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野杁正明がONE初勝利を挙げる!
先日開催されたONE170に緊急出場した野杁正明がシャーキル・タクレティに勝利して待望のONE初勝利を手にすることに成功した。
今回もプレッシャーを掛けて距離を詰めたところで打撃を打ち込むスタイルは変わっていなかったが、じっくり圧を掛けるというよりも素早く寄せていく意識が見られたように感じる。
ただ攻撃の機会が限られる攻め方をしているため、どうしても手数が少なくなってしまうところがあり、詰めている割には攻撃が少ないという印象は今回も変わらなかった。
しかし対戦相手のタクレティには野杁を押し返すほどの力が無かった為、今回はファイトスタイルのデメリットが致命的なものになることはなかった。
むしろそのおかげで野杁はいつものスタイルを押し通せるようになったので、これまで上手く発揮することが出来ていなかった野杁の強みが活かされる戦いになっていたのではないかと思う。
プレッシャーで常に押し込みながらタクレティの自由を奪い、的確なローキックで致命的なダメージを与えていった野杁はほとんどパンチを出すことなく勝利を掴むことに成功した。
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それはこれまでONEの舞台では発揮されることのなかった野杁の破壊力が初めて披露された瞬間だったとも言える。
やはり野杁は自分の戦い方が出来れば強く、備わっている破壊力も申し分ないということがこの試合で改めて分かったが、今回の相手は野杁が解決すべきフィジカルや技術の面で優れた武器を持っているようには見えなかったので、改善や進化といった部分を感じ取ることは難しかった。
ただ両足を破壊した上での勝利というのは滅多に見られるようなものではないので、観客に与えたインパクトはかなり大きかったのではないかと思う。
何よりも1勝することが出来たという「気持ち的な進歩」が野杁を次のステージへと運んで行ってくれるのではないかと思う。
最後に(個人的な考察とまとめ)
今回素晴らしいフィニッシュを収めてタクレティを沈めた野杁だが、「ONEのベルト獲得」という最終目標のことを考えると、手数や攻撃のリズムなどに変化をもたらしていく必要性を感じた。
シッティチャイやリウ戦の時のように、自身の強みを活かすための手段が通じないと詰んでしまうといった状態では厳しいと思うので、状況に応じてファイトスタイルを変化させられる引き出しの広さが必要になってくるのではないかと思う。
それが可能になれば弱味をカバーすることにも繋がるので、苦戦していた上位のファイターにも対応していくことが出来るようになってくるのかもしれない。
苦しい中で迎えた「3度目の正直」で待望の初勝利を掴んだ野杁は、ここから改めてONEでのストーリーを進めていくことになると思うので、連勝と進化を披露する姿が見られることを期待したい。