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沖縄野菜クラブ 18 モルモットは二ヶ月で大人になる。

しかしそれでも、生えてくるものは生えてくる。

いくら私達が仕事や研究やその他のことであくせくし、畑にかまう暇が無かったとしても、雨と風は植物たちの生長と繁殖を日々促している。

前回の活動は12月12日だった。モルモットなら、この日に産まれた赤ん坊は今頃大人になっている。多感な思春期も過ぎ、社会的な責任感に目覚めていてもおかしくない。

このような長期間、放ったらかしにしていた雑草が野菜達を尻目に生い茂っていたとしても、何ら不思議なことでは無い。そしてやはりそれは、私が予想した通り、必然性という三文字とともに本日の畑を占拠していた。

雨、風、寒さの三拍子が揃った環境での作業は、サンチュの収穫から始まった。

成長しきったサンチュはもはやその原型をとどめておらず、根本を鎌で切り取って持ち上げられたその姿は、まるで白菜であった。

葉は固くなり、その表面はでこぼこと波打っている。腐ったり、虫に食われたりしている葉を取り除いていると、クモ、ゴキブリ、カタツムリ、イモムシ、ハエなどなど、様々な生き物が飛び出してきた。サンチュの幾重にも折り重なった葉は、彼らにとっては、雨風をしのぐのにもってこいのホテルのようなものなのかもしれない。

これが一段落すると、今度は本格的に本日の主題である草むしりに突入した。

まずは玉ねぎの周りに生えている雑草を抜く。玉ねぎの収穫時期はまだ先ということだが、すでに分厚い葉っぱが高く伸びており、先にたんぽぽの綿毛にも似た大きな花をつけているものもあった。

じゃがいもやブロッコリーやにんじんを植えた場所には、背の高い雑草が多数生えていたが、地面がぬかるんでいたことが幸いし、根こそぎザクザクと引き抜く作業は簡単で、草抜き特有の快感を伴うものだった。

ブロッコリーの葉は大半が青虫に食べられており、満足な収穫が得られるか、先行きが不安になった。しかし、じゃがいもとにんじんに関しては、少なくとも地上に生えた草の部分は大きく茂っており、雑草共と土の栄養を取り合ったにもかかわらず、順調に生長しているように見えた。

そこで試しに、この二つを少し掘り返してみることにした。

まずはじゃやがいも。畝の端っこに生えた葉っぱの周りにスコップを入れ、慎重に土を掘り返すと、一つの種芋から4つの芋ができあがっていた。まだサイズが小さいものが多いが、さらに時間をおけば、かなりの大収穫が予想される。

にんじんも同様に一本掘り返した。こちらもまだ小さいが、オレンジ色で、その形は紛れもなくにんじんだった。少し植える密度が高すぎたため、どこまで大きくなってくれるかはわからないが、数は期待ができそうだ。

部長が用意した新兵器、銅製のポットをガスコンロで熱して湯を沸かし、できあがったほうじ茶をいただき、一休みした。冷えた体を温めて、作業を再開。どんどん抜ける草を夢中でむしっては投げ、今度は自家発電で体が温まってきた頃に周りを見渡すと、あれだけあった雑草がほとんど目立たなくなっていた。

真面目な人間が6人も集まれば、大抵のことは案外簡単にできてしまうのかもしれない。

2月ももう下旬に入ったが、まだまだ冬真っ只中であると直感させられると同時に、さまざまな生命の息遣いを感じた一日だった。

沖縄野菜クラブ、何度目かの、リスタート。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!