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コミティアで気づいた、作品を「売る」ためにできること。
卒業した後どうしよう、が現実味を帯びて胸にのしかかる大学3年生の冬。
「創作活動を仕事にしたい」なんていう幼い野望は、僕が口にしたところで全く説得力も現実味も持たない。
これといった実績も残せないまま、あと1年と少しすれば社会に放り出される段階まで来てしまった。大学院に進学するのか、それとも就職するのか、そもそも就職しないのかすら未定である。正直なところ就職よりも海外でワーキングホリデーする方が魅力的だと思っているが、そうするにしても資金が足りない。
どんな進路を選んだとしても、一般的に推奨される「安定した人生」はもう絶対に歩めない気がする。
僕も昔は「絵を副業にできたらいいかな〜」ぐらいだった。しかし自分に託された絵を描ける・物語を作れる能力は決して一般的なものではないとわかってきたし、それを活かせる人間になることが自分なりの社会貢献なんじゃないかと考えるようになった。この思い上がりを誇るべきか恥ずべきかは自分でもわからない。
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でも、所詮考えるだけで終わってしまうのが今の僕だ。
何も描いていないわけじゃないけど、「作ることを仕事にする」ための本格的な行動を未だに起こしていない。
少し前、試しに学園祭のフリーマーケットで写真や絵のポストカードを売ってみた。しかし「多少は売れるだろう」という甘い期待は通用せず、自分が気に入ったものを売るだけでは稼げないことを痛感する結果となった。
一方的に作品を「売ろう」としたところで、自分の作品は「売るに値しないものだ」と突き付けられてしまうのではないか。そんな恐怖が悩みを増幅させる。
いいや、売れることが全てじゃないよ!という意見ももちろん理解できる。でも今悩んでいるのは「売るためにどうすればいいのか」ということだ。
とか言いつつ何もせず、惨めさから目を背けては忙しさや楽観的性格を言い訳にして、結局何もせずに時間だけが流れていく。
・コミティアというものがあるらしい
コミティアというイベントがあること自体は以前から知っていた。なんか絵を描いてる人たちが集まってオリジナル作品を販売する感じのやつ。
それが2日後ぐらいに東京で開催される、とのことだった。今は学校の課題も年末に向けて忙しさを増しているし、正直制作以外のことに時間を使っている場合ではない。
でも「今行っておかなければ」という気持ちになった。焦りと不安に追い詰められている現状から一歩踏み出すためには、同じような境遇の人たちに実際に会ってみるのが効果的かもしれないと思ったからだ。
というわけで、開催前日になって「明日コミティア行ってみるか」と参加を決めたのだった。
・初めてのコミティア
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デカい。なんでこんな形で安定して建ってんだ。
という形の建物、東京ビッグサイト。ここが2023年12月3日開催、「コミティア146」の会場である。11時から入場開始だが、一応10時前に到着した。しかし既にかなりの来場者が逆四連ピラミッドの足元へと集まり始めている。名前に劣らないビッグスケールさに圧倒されつつ、僕は一般参加者の入場待機列に並んだ。
待機中、冷えた手で入場券代わりのカタログ「ティアズマガジン」をめくりながら出店サークルや気になるクリエイターをチェックする。
側からは常連と思しきおじさん二人組のマニアックな会話が聞こえる。ここまで来てなお、ソロで初参加することが若干心細くなった。
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しかし何百何千という数のサークル紹介一覧を眺めていたら、寂しさはいつの間にかどこかへ飛んで行ってしまった。
11時、待機列の前方から拍手が響いた。ついに開場したらしい。
全員が確かな足取りで前進し、未知なる世界への期待と興奮が冷たい空気までも暖めているようだった。その大きな流れに乗って、僕も「コミティア」へとダイブする。
・「持ち込みってボコボコにされそうで怖い」
早歩きで入場して真っ先に向かう場所は、コミティア名物の出張編集部。
僕はこれから「持ち込み」に挑戦する。
漫画作品は基本的に「漫画雑誌」やウェブに掲載される形で発表されているが、漫画家の卵たちはそれらの雑誌を発刊する編集部に作品を直接「持ち込み」に行くのだ。編集部もずっと人気作品にすがっているわけには行かないため、常に新たな作品とクリエイターを求めている。そこで双方の「売りたい」という意志が合致すれば、商業漫画家という仕事に向けて殻を破り始めることができるのだ。
通常なら持ち込みは事前に編集者とのアポイントメントを取る必要があり、一日に何社もの編集部を周ることは現実的ではない。しかし、コミティアは違う。
「出張編集部」には「少年ジャンプ」や「少年マガジン」などの超大手ブランドをはじめ、ファンタジー・タテ読み・BLのようなジャンル特化型雑誌まで、数十もの編集部がこれまた文字通り「出張」して来てくれる。そして、その場で作品を読んでもらいアドバイスを受けることができる。
誰でも予約なしで、一度に何社もの編集部に持ち込みが可能。しかも通常の持ち込みと同じように本格デビューへの切符を掴むチャンスにもなりうる。それが「出張編集部」なのだ。
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ここ最近はnoteで写真や旅行記を発表している僕だが、実は漫画もこっそり描いている。今年の秋には大学の課題制作として、初めて30ページの読み切り作品を描き上げた。それが意外と手応えが良かったこともあり、改めて漫画という表現を深掘りしてみたい気持ちが高まっていた。
もともと漫画家志望の友人には持ち込みを勧められていたものの、僕は未知の領域にビビりまくって足踏みしていた。特段漫画家になりたい訳でもないのに持ち込みなんかしていいのか、とも思っていた。
しかし予約がいらないならハードルはぐんと下がる。この機会に、意を決して人生初の「持ち込み」を行うことにした。
待ち時間を減らすため先頭集団で切り込み、あとあと混雑しそうな人気雑誌の編集部へ行ってみる。幸い先客はおらず、すぐに作品を見てもらえることになった。オロオロしながら編集さんに挨拶し、印刷してきた冊子を手渡す。
僕に対応してくれた編集さんは、かなり若めのお兄さんだった。編集さんが目の前で僕の作品を読んでいる間、僕は手汗を拭きながらそれを眺める。割と早いペースで沈黙したまま読み進めていく編集さんの姿を見て、僕は「ボコボコに罵られて心折られるんじゃないか」とめちゃくちゃ不安になっていた。
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だが、それは杞憂だった。
まず言われたのは、「読みやすかったです」「ネームが感覚的に描けてますね」というまさかの褒め言葉。素直に嬉しい。
その後は気になった点の指摘に移っていくのだが、それもまた的確でわかりやすい。物語全体の構造や展開の組み立て方、メインテーマをどう演出するかなど、かなり俯瞰的な視点でアドバイスをくれる。漫画家の視点で、という訳ではないのがポイントだ。
編集者はいわば「橋」である。「作り手としての意図」と「読み手としての感想」を両方汲み取り、それを繋いで漫画を面白くする存在が編集者なのだと実感した。新人の心を折る人、というのはただの偏見だった。すみませんでした。
こちらが質問したことに対しても、僕が思っていたのとは別角度からの解決案を提示してくれる。自分でも気付かなかった演出の問題点にもちゃんと気付いてくれる。編集さんと話をしていると、どんどん視野が広がっていくような感覚を覚えた。
そんな感じで、1誌目の持ち込み終了。
いや、めちゃくちゃ良かったんですけど。
自分の作品に対して、すごく解像度を上げた見方ができるようになった気がする。ボコボコにされるどころか、ワクワクにされてしまった。緊張の手汗が、いつからか嬉しさの手汗に変わっていた。
それ以降も他の編集部へ持ち込みをやってみて、合計3誌に持ち込むことができた。予想よりも時間がかかり、最後の持ち込みが終わった頃にはあっという間に13時半。いや、逆に2時間半で3回も持ち込みができるなんて凄いことなんだろう。
3つの編集部を回ってみて、気づいたことは二つある。
①色んな編集さんがいるということ
2誌目の編集さんは、近所の年上のお兄ちゃんみたいな明るい方。3誌目の編集さんは、落ち着いた雰囲気ながらも内面の深さを感じさせるオーラのある方。それぞれの編集さんごとに独自の視点があって、やはり的確なアドバイスをくれる。一人が良くないと言った点も、別の人は気にならないと言ったりする。出張編集部の良いところは、複数のプロ編集者の視点から作品を良くするためのヒントを大量に得られることだと思う。これってめっちゃ贅沢なんじゃないか?
②共通して指摘される部分があるということ
先ほど編集さんそれぞれに独自の視点があると書いたが、彼らは編集者である以上なるべく客観的に作品を吟味している。そのため、多くの人に感じられるであろう良いところ・悪いところが浮き彫りにされていく。
例えば僕の場合、3人の編集さんに共通して言われたのは以下の点。
良いところ
・全体的に何を意図して表現しているかがよくわかる。
・画面作りが上手く、ストレスなく読みやすい。
・キャラの個性が面白い。
良くないところ
・初っ端の掴みが弱い。
・人物像の掘り下げが足りず、話に入り込みにくい。
・物語性という意味では少し平坦だった。
つまり、今回の僕の作品は「自分のやりたいことは突き通して表現できたが、読者の視点を意識した構成や見せ方の面では少し惜しい部分があった」ということになる。こうして自分の強みと弱みを他者の視点から把握することができたのは、かなり大きな価値だと思う。
今回初めての持ち込みをしてみて、自分の作品はちゃんとプロの編集者にも平等に見てもらえるんだということが印象的だった。エントリーシートにも「掲載経歴:特になし」と書いていたが、「初めての読み切りにしては、これは良いと思いますよ」と複数の方に言ってもらえた。
さらに、今回持ち込んだうちの一人の編集さんには「次のネームができたら、ぜひメールで送ってください」と名刺を渡して頂いた。これは間違いなく自分の漫画には未来があると認めてもらえた証拠だ。なんだか、前に進めそうな気がする。
というわけで、あんなにビビっていた持ち込みをした結果モチベーションが爆上がりしました。漫画を持ち込むかどうか迷われている方は、ぜひ「出張編集部」から始めてみるといいかもしれないです。
・5年越しの初対面、ありがたいお言葉
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何千ものサークルがひしめき合う巨大なホールは、とにかくすごい迫力だった。
学校の体育館どころか、学校の敷地が丸ごと一つ収まりそうなほどの大空間。それが4つ。そこにずらーーーーーっとえげつない数の長机や椅子が並べられ、一つ一つのブースが参加者によって色どりも趣向もさまざまに飾り付けされている。その隙間を人々の群れが行き交い、これだけの床面積が隅々まで年末年始の東京駅ぐらい騒がしく混雑していた。
僕はまず、とある出店者の方に会いに行った。
僕がツイッターを始めたばかりの頃からの絵描き仲間で、お互いにファンとしてたくさんの刺激を受け合ってきた粟屋やわ子さんという方だ。5年ほど前から知り合いであったにも関わらず、生で顔を合わせるのは今日が初めてになる。しかも事前調査ほぼ0だったため、会場でカタログを見ているときに初めて「やわ子さん来てるやん!!!」と判明した。今ここで会いにいかないわけにはいかない。
そんな突然の訪問に彼女も驚いた様子だったが、「ケロさんなんですか!?」と昔使っていたペンネームで僕を呼んで喜んでくれた。コミティアではこうしてクリエイター本人に会うことができるのも大きな魅力の一つ。それを目当てに来ている人もいるくらいだ。
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しばらくお話をして、やわ子さんから「ケロさんは何か売らないんですか?」と質問された。僕は目を逸らして「いや今は色々と悩んでて……」と濁してしまったが、やわ子さんのこの質問が実は超重要な響きを持っていたことにあとあと気がついた。
やわ子さんは、極めて純粋な疑問から「何か売らないんですか?」と口に出したまでだ。その言葉には裏の意図なんてない。それがいかに凄いことか。なぜなら、彼女は僕の作品がこの場で「売る」価値のあるものだと当然のように思ってくれているからだ。
僕は学園祭フリマでの経験から、「自分の作品はまだ売り物のレベルに達していないんだ」と落ち込んでいた。通り過ぎていく人々の目を、僕の作品で引き留めることはあまりできていないようだった。ましてやコミティアなんかで出しても……と最初から諦めモードに入っていた。
そんな中、実際にコミティアで作品を販売している人に「君も売ったらいいじゃん!」と言ってもらえたのだ。僕もここで「売る」ことができる。買ってもらえるかは別としても、売るかどうかは自由なのだと思い出した。僕もやわ子さんやここにいる参加者たちのように、売りたいなら売っていいんだ。
さらに言うと、やわ子さんは僕の作品に「買う」価値まで認めてくれている。
「ご実家のワンちゃんのグッズ欲しいんです!作ってください!」と僕にリクエストをくれるやわ子さん。この会話からも、僕は大きな気づきを得た。
僕はずっと「買ってもらえない恐怖」に怯えていたのだ。学園祭で作品を買ってくれたのも半分以上は知り合いだった。完全な新天地で売りに出したとき、一体どれだけの人が僕の作品に興味を持ってくれるだろうか……と、先の見えないことばかりを気にしていた。
でもそれ以前に、今の時点で僕の作品を欲しいと思ってくれる人がここに存在している。新規ファンの獲得も大事だけど、僕には既にファンがいるのだ。改めて考えると、なんてありがたいことなんだろう。
まずは今追いかけてくれている人たちに届けられるものがあるはずだ。その人たちが買ってくれそうなものなら、少しはわかるかもしれない。「買う価値」を磨くことは、そこから始めていいのかもしれないと思った。
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僕はやわ子さんからステッカーを一つ購入して、さらにさっき持ち込みで使った漫画をプレゼントした。するとやわ子さんからもチョコを頂いてしまった。僕はお礼を伝え、またどこかで会いましょうと手を振ってやわ子さんのブースを後にした。
・「買う」ように作る。 その練習をコミティアで
コミティアに出店しているクリエイターの層は、アマチュアからプロまで実に幅広い。ジャンルもクリエイターの数だけ存在し、ほぼ無限といっていいほど多様だ。販売されている作品の形も定番の漫画やイラスト集、ポストカードやステッカーだけでなく、アクセサリーや置き物のような立体作品まで様々。そんな膨大なラインナップの中から、ビビッと来たものを選んで「買う」ことができるのがコミティアである。
普段から何気なくする買い物だが、今日はちょっとレベルを上げてみる。僕が今回意識したのは、僕に「買いたい」と思わせる作品の要因・基準は何かということ。
先日とある絵本作家の講演会に行った時、その方は
「こういうのが絵本の王道だから売れそう、というイメージは案外当てにならないものです。むしろ自分ならどんな絵本を買いたいかを基準に作ってみるといいですよ」
と言っていた。
商業作品を作って売るのなら、やはり「買ってもらえること」が一番の価値証明になる。ではどうやって「買おう」と思わせるか。それは、自分が「買いたい」と思えるものにすればいいのである。相性の合わない人にムリヤリ買わせる必要はなく、自分が好きなものを「買いたい」レベルまで突き詰めれば、似た感性の人たちがきっと買ってくれるという考え方だ。
その参考にすべく、今回のコミティアは「自分がどんなものに買う価値を見出すか」を探る機会とした。そうしてあちこちを歩き回り、合計8500円の価値を作品に変換したものがこちら。
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左上 :むじ「砂つぶ 絵まとめ 〜2021」
中央上:いちかわこたろう「24」
右上 :水川雅也「2024 CALENDAR」
中央 :みつきさなぎ「ずっとしょうもないことばかり」
中央右:粟屋やわ子「キラキラステッカー」
左下 :つのさめ「TSUNOSAME PENGA 4」
右下 :はるか「ワンマン夏休み #ラダックツーリング2022」
もともとカタログで目をつけていて買ったものもあれば、偶然通りすがりに目を奪われて買ったものもある。それでは、これらの作品から見えてくる僕の「買うセンサー」について考えてみよう。
・雰囲気
全体的に可愛い系のものが多い。また派手すぎない、独創性が強い、一言で表せない微妙な空気感なども共通点に挙げることができるだろう。
・作品の内容、テーマ
内容については自分の作品と同じく、生活感やなんとも言えない感情、その延長に人生を感じさせるような作品が多くなった。作品の題材は様々だが、どれも手触りのある体温を感じさせるものである。
・絵力
何百という作品の中でもパッと目を奪われる、そんな吸引力と世界観に惹かれてこれらの作品を買わせていただいた。ただ独特なだけじゃなくどう見せるかもデザインされていて、それがきちんと成功している絵だと「すげえ」となる。つまり絵作りの完成度が高いということだ。正直めちゃくちゃハードル高いこと言ってる。
・なぜ買うに至ったか
さらに言うと、先述の項目をほとんど満たしているにも関わらず買わなかった作品がある。僕が買うか買わないかのボーダーで悩む時、決め手になるのは「部屋の本棚に置いておきたいか」だ。一度見て参考になるぐらいのものなら買わない。物でも人でも、持って帰りたくなるのは好きだと思えるものなのだ。
とまあ、だいたいこんな感じだろうか。こうして整理すると、僕自身の作品に対する評価基準や単純な好みについても解像度が上がってくる。そしてこれらの条件を全てクリアするものを作ることが、今後の僕の目標になるというわけだ。めっちゃ厳しくはあるけど、だいぶ明確になった。
出張編集部で指摘されたことも併せて考えると、これから僕が優先して改善すべきなのは絵作り・演出だろう。デザインと言い換えることもできる。苦手なんだよなあデザイン……。まあ苦手だから編集さんにも言われたわけで。でも自分がやるべき方向性がはっきり見えたおかげで、闇雲に手探りで「全部やらなきゃ……」とはもう思わなくなった。
・僕もいつかここで何か売るのかな
売るのが不安だ買ってもらえるか不安だと嘆いていた頃に比べれば、少し前向きで展望のある嘆き方ができるようになった気がする。これは成長と言って良いのではないだろうか。
またコミティアに行く前の僕は、創作を仕事にすることについて死と隣り合わせの呪われた異界魔境みたいなイメージを持っていた。でも今は、ちゃんとした装備で立ち向かえば着実に登れそうな遠くの高峰ぐらいにはマシになった。キツいことには変わりないけど、少なくとも良い意味で「現実に目を向ける」ことができた。
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そして何より、会場で作品を売る・買うすべての人々に勇気をもらった。僕も恐れずに作品を世に出していきたいと思う。
いつか僕もここに何かを売りにくるのだろうか。
それを楽しみにしてくれている人もいるし、僕自身もできるならやってみたいと思う。まだ踏ん切りがつかないのは、ちゃんと「売る」ために改善すべき課題が見えているからだ。まずはそこからどうにかしよう。
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コミティアに来てよかった。
今度は自分が売る側として参加してみたい。売り物は漫画か、イラストか、写真集か、旅行記か、何かはわからないけど。もしその時、この記事を最後まで読んでくれたあなたが会いに来てくれたのなら、それはきっと心の底から嬉しいことだろう。
それでは、いつかどこかで会える日まで。
おわり