日南陽和

始めたばかりでわからないことも多いのですが、仲良くしてくれたら嬉しいです😌

日南陽和

始めたばかりでわからないことも多いのですが、仲良くしてくれたら嬉しいです😌

最近の記事

小説、修理を通じて繋いでいくもの「第五章」(最終話)

明かされる真実  花火大会から一週間が経ち、いつもの日常が戻ってきたある日。買い物から帰った私は、店の丸椅子に座っていた二人組のお客さんの顔を見て驚く。 「いらっしゃ……、え、お爺ちゃん、お婆ちゃん!何でここに!?」  この二人は、お父さん側の祖父母だ。そんな私を見て二人も驚く。 「何でって、こっちのセリフよ!何で一哉の店に桜花がいるのよ?」  お婆ちゃんは、一哉さんのことを呼び捨てにした。……どういうこと?私は一哉さんを見ると、彼は丸椅子から立ち上がった。 「…

    • 小説、修理を通じて繋いでいくもの「第四章」

      物に込められた想い  梅雨が明けて本格的な夏がやって来た。外を歩く人も、この暑さに顔をしかめている。  そして私は店の中でエアコンがついているのだが、カウンターの上に突っ伏し、仕事どころではなかった。 「あーづーいー」  そんな私の言葉に返ってくる声はない。作業部屋を見ると、一哉さんは扇風機の修理をしていた。  私は外に視線を戻し、ぼーっとしていると、昔、おばあちゃんが家の前に水を撒いていたことを思い出す。ちょっとは気温が変わるかもしれないと思い、私はバケツに水を入

      • 小説、修理を通じて繋いでいくもの「第三章」

        寄り添う心  私がここに来てから一週間で知ったことがある。それは修理屋は毎週月曜日が休みだということ。一哉さん曰く、月曜の平日から修理に来る人がいないらしい。しかし、私たちは月曜日も関係なく店にいた。そのため最近、曜日が曖昧になり始めた。  私は仕事が一段落つき、一哉さんの方を見ると、彼はクマのぬいぐるみに糸を通していた。私はコーヒーを飲もうと静かに立ち上がる。すると、ドアベルが控え目に鳴った。 「すみません。今日やってます?」 「はい、やってますよ。いらっしゃいませ

        • 小説、修理を通じて繋いでいくもの「第二章」

          きっかけ 「おはようございます!」  次の日、自分の部屋のドアを開けながら元気に挨拶した。時差ボケも意外と大丈夫だった。 「……おはよう」  反対に一哉さんはソファに座って、コーヒー片手にテンション低めの挨拶を返してくれた。 「コーヒー美味しそうですね。私も飲みたいです」  と言うと、一哉さんは無言でキッチンを指差した。コーヒーメーカーが置いてある。私は食器棚から持参していた自分のマグカップを取り出し、コーヒーを注ぐ。そして食パンをトースターに入れた。  食べ物

        小説、修理を通じて繋いでいくもの「第五章」(最終話)

          小説、修理を通じて繋いでいくもの「第一章」

          (あらすじ) 商店街の一角にある『修理屋大田』。そこでは修理と買い取りを行っている。 ある理由で帰国した愛野桜花(あいのおうか)(25)と、無愛想だが修理の腕の評判はいい店長、大田一哉(おおたかずや)(28)が修理と買い取りの依頼に来た人の“思い”に寄り添い、解き明かしていく。 ーーーーーーーーーー 出会い 「うわ、あっつ……。梅雨の時期とは思えない」  飛行機から降りた私は日本の暑さに思わず声を上げ、顔をしかめる。数時間前までいたフランスとは違う梅雨独特の暑さだ。

          小説、修理を通じて繋いでいくもの「第一章」