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【小説】君がいた街、消えた町①|地球図書館②

地球図書館。それは、この星が紡いできた無数の物語が眠る場所。
自然が地形を作り出し、人々が街を生み出す。
そこには、無数の思いがある。
地理はただの知識ではなく、世界に秘められた無数の物語を読み解く鍵。

さあ、地球が秘める語られざる物語の世界へようこそ。


君がいた街、消えた町


序章ーー二人の約束

夕暮れの街を、航太(こうた)は自転車で駆け抜けた。風を切る音と、遠くに響く波の音。彼が向かう先は、海辺の防波堤だった。

「遅いよ、航太!」
待っていたのは、幼なじみの柚葉(ゆずは)。
彼女は笑いながら、堤防の上に腰を下ろしていた。
「ほら、来て。」
柚葉が指さす先には、静かな海が広がっている。暮れなずむ空に、オレンジ色の光が反射していた。海は凪ぎ、波の音が心地よく耳を撫でる。
「この景色、ずっと変わらないと思ってた。」
柚葉の言葉に、航太はふと顔を上げる。
「……どうしたんだよ、急に。」
「ねえ、航太。この町にずっといられると思う?」

その問いに、航太は戸惑った。

「そりゃあ、当たり前だろ。この町がなくなるわけないし。」
柚葉は少し寂しそうに笑う。「そうだといいな。」


その時、遠くで警報の音が鳴り響いた。町の防災無線から、何かを知らせるアナウンスが流れ始める。

航太と柚葉は顔を見合わせた。

——それが、すべての始まりだった。



(続く)





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