面電車と地下鉄で移動して、ボローニャに向かいます。諸々深堀するのは次の機会としましょう。

そもそもイタリアは台風など大雨の機会が少ないため、道路の排水機能も日本と比較してさほど良いわけではありません。逆にその程度の排水機能で事足りるくらいの雨しか降らないということですが、今日は例外です。日本にいてもなかなか見ないくらいの雨が降ってきました。路面電車も走行できなくなるほどの、、、

道路がしっかり冠水しています
(千と千尋、、、?)

写真を撮りそびれてしまいましたが、ミラノの路面電車は思いのほかレトロ。車内の床が木製だったりと、なかなかに趣のある車体が使われています(熊本の市電の中でも古い方の車両、松山のチンチン電車などに近いイメージです)。そんな味のある車輌が冠水した道路に突っ込んでいくわけです。そりゃあ、止まります。

とはいえ10分程度の遅れで地下鉄との乗り換え駅に到着。20分程度の余裕時分を見込んで出発しているので、まだ中央駅での乗り換えは十分できます。
人の波に乗って地下鉄のホームまですんなり到着です。
(駅構内も水浸しになっているのかと思いきや、入り口に水の侵入を防ぐ小さな壁が設けられていました。用意周到です)

列車頻度は東京の地下鉄とほぼ同程度。
時刻表を見ずとも困ることはありません。

ちなみに、どれほど頼りになるかは未知数ではあるものの、イタリアの交通機関はほぼ須く何らかのデジタルサービスと連携しており、アプリやサイト等を通じてリアルタイムの運行状況を確認することが可能です。例えば以下のような感じで。

そのため私が利用する高速鉄道の便もチェックしていましたが、出発20分前になっても情報が公開されません。おかしい。。。
ですが、確認できる限りの情報を集め、

  • 私の便はミラノ始発ではない(トリノ発)

  • ミラノの発着番線がまだ発表されていない

    • イタリアの鉄道は発着番線が直前にならないと決まらないので、これは天候関係なしの平常運転

  • 先発するはずの他の便が、雨のためミラノにて運転取り止めになっている

ということから、定時での運行はおそらくないと思っていました。
加えてイタリアの高速鉄道は「定刻で走るか」「信じられないくらい遅れるか」の2択になることが多いことから、

(まだ余裕時分がある) + (他の便が定時で動いていない) = 超余裕

アラサー社会人留学生の思いこみ

というのが私の予想でした。
(おいコラ、それでも社会人経験者か)

そのため、おそらく雨で利用者が増えたためか、地下鉄が6分遅れてもそこまで焦らず、私が予約した便の定刻5分前にMilano Centraleの地下鉄駅に到着したのでした(Milano Centraleの地下鉄ホームから地上ホームに移動するまで、大人の普通歩きで5~6分くらいかかります。規模感的に東京駅で総武線ホームから新幹線ホームまで移動する感覚に近い気がします)。

そして人の波に乗って地上ホームまで移動しますが、地上階に出て、出発アナウンスがされている電光掲示板では奇妙なことが起こっていました。私の便にも出発ホームが割り当てられていたのですが、雨の影響でびっしりと数字が並んでいたRitardo(遅延)の欄が空白で、かつ出発ランプが点灯していたのです。

画像中央、オレンジ色の電光掲示板が発車案内(前日撮影)。
遅延表示がなく、発車ランプ点灯。さて、ダッシュの時間です。

油断大敵。思い込みはいつか身を滅ぼします。
道路が冠水するほどの雨にもかかわらず、私の便は始発駅から定刻で運転されていたのでした。

駅まで見送りで来ていただいた方と一緒に、ホームまで全力ダッシュです。
最後落ち着いてお別れをできなかったことが悔やまれますが、ひとまず予約していた便には無事に乗り込むことができました。
(私が乗り込んでから着席する前に動き出しました。本当に危ない、、、)

イタリアで鉄道を使われる皆さま、定時運転を前提に動くことをお勧めします。
イタリアの鉄道は巷で言われているほどいい加減ではありません。むしろ「欧州最高の鉄道システム」と言われているほど。高速鉄道をここまで高密度で運転している国もなかなかない気がします・・・あ、日本は例外です。狂ってます。

2. もうひとつの新幹線「Italo」: 後ろ向きに全速前進

さて、何とか無事にボローニャ行きの新幹線に乗ることができました。

今回お世話になるのは前日利用した新幹線「Trenitalia Frecciarossa」とは異なるもうひとつの新幹線「Italo」。Frecciarossaと比較してやや割高でしたが、ボローニャから先で普通列車を使うことで同じような価格で済みました。ドケチ、、、
(Frecciarossaに関する詳細はこちら!)

イタリアのもうひとつの新幹線「Italo」。
トレードマークである真紅の車体は、誰がつけたか「フェラーリ新幹線」の異名で呼ばれています。
(12月下旬、ナポリ中央駅 (Napoli Centrale) にて)
左のItaloがどれだけ赤いかよくわかるかと思います。
右のFrecciarossaは近年導入され、徐々に増えつつある電車形式の最新型(日立製)。
(12月下旬、ナポリ中央駅 (Napoli Centrale) にて)

イタリア国鉄の新幹線「Frecciarossa」と何が違うのか、簡潔にまとめると以下のような感じです。(以下、Frecciarossaと比較して)

  • 大都市中心で、地方にはあまり行かない
    (イタリア北部、地中海沿岸を中心に運行)

  • やや本数が少ない

  • 学生以外への割引が豊富(早割、U30割、往復割などなど)

  • シート配列(ボックスではなく、集団お見合い)

  • 車輌(100%電車 & おフランス製 & (一部) 連接台車、トイレ含めて綺麗)

Italoは前述の通り「私鉄」であることから、イタリア随一のドル箱路線であるミラノ〜ローマ間(その前後も含めたトリノ〜ナポリ間)をはじめとして、採算の取れる路線を中心に運行している印象を受けます。そのため、利用者が他地域と比較して限定され、季節ごとの変動が大きいアドリア海沿岸や半島南端部・離島では運行されていません。

また、私を含めたイタリアの学生には破格の割引を提供しているFrecciarossaに対して、学生以外にも多くの割引を提供しているのがItaloの特徴。学生であるゆえ価格面でFrecciarossaを優先しがちですが、学生でなければ余程のセールでない限り、Italoが価格面でも優位に立つかと思います。

Milano Centrale~Bologna Centrale間の価格一覧(例)。
割引率が高いほど返金などのオプションも省かれますが、早めに予約する価値は十分。
加えてポイント還元も充実しています。圧倒的消費者目線、、、

一方FrecciarossaはJRのように行政に片足を突っ込んでいることもあってか、その圧倒的な路線網と資本力をフル活用してイタリア全土で高密度運転を実施しています。特にドル箱路線での運行密度は東海道新幹線にも匹敵するほど。いくつかの線区の利益率がアレでも競合として鎬を削れるわけです。

加えて特徴的なのがシート配列。ボックスではなく2人掛けなのでプライベートな空間が演出されていますが、車両の半分が進行方向を向き、もう半分は逆側を向く、所謂「集団お見合い」のような座席配列。日本でも初代「成田エクスプレス」にて見られたもので、人によっては懐かしいかもしれません。ちなみにFrecciarossa同様、予約段階では進行方向がわからないため、半分の確率で逆走します。そして見出しの通り、今回は逆を引きました。

Italoの座席表がこちら。どちらの方向に進むかは全くわかりません。
(ちなみに予約時に席を指定するかしないかは任意。席を指定すると2ユーロ(紺の席は4ユーロ)
かかりますが、指定しないと適当な席に。窓側など好みがあれば指定しておくと良いかと思います)

定刻でMilano Centraleを出発した新幹線はMilano近郊の駅でお客さんを拾ったのち、平野を雨の中爆走していきます。Frecciarossaが機関車サンドイッチだったのに対してこちらは日本の新幹線と同じく各台車にモーターを積んだ電車。フランス・アルストム社(→フランスの高速鉄道「TGV」を製造している会社)の「ビーーーーーーーン」という、ややおもちゃの様なモーター音と、連接台車特有のテンポの良いジョイント音を聴きつつ、ホールド感が心地よい座席に背中を預けます。逆走ですが。

後ろ向きに全力疾走

逆走であることに加え、やや小柄な私(167cm)にとって座面が高めに設計されていることやカーブでの傾斜がやや大きいこともあってか、なかなか慣れません。乗り心地こそ安定して良いものの、Milano CentraleからBologna Centraleまでは1時間強の旅。乗り物酔いしやすい私にとって気が抜けません。

Italoの普通車(Smart)の座席はこんな感じ。
Frecciarossaと比較してピッチは狭いですが、上体をホールドする様な構造で楽に過ごせます。
車端部には綺麗な自販機やトイレもあり、サービスも◯
(12月下旬、ナポリ〜ローマ間にて)

とはいえ2日間動き回った上、モーターの真上の席を取ったことから心地よい座席の上でモーターの程よい振動を感じているわけです。うとうとしないわけがありません。旅程の後半30分程度は寝てました。

そして目を覚ますと、昨日は通らなかったトンネルの中をひたすら降っていっていたのでした。

3. ボローニャ: 地下要塞からこんにちは

・・・・・は?トンネル?

アラサー社会人留学生の焦り

昨日はミラノまでずっと窓の外を見ていましたが、トンネルは記憶にありません。時計を確認すると、Bologna Centrale到着の数分前。しかも車内では到着のアナウンスがしきりにされています。別に乗り過ごしたわけではないようですが、どこに運ばれているのでしょうか・・・?

そうこう思案しているうちに、定刻から10分遅れで到着です(途中で止まったりすることはなかったため、雨で若干セーブしていたのでしょうか?相当な余裕を織り込んでいる日本の鉄道とは異なり、イタリアの鉄道はトップスピードに近い速度を出す前提&乗降がスムーズになされる前提でダイヤを組んでいると推察します)。

乗り換えや空港アクセスなど、多方面で利用されるのがボローニャ中央駅。
この便も例外なく、多くの乗降がありました。
(ちなみにこの便はこれから4時間半かけて、ナポリのお隣・サレルノまで向かいます)
私が実際に乗った車両。お世話になりました!
車体の外に座席クラスがデカデカと書かれているため、乗車時もわかりやすいのが特徴。
ホームがやや低いので若干強調されているのもありますが、車両の床は少し高かった様に思います。

トンネルを抜けて列車を降りると、そこは見知らぬ巨大な地下ターミナルでした。
上野駅の新幹線ホームを縦にも横にも3倍くらいにして、かつちょっとだけ明るくしたような、でっっっっっっかい地下要塞です。

SF映画に出てきそう

別に乗り過ごしたわけでも何でもなく、きっちりBologna Centraleに到着です。
ただし私が着いたのは入国すぐに利用し、かつ前日に通過した地上ホームではなく、高速鉄道専用の地下ホーム。Alta Velocità (高速新線)の開通に伴い、地上ホームだけでは賄いきれなくなったことから、地下に増設されたのでした。
16~19番線の4つのプラットフォームに、東西南北あらゆる方面からの高速鉄道が発着するのです。高速鉄道に限った発着頻度で言えばイタリア随一と言っても過言ではないでしょう。

2025年1月現在、月曜19時台にボローニャ中央駅地下ホームから出発する高速鉄道一覧。
地下の4つのホームだけで、時間17本(3分半に1列車)を捌いています。
加えて一部の高速列車は地上ホーム発着のため、実際の本数はこれ以上。尋常ではありません。

が、当時の私はそんなこと知りません。トンネルを抜けたら雪国じゃなくて地下要塞に辿り着いたわけですが、プラットフォーム上の青い「Bologna Centrale」の看板で状況を把握します。そして地上までエスカレーターを数回乗り継いで辿り着いたのでした。もぐらになった気分です。

地上に上がると何とも珍しい車両が。スイス国鉄の高速鉄道車両です。
(1日に数本、ボローニャを発着するスイス・ドイツ方面の国際列車がある模様)

そして学部の同期とその彼女さんとの待ち合わせ場所に向かいます。
どうやら雨上がりらしく、そこまで暑くなくそして晴れているという、絶好の散歩日和。前回訪れた時(8月下旬)から当時2週間しか経っていませんでしたが、格段に過ごしやすかったのを5ヶ月経った今でも覚えています(もう5ヶ月、、、)。

お昼ご飯はボローニャ名物: Tagliatelle al ragù(ボロネーゼ)です。

何の癖もなく、シンプルに美味しいです。
(これ嫌いな人いないのでは、、、?)

貧乏舌かつ偏食で、栄養さえちゃんと賄えていれば後は何でも良い私ですが、普段作るスパゲッティにはない旨みに思わず笑ってしまいました。美味しい。
麺ひとつとっても、噛み締めた時の小麦の旨みが乾麺とは段違い。スパゲッティって、こんなに美味しいものだったんですね ()。

食後は雨上がりのボローニャ市街地をぶらぶら。入り組んだ路地を何の当てもなく歩き回ります。同期の就活の話や彼女さんとの馴れ初め、彼女さんの修士への進学事情、私の留学プランなどなど色々情報交換しながら、とっても有意義な時間を過ごすことができました。どっかに良縁転がってないかなぁ、、、(とはいえほとんど毎年のペースで生活ステージが変わっている私です。歩幅を合わせて一緒に歩んでくれるパートナーを見つけるのは今時点では至難の業でしょう)。

雨上がりのマッジョーレ広場。
快晴でかつ涼しく、最高です。
ボローニャ市街地はさほど区画整備がされているわけではないため、 写真のような小道も多数。
それが良いのです。
おやつの時間です
イタリアは自転車の利用が盛んな国で、多くの自転車が行き交います。
一方で、こんな可哀想なことになっている自転車もちらほら、、、

ボローニャの締めはスピリッツとビール。
イタリアはワインだけの国ではありません。むしろ「軽く一杯」の選択肢として、スピリッツやビールは至極メジャーなものだそうです。

オレンジや各種スパイスを用いて香りづけがされたパドヴァ生まれのリキュール「Aperol」を一杯。
イタリアの食前酒としては最もメジャーなもののひとつです。
イタリアのビールはすっきりとして軽い喉越しが特徴。
「ハイネケン」や「バドワイザー」が好きな方にはぴったりな気がします。

一瞬のボローニャ滞在でしたが、貴重な時間を作ってくれたカップルに感謝です。ありがとうございました!
(この後数日一緒に過ごした後、日本とイタリアの遠距離交際に突入したそうです。彼らの将来に幸あれ!)

そうして私の2日間の弾丸旅行も終わり。
時速160kmで爆走する「普通電車()」で無事リミニに帰ったのでした。

イタリアの鉄道の特徴の一つはその駅間距離の長さ。
各駅停車とはいえ、一駅間で10分かかるのは当たり前。
古代ローマ時代から残るエミリア街道に沿って、ガンガンスピードを出していきます。
リミニに帰ってきました。
今日ボローニャからお世話になったのはフランス・アルストム社製の車両。
通勤・近郊形車両ですが、日本の在来線特急車両を凌ぐパワーを誇るバケモノ通勤列車です。

おわりに

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

長い1日でした。1日のゴールが「帰る」だけとは思えなくらい、濃い1日を過ごしたように思います。関わっていただいた皆さま、ありがとうございました。
そしてなかなか本題の「大学院」に入らないじゃないか!と思われる方もいるかもしれません。私も同感です。そろそろタイトル詐欺だと言われても反論できない領域に入ってきているような気がして危機感を覚えています。

あと数本は、どちらかというと旅行記のような記事が続くかもしれません(あまりにネタが溜まってしまったため、何から書こうか整理しているところです)あらかじめご了承ください。ちゃんと勉強もしてます。

次回はまだ検討中ですが、イタリア内部の小国「サンマリノ」での神社参拝の様子か、授業〜試験までの最初の学期の振り返りのいずれかにしたいと思います。

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