強揉みビジネスの正体
当サロンには同業者のお客様が結構多いのだが、そんな中に指圧師をされているお客様がいらっしゃる。
ある時彼は、思いがけずため息混じりにこんなことをつぶやいた。
「実はね、僕たちはお客さんのコリを造ってるんですよ・・・。」
私は、思わず「え!?どういうことですか?」と聞き返した。
強揉みには多くの弊害があるのだと彼は言う。
強揉み好きのお客さんは、お店を訪れる度にコリが前より硬くなっていくのだという。
それは、まるでペンダコができるように同じ部位に強い刺激を与えれば与えるほどそこが硬くなっていくのだという・・・。
強揉みによって筋肉が硬くなるのは、その刺激に対して筋肉を守ろうという自然な反応と言えるのだというのだ。
痛いぐらいに強く揉むことで慢性的なコリが消えたように感じるのは、いわゆるDNIC効果という強い痛みが痛みを覆い隠す現象によるところもある。
しかしそれは一時的な脳の勘違いであり、コリ自体が消えたわけではない。
それどころか、筋肉は前よりもより硬化していくのだという。
筋肉は非常に細い筋繊維(約0.02mm)の束でできているので、強い刺激を与えるとその筋繊維がブチブチと切れてしまうのだと言う。
更に強揉みは、毛細血管や筋膜だけでなくリンパ管や表層の筋肉さえも壊してしまうこともあるという。
それを一般的には「揉み返し」と呼ぶのだが、医学的には筋肉や細胞の損傷、つまり怪我をしている状態ということになる。
怪我をした人はその後リハビリでその部位を動かすことで硬化を防ぐのだが、マッサージ店に訪れるような方の多くは運動など体を動かすことが嫌いなので、揉み返し後にリハビリなどは行なわない。
結果、筋肉は固まり、前よりも動かすことができなくなっていく。
そのような状態が辛いお客様はまた強揉みを求めてご来店される。
つまり、強揉み好き=常連様という図式が出来上がるらしい。
指圧師の彼は「これがマッサージ店の儲かるシステムだよ。」とニヤリ笑う。
なるほど、つまり強揉みがコリを作り、リピーターを作っているということなのか。
一度この負のスパイラルにハマってしまったお客様がそこから抜け出すのはなかなか難しいことなのかもしれない・・・。
そんな指圧師の彼は定期的にスウェディッシュマッサージを受けに来る。
そしていつも彼は笑顔で帰って行く。
「やっぱりスウェディッシュが1番だね!」という言葉を残して・・・。
私は何だか複雑な気持ちになる・・・。
コリを作らず、リピーターを作る。
そんなスウェディッシュマッサージに今日も感謝ですね。
ありがとう。
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