BABYMETALの「ヤバッ!」はいろんな意味でヤバい曲
BABYMETALとは
今年の紅白歌合戦、初出場を果たすアーティストの発表記者会見の会場に、ひときわ目立つ衣装を着て凛と立つ二人の女性がいた。
BABYMETAL(ベビーメタル)のSU-METALとMOA-METALの二人だ。
彼女たちの存在は数年前から把握していた。以前はそれほど注目していなかったのだが、今年の春くらいからBABYMETAL熱が急激に沸き上がってきていた私にとって、このニュースは大変喜ばしいものだった。
彼女らが「さくら学院」というアイドルグループにいたころからの姿も知っていたので、ついにここまできたかという感慨深さも覚えた。
ただ、冷静になって考えてみると、彼女らは、日本人では前人未到の伝説(全英総合アルバムチャート日本人最高位15位獲得、日本人初のウェンブリー・アリーナでの単独公演など)の数々を、世界を舞台に、すでに打ち立てているので「今更紅白?」という感もあるのだが...。
まあ、何にせよ知名度が上がるのは良いことなのでよしとする。
そんなBABYMETALの曲をここで一曲紹介したい。
その名も「ヤバッ!」
タイトルがもうヤバいが、歌詞はもっとヤバい。
どれでも同じだよ
みんなそう言うけれど
なんかちょっと違うよね?
やっぱちょっと違うかな?
違う!違う!ってないよー
違う!違う!って言われても
違う!違う!って知らんー
え?なんか ちょっと違う?
ヤバッ!
気になっちゃって どうしよう
気になっちゃって どうしよう
あれどっち? これどっち?
パーリラ パーリラ フー!
ヤバッ!
https://lyricstranslate.com/ja/babymetal-yava-lyrics.html より
(彼女らが最も輝く場であるライブ映像も時間があれば見ていただきたい。今は脱退してしまったYUI-METALの姿もある。)
さて、この歌詞を読んであなたはどう思うだろうか。
私は最初、否、未だにこう思っている。
「ナ・ン・ダ・コ・レ? ナンダコレ?」
何を伝えられているのか全く分からないのだ。「なんか違うよね。気になっちゃうんだよね。」そう言われて、どうすれば良いのか。
BABYMETALの曲にはこのようにナンセンスな歌詞が非常に多い。しかし、このナンセンスさには利点もある。
メタルのヘビーなサウンドに少女の歌声。本来は混ざり合うはずの無かったこの2つの音が融合しているという事実は、BABYMETALを定義づけるものだが、歌詞に意味が無いことによって、その特徴がより際立つのだ。
BABYMETALはサウンドの実験場であり、それゆえに、そこにある歌詞はそこから生まれる音を補助してさえいれば良いのかもしれない。
余談
(ここからは完全に余談である。時間に余裕のある方だけ読まれたし)
そんな風に自分を納得させようとしていた矢先である。私はあることに気がついてしまった。
それは、この歌詞が哲学の起源を語ったものではないかということである。
私は、哲学とは「前提を疑い自分の頭で考える」ということだと思っている。
つまり、周りがなんと言おうと、自分が抱いた疑問を大切にし突き詰めて考える。そういった営みの上に哲学は成り立っていると考える。
「ヤバッ!」の歌詞にある、「どれでも同じだとみんなが言うが、やっぱりちょっと違うよね。」という問いかけ。
この問いかけは、考えようによっては、私達に哲学することを促しているようにも思えるのだ。
哲学の持つ姿勢は科学などあらゆる学問の基礎になった。
天動説が常識だった時代に地動説を唱えた、かの有名な天文学者コペルニクスもこの歌詞と同じような心境だったのではないだろうか。
「ヤバッ!みんなが言ってるの違うくね?地球の方が動いてね?」
みたいな。
このように考えることで、私はこの歌詞から教訓を得ることができた。
人が何をどう言おうとも、自分が違和感を感じたら、それを突き詰め、しっかりと悩むことにしようと思う。
なぜなら、自分にとって違うものは、どこまで行っても違うのだから。
自分には正直に生きるべきである。
時には悩みすぎて、パーリラパーリラフー!となってしまうかもしれないが...。