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ロッタン戦へと漕ぎ着ける大きな一勝

スーパーレックとの死闘に敗れ、王座を逃した武尊は兼ねてから望んでいたロッタンとの対戦を実現させるために復帰戦を勝利で飾る必要があった。

当初の対戦相手は連勝中の若手ファイターであるブラック・パンサーとなっていたが、途中で対戦相手が変更となり、ミャンマーのハードパンチャーであるタン・ジンとぶつかることになった。


©︎ONE Championship

タン・ジンはONEで2戦2勝2フィニッシュと非常に勢いのある強力なストライカーであり、武尊の復帰戦を踏み台としてさらなるステップアップを狙うことができる危険なファイターでもあった。

そんな臆さず前進することが出来る若手のエネルギーと、一発で全てを終わらせることが出来る強力なパワーを併せ持ったタン・ジンを相手に武尊はどのような対応を見せていくのか、そこに注目が寄せられる。

異質な雰囲気に蝕まれる武尊


©︎ONE Championship

自身が看板選手として先頭に立って活躍していたK-1の舞台とは異なり、新参者として団体の看板を背負える存在であることを改めて証明していかなければならなくなった武尊は、これまでのキャリアとそれなりの注目度も相まって新天地の異質な雰囲気を余計に感じ取りやすくなっていた。

武尊の豪快で大胆な攻めは気持ちの面での安定感やゆとりといったものが不可欠で、それがなくなってしまうと途端に危なくなってしまう嫌いがある。

そういった意味では未だ馴染まぬONEの舞台は危険だらけの勝負となる可能性が高く、これまでのやり方を見直していく必要性があった。

天心戦もスーパーレック戦も勝負を焦ったことで相手にアドバンテージを与えてしまっていたところがあったので、丁寧に試合を組み立てる立ち回りを戦術として落とし込んでいく必要があったのではないかと思う。

実際このタン・ジン戦ではジャブとカーフを刻んでいく丁寧なオフェンスを見せており、危ない戦い方は修正されているようにも感じたが、ONEの異質な雰囲気に当てられた武尊の動きはややぎこちないところがあり、ディフェンス面で危うさを感じる場面が所々で見られる展開となっていた。

追い込まれたところから見せた爆発力


©︎ONE Championship

タン・ジンの危ない一発にハラハラさせる展開が続きながらも、ボディとカーフに明確なダメージを蓄積させつつあった武尊は徐々に主導権を握り始めているように見えた。

しかしそこで恐れていたことが起こってしまう。

反撃に出るタン・ジンが踏み込みながら繰り出したコンビネーションの一発を躱し切れなかった武尊は、不安定な姿勢で一発を被弾してしまいダウンを奪われることになる。

拮抗していた展開の中で奪われたダウンは戦況を大きく損なう要素となり、時間は残っているものの敗着の気配が一瞬漂うことになった。

ただ、今回の武尊はここで焦ることなく効かせていたボディへの攻撃を集中的に行い、流れを引き戻そうとする。

そしてタン・ジンの腹部に前蹴りを捩じ込ませるとタン・ジンは堪らず倒れ込み、武尊はダウンを奪い返すことに成功する。

立ち上がることは出来たものの蓄積ダメージが致命的なレベルに達しているタン・ジンは限界がすぐそこまで来ていることがハッキリと分かるくらい弱っていた。


©︎ONE Championship

ここを逃すまいと猛攻を仕掛ける武尊は、被弾しながらもボディや頭部へと打ち分け見せながら強力な打撃をまとめると、何とか耐えようとするタン・ジンをマットに沈め待望のONE初勝利をフィニッシュで決めるのと同時に、復帰戦を白星で飾ることに成功した。

世紀の打ち合いとなるか、ロッタンVS.武尊


©︎ONE Championship

復帰戦で見事にKO勝利を果たした武尊は試合後にリング上でロッタンとフェイスオフを披露。

ONEのスターとK-1のスターがぶつかり合う機運が高まり、武尊にとっては念願のロッタン戦へと漕ぎ着ける形となった。

お互いに殴り合い上等の華のある打ち合いを披露する選手として知られているとことから、恐らくこの二人がぶつかり合えば派手な殴り合いが展開されるだろうということが予想される。

しかし、真っ向からの殴り合いでは明らかにロッタン有利であり、耐久力という面でも武尊よりもロッタンの方が断然優れていると言える。

そのため、勝つことを考えるのであれば単純な殴り合いに没頭するのではなくクレバーな試合運びが重要となってくるだろう。

そうしてある程度の有利性を確保し、ダメージを蓄積させた状態のロッタンと打ち合うという計画的な殴り合いに持ち込まないと武尊が勝利を収めることは難しいのではないかと思う。

それぐらい生物的な強さという点でロッタンは秀でている。

なので今回の一戦のようにジャブとカーフを織り交ぜながら何とか弱体化を図っていく必要性があるだろう。

ロッタンVS.天心の時よりも勇敢な内容で戦うことだけを考えてしまうと、ロッタンの前で派手に散って清々しく敗退するような結果に収まってしまうことになるのではないかと感じる。

ただ、お互いに圧力が強く打ち合いを望む傾向にあるため、中央での殴り合いというワクワクするような展開になる可能性は非常に高いだろうと思われる。

このカードが実現すれば立ち技界が注目するビッグマッチとなることは間違いないので、今後の動向に注目が向けられることになる。

歴史に残るような華のある激闘を期待したい。

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