
憲法は空気のよう!?
今年は戦後80年。
長く続いた平和な日本にいると、世界で初めての平和憲法と言われる日本国憲法は、多くの人にとって、今では空気のような存在になったと思えるのではないでしょうか。
それはあたかも、あって当たり前で、失くなったらたちまち死んでしまう空気と同じように、普段は意識しなくても、とても大切で、なくてはならない存在なのだと、私には思えるのです。
今、その憲法をめぐって、大きな議論が巻き起こっています。
改憲論と護憲論が激しく対立し、これまで空気のようだった存在が、息苦しいほど、生死を左右する大問題として立ち現れています。
最大の焦点は、言うまでもなく第九条です。
もはや解釈論では支えきれないほど肥大化した自衛隊を正式な軍隊とするために、第九条が狙われているのです。
これまで平和を支えてきた、戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認という平和条項が、もしかしたら失くなってしまうかもしれないと思うと、計り知れない恐怖を覚えます。
平和が失くなってしまう!
空気が失くなってから気づいても遅いように、平和条項が失くなってからでは、取り返しがつきません。
第二章 戦争の放棄
〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
私たちは今、憲法前文に掲げた崇高な理想をも放棄しようとしているのでしょうか?
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
ここには、これまで先人たちが不断の努力と幾多の犠牲を払って勝ち取ってきた、人類の理想が詰まっています。
残念ながら、人類はいまだこの理想を達成できてはいません。
2025年の今も、世界は暴力と戦争、専制と隷従、圧迫と偏狭、恐怖と欠乏に溢れています。
しかし、容易には達成できない理想だからこそ、「国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成する」価値があるのです。
先の戦争の惨禍をくぐり抜け、悲惨な体験を経て、ようやく平和に辿り着いた日本国民が、全世界に向けて発したこの誓いを、私たちはけっして忘れてはなりません。
私たちは現実が理想とかけ離れているからといって、理想を現実に近づけるのではなく、現実を理想に近づける努力を怠ってはなりません。
そのために日本ができることは、けっして少なくありません。
国連を中心とした平和構築のために、日本が主導的な役割を果たすことはその重要な一歩です。そのなかには、唯一の被爆国として、核兵器禁止条約に参加することも含まれます。
これまで以上に、経済や教育など非軍事的な支援を強化することも、「戦争をしない国」だからこそできる、平和のための重要な国際貢献です。
さらに、市民レベルの国際交流を促進することは、互いに多様な価値観を認め合い、異なる民族や文化や宗教への理解を深め、市民同士の平和外交を拡大させます。
私たちは、世界から戦争がなくなる日がくるまで、こうした努力を続けていくことが必要ではないでしょうか。
それこそが、憲法で戦争放棄という崇高な理想を掲げた日本国民の使命なのだと、私は思います。
空気が失くなってからでは、遅すぎます。
ChatGPT英語訳はこちらです。