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エヴァンゲリオン ”関わり”の福音

来年、最新作であり、完結編と思われる映画が公開予定の「新世紀エヴァンゲリオン」。以前から好きな作品だったが、貞本義行の漫画版はまだ読んだことが無かった。

私という個人として生きていくためのヒントを得るため、この度、読んでみた。

全14巻を読み終えて、やはりこの作品のメインテーマは他者と関わり合いながらどう生きていくかを模索することだと思った。

人間は本質的に欠陥のある生き物である。そして、その欠けている部分を他者と補い合いながらでないと、生きていくことができない。

しかし、他者とは完全に分かり合うことは無い。よって、その関わりには痛みが伴う。

主人公シンジはその痛みへの恐怖から他者との間に心の壁を作り、関わりを極端に減らすことでなんとか平常心を保ち、生きている。

シンジの上司、ミサトは、それとは対象的に誰にでも明るく話しかけるタイプだ。しかしこれも、コインの裏でしかない。浅い関わりを積極的に作ることで、他者との深い関わりから生ずる痛みを避けているのだ。

物語終盤、シンジは世界の命運を握ることになる。シンジが望むようにこの世界が作り変えられるという状況の中、彼が最初に出した答えは、他者の排除だった。

そうして、自分しかいない世界ができ上がる。しかし、その景色を見てシンジは考えを改める。せっかくできた煩わしい他者のいない世界を、彼は放棄する。

そして彼は、痛みや苦しみや悲しみがあったとしても、他者がいて、彼らと関わり合いながら生きていく世界を望む。なぜなら、そういった関わりの中にしか、喜びも、幸せも存在しないからである。

シンジは気づく。今まで希望が見えなかったのは、彼が希望を探していなかったからかもしれない、と。

他者とは分かり合えないかもしれない。しかし、分かり合おうと試みることはできる。

怖さに震えながらも、自分の足で地に立って、歩くことはできる。

ありのままの自分として、他者に向き合うことを後押ししてくれる作品だった。

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Takumiのessay
最後までお読みいただき、ありがとうございました!