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うちの息子は、主婦に家事効率化のアドバイスができるスーパー8歳児である
うちの息子は、わたしとはタイプが違う。
身の回りを整理整頓したり、やるべきことをリストアップしたりする作業が好きらしい。
そんな息子が、最近気に入ってよく見ている動画がある。
子育て世代向けの家事・育児ハックを集めたチャンネルである。
これを見始めてから、息子の主婦化が一気に進んでいる。家事を効率化するためのノウハウをすごい勢いで吸収しているのだ。まだ経験値は低いものの、知識は日に日に蓄積されている。
そして、ついに、本物の主婦であるわたしにアドバイスをくれるまでになった。
直近の例を2つご紹介したい。
一つ目。パントリーの整理。
ある日、パントリー(食料品の戸棚)の中身を真剣な眼差しで見つめていた息子が、意を決して言った。
「ママ、パントリーの中を整理しよう」
わたしは、この子は一体なにを言い出すんだ、と思った。瞬間的に「やりたくないデス」と心が反応したものの、ノーというわけにもいかない気がして答えを渋った。その隙に、夫が横から答えた。
「それはいい考えだね!」
自慢じゃないが、あのとき、我が家のパントリーはまるでブラックホールだった。あるいは、棚ではなくて袋。とりあえずここに入れとけ、という位置づけの空間。
どこになにがあるかわからない。誰も在庫を把握していないので、新たに買ってきたら、奥の方から随分前に買ったものが出てくる…なんてことは日常茶飯事だった。
息子は、これからするべきことをざっと説明してくれた。
①パントリーの中身を全部出す。
②モノをカテゴリーごとに分ける。不要なものは捨てる。
③どこにどのカテゴリーのモノを置くか決める。
④モノを所定の場所に収める。
至極まっとうな手順である。持てる知識を余すところなく活用して、実際に行動に移す君のイニシアチブに心から拍手を送りたい。
それから、1時間ほどかけて、パントリーの大整理プロジェクトを敢行した。年単位で賞味期限が切れているものが出てきて「うわっ」と声が出たり、大きなパッケージの塩がなぜか3つも出てきたりして、我が家の(わたしの)在庫管理のクオリティの低さがこれでもかと露呈した。
息子が特に力を入れたのは、おやつの棚である。なにがどれくらいあるのかが一目で見てわかるように、箱に入っていたものは箱から出し、同じカテゴリーのものを固めて置くようにした。
秀逸だったのは、不要になった箱を再利用して、中身が見えやすい小分けのトレイを作ったこと。
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「こうすれば、なにを買い足せばいいか、わかりやすいでしょ」
8歳にしてこのスキル。今すぐにでも、オンラインお片付け講座を開けそうな息子のポテンシャルが、むしろ怖い。
こうして、我が家のパントリーはブラックホール改め、通常のパントリーの機能を取り戻した。
二つ目。一週間の献立プランの作成。
わたしは、毎日夕飯の献立を考えるのが苦痛だった。いちいち悩む時間がもったいなくて。
だったら、まとめて献立プランを考えておけばいい。
ということは思いつかなかったわけではない。でも、そのプランをまとめて考えるのも面倒くさくて、つい後回しにしてしまっていた。だから、毎日直前になって慌てて考えざるを得なくなってしまうのである。
そんなわたしの悩みを知ってかどうかはわからないが、息子が、「ママはこれを見るべきだよ」と言って、わたしをテレビの前に座らせた。
要は、一週間分の献立プランをあらかじめ立てて、それに合わせて買い物もまとめてやっておけばいいよ、というよくある家事ハックである。
ただし、プランを立てるときに、ゼロから考えると面倒だ。だから、まず、自分のレパートリーや子どもの好きなメニューをリストアップする。そして、そのリストをもとに、上から順に当てはめていけばいい、という。
また、週の合間には、残りものを食べる日とか、テイクアウトの日もつくる。子どもの習いごとなど、その日のスケジュールを考慮しながら、ぽんぽんと空白を埋めていく。
なるほど、こういうルール作りをすれば、その都度悩む手間がかなり減る。メニューリストを作っておくというのがミソだな。
この動画を見終わった後、早速、息子と一緒にメニューリストを作った。
手巻き寿司、ラーメン、うどん、ギョウザ......。息子は、自分のお気に入りのメニューをすらすらと挙げていく。2人で一緒にやると、作業は全然面倒ではなかった。むしろ一つ思いつく度に心が弾んだ。
そして、このリストを基にして、週間スケジュール帳に一週間分の献立プランを立てる。スーパーへの買い出しは、週の初めに一度どかんとやって、必要あれば途中で買い足す。
この新しいルーティンが確立してから、夕飯作りに要する時間がぐっと効率化された。まとめてプランを立てることで、悩む時間と買い出しの回数が減ったからである。
わかっていても、なかなか一人ではできないこともある。わたしの腰が重すぎるだけかもしれないが。
一緒に問題に取り組んで、最初のステップを促してくれた息子には感謝している。
(おわり)
読んでくださってありがとうございます。
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