ハロウィンかぼちゃで秋の気分を堪能していたら、意外なところに敵がいた
10月の末日に近づくこの時期、アメリカでは、あちこちでハロウィンの飾りつけやファミリーイベントでにぎわい、お祭りムードになります。
普通の住宅街でも、家や庭を飾りつけているおうちが多く、それらを見て回るだけで、ハロウィン気分を味わえます。
息子の同級生のおうちでは、大人の2倍くらいありそうなでっかい骸骨や、木にくくりつけられた巨大なクモなど、毎年ド派手な飾りつけをしています。素人の域を超えています。近所でも有名で、拝観料がとれそうな手の込みようです。
我が家では、親のやる気が致命的に足りなくて、家や庭の飾りつけはほぼ何もしません。やるとしたら、玄関先にかぼちゃを置くのがせいぜいです。
ただ、今年はいつもとちょっと違います。子どもたちの熱意に押されて、ハロウィンかぼちゃを彫って飾ることにしました。ただのかぼちゃじゃない。ジャックオーランタンです。
こういうアクティビティは、わたしも嫌いじゃない。
そうと決まれば、まず、材料調達です。スーパーに行って、かぼちゃを購入しました。いまの時期、アメリカのスーパーではどこでもかぼちゃを山にして売り出しています。
特大のやつでもよかったのですが、彫るのが大変なので、中くらいにしておきました。息子と娘とわたしの分、3つを購入します。
実は、数年前に一度ジャックオーランタンづくりをしたことがあります。
あのときに学んだ教訓が一つあります。それは、あまり早い時期につくると、ハロウィンが来るまでにかぼちゃが腐ってしまうこと。それを防ぐには、彫った後に消毒した上で、よく乾かすといいらしいです。切り口に油やワセリンを塗るのも腐食を抑えるのに効果的だとか。
でも、わたしにそこまでする気合はないので、ハロウィンを数日後に控えたこの日まで待ちました。腐る前にハロウィンが来るので大丈夫、というわけです。
さあ、早速彫り進めていきます。
小学生の子どもでも、全工程1時間くらいでだいたい出来あがります。
硬そうなかぼちゃですが、案外外皮の部分も刃を入れると瑞々しくて、カッターでさくさく彫れます。歯のギザギザ部分もわりと簡単にできます。
三人三様、思い思いのジャックオーランタンが出来あがりました。息子も娘も満足げです。
出来あがったジャックオーランタンを、玄関のドアの前に飾りました。いつも無機質な玄関先が、急に華やいで見えます。
ああ、ハロウィンだねえ。
季節にちゃんとついていっている感じが、ふわっと心を満たします。今年の秋はちゃんと秋らしく過ごしてるじゃない、わたしたち。
ところが、翌日、思いもかけないことが起きました。
わたしは、ジャックオーランタンに彩られた我が家の玄関をもう一度眺めてみようと思って、玄関先まで出てみました。ふんふんと鼻唄さえ出るようないい気分でした。でも、視界に入ったかぼちゃに、すぐさま異変を感じました。
わたしが作ったジャックオーランタン。左目から鼻、口にかけて、負傷してる……
「な、なにがあったの?!いったい誰にやられたの?!!」
彼からの返答を待たずして、わたしは事を理解しました。
リスです。最近、どんぐり集めに忙しそうなリスたちが、かぼちゃにも手を出してきたのです。これとは別のときに、リスが半狂乱でかじりついているのをしかと目撃したので、濡れ衣などではありません。動かぬ事実です。
ゆ、許せんっっ!!わたしの力作を、一晩で台無しにしよったとは!わたしたちの秋の気分を土足で踏みにじるとは……!!
しかも、息子が買ってもらったミニかぼちゃに至っては、まるごと持ち去られていました。ジャックオーランタンの顔をペンで色づけして飾っていたのに。小さくてかわいかったのに。
ハロウィンが終わったらかぼちゃはくれてやってもいい。でも、31日までは己を律して待て。
……とリスに言いたい。
(おわり)
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