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無敗同士の一戦!ラフモノフとギャリーが王座挑戦をかけて激突する!

ウェルター級3位のシャフカト・ラフモノフは王者のベラル・ムハマッドに挑戦する予定だったが、ムハマッドが足指感染症で欠場した為、タイトルマッチを行うことが出来ず、急遽対戦相手の変更と試合順の変更が行われることになった。

対戦相手の候補にカマル・ウスマンなどのウェルター級のランカーが挙げられていたが、最終的に対戦相手として準備されたのはUFC8連勝中でプロキャリア無敗のイアン・マシャド・ギャリーとなった。

こうして次期チャンピオンとして期待されるファイター同士の一戦が組まれることになったが、出来れば二人とも王座が掛かった舞台でぶつかり合うところを見たかった。

UFCもこのカードは出来ればもっと温めておきたかったのではないかと思うが、都合が付いて試合の魅力も損なわない存在として最適だったのがギャリーだったのだろうと思うので致し方ない。

また、それとは別にウェルター級はもう一人「無敗のプロスペクト」を抱えているので、そういった意味では楽しみはまだ残されていると言える。

何としても勝ちたいラフモノフ


©︎Getty Images / Getty Images Sport | Sean M. Haffey

試合に勝つというのは全てのファイターが毎回前提として考えていることではあるが、今回のラフモノフは人一倍その気持ちが強いのではないかと思う。

王座の挑戦まで漕ぎ着けて、その機会がすぐ目の前に来ていたにも関わらず、不運にもそれが流れてしまったラフモノフはここでギャリーに負けてしまうと、本来あったはずの挑戦権を失うことになってしまうので、結果的に大損害を被ることになってしまう。

しかしこの無敗対決を制することが出来れば、より強い勢いを纏った上で改めて王者ムハマッドに挑戦していくことが可能となる。

そうなれば王座獲得の機運もより高まってくるのではないかと思う。

そしてラフモノフはそれを可能にするだけの能力を持っている。

ハイレベルな戦いをリードするのは?


©︎Getty Images / UFC | Cooper Neill

距離を支配することに優れているギャリーはスタンドの攻防で上手さを見せるが、組んでも戦うことが出来るので全局面で応戦することが出来るバランスの良さを持っている。

特にストライキング技術に長けており、有効打を的確に生み出していくことで試合をリードしていくテクニカルな強みを持っている。

そんなギャリーはMMAの優れた競技者であると言えるだろう。

その一方でカザフスタンのラフモノフは破壊的なフィニッシャーであり、相手を「倒す」ことを最後まで考え続けている攻撃的なファイターだ。


©︎Getty Images / UFC | Jeff Bottari

現在UFC6連勝中のラフモノフはその全ての試合をKO/TKOもしくは一本で決めている。

ギャリーがスプリットの判定で勝利してジェフ・ニールにもラフモノフは一本で勝利を収めているので、決定力の高さという点ではラフモノフの方が上であると言えるのではないかと思う。

気になるスタッツ

有効打に対するディフェンス

ギャリー53% ラフモノフ52%
ここのスタッツはお互いに拮抗しており、有効打に対するディフェンス能力は近いレベルにあると考えられる。

テイクダウンディフェンス

ギャリー69% ラフモノフ100%
テイクダウンに対する処理はギャリーも優れていると感じるが、ラフモノフの鉄壁具合を見ると、彼の方がより弱点の少ないファイターなのではないかと感じる。

有効打:ポジション

[スタンディング] 
ギャリー483 ラフモノフ113

[クリンチ]
ギャリー23 ラフモノフ56

[グラウンド]
ギャリー29 ラフモノフ38
これを見るとギャリーはスタンドでの有効打が非常に多く、ラフモノフはスタンド以外の場面でも有効打を比較的多く打ち込んでいることが分かる。

なのでスタンドの状態が長く続くと手数と有効打でギャリーが有利を築きやすい展開となっていく可能性が考えられる。

有効打に対するディフェンスはお互いに拮抗しているので、スタンド状態を維持することが出来れば、手数が多いと考えられるギャリーの方が徐々にリードを掴んでいける可能性が高い。

そういったことも含めて考えるとスタンド状態では、ややギャリーが有利となってくるのかもしれない。

有効打:ターゲット
[頭部]
ギャリー305 ラフモノフ141

[ボディ]
ギャリー111 ラフモノフ58

[レッグ]
ギャリー119 ラフモノフ8
打撃の打ち分けではギャリーの方が比較的バランスよく散らしており、ラフモノフの方は頭部やボディに偏っている印象。

ただラフモノフのフィニッシュはKO/TKOよりも圧倒的にサブミッションの方が多く、頭部とボディへの打撃がその結果に繋がっている事を考えると、「効かせる」という点ではラフモノフの能力の方が勝っているのではないかと考えられる。

一方、ギャリーの打ち分けの良さを見ると「テクニカルな部分」や「攻撃を組み立てる上手さ」を感じ取ることが出来る。

ギャリーはフィニッシュよりも判定勝利の方が多いが、そういったデータを見ると、そのスタンド技術で相手をコントロールすることで勝利を掴み取っていることが分かるので、改めてギャリーの強みがどこにあるのかよく分かるスタッツになっていると感じる。

ラフモノフがやや有利となるか?


©︎Getty Images / UFC | Jeff Bottari

なのでこれを見ると「技術」ではギャリー「ダメージ」ではラフモノフの方が上回っていると考えられる。

そうなると長いラウンドを上手くコントロールし続けなければならないギャリーの方が、厳しさを感じる戦いとなってくるのではないだろうか。

ラフモノフは一発で戦況をひっくり返せる手段を持っていることに加えて、極めることにも長けているので、ギャリーと比べるとラフモノフの方が脅威となる手札を多く保有しているように感じる。

ラフモノフのテイクダウンの精度は29%とそこまで高い数値にはなっていないが、展開の流れでギャリーが下になってしまったり、ラフモノフにテイクダウンを奪われてしまったりして、結果的にグラップリングの勝負へと移行してしまった場合、ギャリーはさらに劣勢となってくるだろう。

そういった事態を回避するためにも早い段階でギャリーもラフモノフに「効かせる」攻撃を与えることが出来れば、拮抗した状態を保ったまま試合を進めていくことが出来るかもしれない。

果たしてこのハイレベルな戦いを制し、王者ベラル・ムハマッドに挑戦していくのはどちらになるのか。

非常に強度の高いファイター同士の一戦は、今後のウェルター級の流れにも大きな影響を与えることになるだろう。



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